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秘密ロッカーのヒミツ大捜索 第1話:秘密ロッカーって何者なの!?

秘密捜索メモ#03:リハーサルスタジオで殴り合い

ー 数日後。

もはやHIROKIさんから受け取った情報以外に手がかりがないので、致し方なく、僕は約束の地・高円寺に舞い降りた。最初に訪れたのは、秘密ロッカーがいつもリハーサルをしているという高円寺のソニックバンドスタジオ。HIROKIさんの罠ではなかろうかと、額の汗を拭いながら地下へと続く階段を下りていくと、革ジャンのお兄さんが僕を待ち構えていた(!)。あれ、でも何かすごく人の良さそうな風貌だけど…。

原澤さん
タナカ

ー と、突然すいません。秘密ロッカーというバンドが、ここでよく練習をしていると聞いてやってきたんですが…。あっ、僕はこういう者です(名刺を渡す)。

原澤

原澤:どうも、ここの代表をやってる原澤です。秘密ロッカーはよくここで練習していますよ。今日は来ていないですけど。

タナカ

ー そうなんですね! 秘密ロッカーって、どんなバンドなんですか?

原澤

原澤:いやぁ、ミステリアスなんですよね。基本的にいつも話しかけづらい雰囲気で(苦笑)。でもライブでは、普段の彼らからは想像もつかないほどパワーが溢れてて。バンドの持つエネルギーというか、メッセージ性とか、ひしひしと伝わって来るんですよ。1回ぜひライブを観てほしいですね。

タナカ

ー 一体どんなメッセージなのか気になります…。練習の様子は、どんな感じなんですか?

原澤

原澤:スタジオの中までは見てないので、細かいところはわからないんですけど、かなりストイックにやってると思いますよ。練習が終わってロビーに出ると、かなり激しく言い合ってる。先日はタモくん(森田祐介:ギター)とミック(水野正隆:ベース)が殴りあいになってたし。そういうときは気付かないフリをしています(笑)。

タナカ

…

殴りあい!? やはり噂通り、いつもエネルギッシュのようだ。これは1回ライブを観てみないとなぁ…(怖いけど)。しかし話を聞く限りでは、秘密ロッカーというだけあって、その素性は4年の付き合いになるという原澤さんにとっても謎が多いようだ。原澤さんの話だけでは、なぜ彼らがいまこうして注目を集め始めているのかがわからなかったなあ。しかい謎が多いほど探っていきたくなるというものだ!

スタジオ風景

秘密捜索メモ#04:レコーディングでは、フライパンセットに自ら突っ込んで行ったらしい…

続いて訪れたのは、阿佐ヶ谷でひっそり隠れ家のように佇んでいるアーススタジオ。秘密ロッカーのミニアルバムは、昨年ここでレコーディングされたらしい。取材に応じてくれたのは、エンジニアを務めた巨勢さん。かつては菊地成孔や勝井祐二なども、巨勢さんのもと、ここでレコーディングを行っていたそうだ。秘密ロッカーのレコーディングはどのように行われたのだろうか?

巨勢さん
巨勢

巨勢:ライブ感を重視して録りましたね。基本一発録りです。バランスが悪いように見えるけど、実はその逆。すごくバランスのいいバンドだと思うんですよ。ライブ感を重視して録ると、勢いは出るけど物足りなくなって、ギターを重ねて取り繕ったりすることも多いんだけど、彼らはそういうことをする必要が全然なくて。ベースがリズムセクションとしての役目を果たしてて、ドラムがそれに味をつけて、ギターが彩りを乗せて、そこに抜群の存在感を持ったボーカルが加わる。役割分担がはっきりしてるから、ベクトルが同じ方向に向いて、結果としてエネルギーが分散しないんですよね。

タナカ

ー なるほど。ガツンと来るサウンドには、そういう理由があったんですね! レコーディング中に印象深かったことはありますか?

巨勢

巨勢:アッキー(野村有希:ドラム)がフライパンを叩きたいと言い出して。冗談かと思ってたら本当にフライパンをがちゃがちゃ持って来て、ドラムセットのようにきれいに並べだして。それは“あほうどり”という曲で実際に使われてるんですけど。普通、ライブで絵的におもしろいという理由でフライパンとかドラム缶を使ったりすることはあるんだけど、実際にやる人はあんまりいないんですよね。他のメンバーも「とりあえずやめとけ」って言うかと思ったんだけど、「やろうやろう!」って。基本的に誰かが「これやりたい」って言ったら、「やめとけ」っていう人は誰もいない。さらにはテンションあがったのか叩き終わって「ひゃっほい!」ってフライパンセットに自ら突っ込んで行った。ライブでもセットに突っ込んだりしてるらしいです。

タナカ

ー え!? ドラムセットに突っ込むんですか!? ってかフライパンセットって…

巨勢

巨勢:そういえばね、クリック聞いてないのに、妙に波形が整ってたんですよ。こうして楽器ごとのデータを見ると、誰が突っ込んでて、誰が遅れててとかわかるんだけど、彼らはピッタリ息が合ってたんですよね。普通は誰かひとりが遅れたりとかあるんだけど、彼らの場合は良くも悪くも遅れるときは全員一緒に遅れる、突っ込むときは全員一緒に突っ込む。一体感が強いというか、まさにバンドって感じでしたね。

マイク

確かに「ライブ感を重視した」というだけあって、そのサウンドはいまにも目の前に演奏する彼らが飛び込んできそうな臨場感に溢れている。しかしそれと同時に、彼らのアンサンブルにはヒリヒリとした緊張感も漂う。巨勢さんの言う「バランス」や「一体感」という言葉には、裏を返せば、何かひとつが欠けた瞬間に、すべてが壊れてしまうギリギリの危うさがあるという意味もあるのではないだろうか。そしてその危うさこそが、彼らの音楽が聴く者を惹き付ける魅力のひとつなのではないだろうか。彼らの目指すサウンドはいったいどこにあるのか、彼らがどのような意図を持って音を鳴らしているのか、またひとつ気になることが増えてしまった。

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