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第4話:ナカノヨウスケ(PaperBagLunchbox)×有馬和樹(おとぎ話)対談 P4

音楽業界の中でビジネスを考えてる人たちは暗い話ばかりするけど、俺たちは、未だに音楽に夢を見ることができる。ナカノ

最後にもう一つ、この対談で重要になったテーマがある。それは音楽不況と言われるこの時代に、二人のバンドマンはどう対峙しているのか、という話だ。ぼくは仕事柄、大手レーベルの人たちと毎日のようにやりとりをしているが、正直な話、ほとんどの人は苦しい状況に直面し、悪戦苦闘している。生活を賭け、もの凄い危機感で仕事をしている人たちがたくさんいる。

大手レーベルが不況にあえぐ中、おとぎ話とPBLは、インディーズレーベルとタッグを組み、少数のスタッフで全てを切り盛りしている。状況としては大手レーベルよりも不利に思えるのだが、実際はそんなこともないようなのだ。今この時代、熱心かつ能動的に動き回るスタッフと、レーベルに従うのではなく、主体的に道を切り開いていこうとするバンドの力は、大手レーベルの資本力にまさる成果を生み出し得る。だからナカノも有馬も、今の現状を嬉々として語ってくれた。

ナカノ:今日有馬くんを迎えに行く途中にふと思ったんだけど、今ってさ、ソンソン弁当箱とかTHEラブ人間とか、ああいう若いバンドがぶわっとシーンに出てきやすくなったと思うし、有馬くんはそういうのを積極的に手助けしてるよね。そうやって、人と人が繋がって、何か面白いことを作り上げやすくなってきてるような気がする。

有馬:ソンソン弁当箱とかTHEラブ人間とか、新しく出てきたバンドがさ、下からあがってきて、みんなおとぎ話と対バンしたいって言ってくれて。出会ったり繋がったりするのが簡単になったし、そこから面白い状況が生まれてたりもして、本当にいい時代になったと思う。それで、そういうことに気づいてくれる人も最近増えてきたの。CINRAが今回この企画やってくれるのもメチャ嬉しかったし、ナタリー(おとぎ話と曽我部恵一の対談を掲載中)のタクヤさんは「実は俺にとってのスーパーバンドはおとぎ話だから、ずっと取材したかった」って言ってくれたりとかさ。

―特に2010年は、音楽シーンが変わった年だったと思います。アーティストの自由度も増して、面白いバンドがどんどん出てきたし、音源も豊作だった。

有馬:売れる・売れないは別として、いい音楽が色んな人の手に届くようになってきたのがすごい。日本も、メジャーレーベル流のお金をかけたプロモーションじゃCDが売れなくなってきて、逆にインディーズ界隈がどんどん面白くなってきてるよね。俺らの後から出てきてるバンドたちも、自分の作りたい音楽をやることで、ちゃんと面白い状況を作りつつあるし。だからね、音楽業界の中でビジネスを考えてる人たちは暗い話ばかりするけど、俺たちは、未だに音楽に夢を見ることができる。

ナカノ:こんなに音楽の力がむき出しになってる時代はなかなかないと思う。

有馬:もっともっと出てくるよ絶対に。で、その中心にいたいのよ、俺は。

ナカノ:誰でもそう思うよ!!

有馬:でしょ!? でもそこにいるためには、いい音楽作って、CD売れないとか言われようがアルバムを出すのが重要だと思うんだよね。愚直でいいの、それは。

ナカノ/有馬

―売れるものを作るんじゃなくて、いい音楽なら売れていくはずってことですよね。

有馬:音楽でお金を稼ぐのが目的になってるわけじゃないんだよね。ただ、自分たちが最高だと思う音楽を作って、それがお金に繋がったら嬉しいじゃんって思ってるだけで。

ナカノ:結局それしかできないと思うんですよね、俺たちは。なんだかんだ言って、どんなにつらくても音楽をやめられないし、歌が生まれてきちゃうのって、歌とか音楽をやること自体に圧倒的な喜びがあるからで。

有馬:そうそう。俺たちが「有名人になりたい・芸能人になりたい」って思ってるだけだったら、簡単に音楽をやめられるんだよね。でも音楽をやることに「感動」があるし、音楽だけじゃなくて、絵や舞踏をみて感動する、スポーツをみて感動する、ハッキリ言ってそれ全部アート、芸術だと思うの。そこに対して絶対裏切らないで、俺たちも本当の意味でアーティストになりたい。そう思ってるから、音楽をずっとやれてるんだと思う。

3月にやるワンマンライブは絶対にソールドアウトさせるから。

―ぼくもね、今の音楽業界の状況を見ている限り、プロモーションとか仕掛けよりも、本当にいい音楽を作ることが、セールス的にも正解なような気がしてます。特にバンドは、そこに注力したほうがいいに決まってる。お店でCDが売れなくても、すごい武器が一つあればライブにお客さんが集まるから、食べていけますよね。しかも今って青田買いがすごいから、いい音楽やってればすぐ声がかかるっていう状況にもなってるし。

有馬:うんうん。だからバンドはまず、ライブでお客さん集めればいいし、音源は物販で売れればいいの。

ナカノ: PBLもこの2ヶ月で20カ所くらいツアー回って、セカンドが200枚以上売れてね。スゲー嬉しかった。待っててくれてたお客さんにも直接手渡しできて、ほんと充実したツアーになった。

有馬:手売りで200枚はすごいじゃん! 武道館でライブをやったとかなら分かるけど、ライブハウス回って売った数だからね。

―両バンドとも、今はほぼ自分たちだけで全てのことを動かしていると思うんですけど、それでもこうやっていい状況を作ることができるから、これからが本当に楽しみですね。

有馬:本当に楽しみ! これからはさ、横の繋がりが本当に重要になると思うの。今日の話でいえば、ワンダーグラウンドのPBLとローズのおとぎ話と、THEラブ人間、ソンソン弁当箱、そいつらが全員一緒になって「盛り上げよう!」って言ったら、全員が売れるから。

ナカノ:バンドブームだ!

有馬:バンドブーム! 本当のバンドブーム。それが起こるんじゃないかなって期待がある分、「売れない売れない」って言ってるレーベルの人たちよりも、俺たちバンドマンのほうがチャンスだと思うんだよね。

ナカノ/有馬/柏井

ナカノ:そうだよね。で、そういう話もありつつ、おとぎ話は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』に出たりとか一通り大きな活動をやってきてるけど、PBLはこれから大きなところに出ていくことがまずは重要だと思っていて。そういうのも、スゲーワクワクするんです。俺たちはちょうど今、おとぎ話が『SALE!』(ファーストアルバム 2007年9月)を出した時の気分だよ(笑)。

有馬:あーー!! ヤバいな!!!(笑)

ナカノ:これからまた、色んなことにぶち当たるんじゃないかな。

有馬:たまんないじゃん!!

ナカノ:セールスってなんだ! とかね(笑)。

―PBLは三段飛ばしで行ってくれないと!

ナカノ:それはもう、この一枚で昇んなきゃいけなくて。やっぱり俺は生きたいし、何かしたいし、まわりと繋がりたいから。そのために、俺には親や神様が授けてくれた「歌」っていう宝物があるし、歌を通じて沢山のものを感じたり得たりしていきたい。だからもうやらざるを得ないし、やるべきことをやっているという意味では、社会人の人たちと一緒だと思うんだよね。

有馬:うん。俺も本当にそう思うよ。

ナカノ:そう思った時に、誰を前にしても胸を張って歌えるようになってきたし。「一緒でしょ?」って、胸張れる。

有馬:一緒いっしょ。

ナカノ:だからようやく、色んなことがはっきりしてきた。柏井くんも有馬くんも歳はひとつしか違わないのに先に進まれちゃってて、でも俺はこれからなの。だから三段飛ばしでいくし、3月にやるワンマンライブは絶対にソールドアウトさせるから。

有馬:絶対にいけるでしょ。ホントに、楽しみにしてるから!

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