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第4話:ナカノヨウスケ(PaperBagLunchbox)×有馬和樹(おとぎ話)対談 P2

嘘をつくくらいなら、バンドをやめてもいいから本気で話したほうがいいナカノ/有馬

5年間、前に進めずにいたPBLとは対照的に、有馬率いるバンド「おとぎ話」は、PBLに遅れてデビュー作をリリースしたにも関わらず、その後の歩みは段違いに早かった。今では4枚のアルバムをリリースし、数々の主要音楽フェスにも出演するなど、しっかりとシーンに立ち位置を確立している。どうして両バンドの歩むスピードはここまで違い、そして今年の後半になって、PBLはそのスピードを急激に加速させられたのだろうか。

ナカノ:おとぎ話は、PBLみたいに内部で衝突して前に進めなくなったりはしなかったの?

有馬:俺たちはね、溜め込まないようにするためのルールを決めてあるから、ムカつくことがあったらその場ですぐに言うし、言われた方も何か言うようにしてて。それで、次の瞬間には絶対に尾をひかないようにするって、四人で血印を押すくらいの約束をしてる。

―それって言うほど簡単なことではないですよね。言いづらいことをちゃんと言うのって、実際のところすごい難しくないですか?

有馬:でも、音楽作る上で一番意味ないのって、嘘ついて音楽をやることだから。柏井さんが音楽をやめた時の話も書いてあって、音楽とCINRAを両立するのが難しかったって話だったよね。でも、一緒にやってるやつらと本気で話し合えたら、たとえばおとぎ話がみんな就職したとしても、バンドを続けられると思う。

―ああ、核心をつかれちゃいましたね…。確かにその、「本気で話し合う」っていうのは出来てなかったと思うし。

ナカノ:俺も、そうやってみんなと本気で話し合っていくのが苦手だった。変に気をつかっちゃうんだよね。有馬くんは最初からそうやって話し合えたの?

有馬:悩んだ時期もあったよ。セカンドアルバム(『理由なき反抗』08年10月)の頃って、ドラムの前越くんがもう一つ別のバンドをやってたから、なんかどっちつかずな感じだったんだよね。俺はそれがすごく嫌で、「この気持ちをため込んだままバンドをやってていいのか?」って葛藤してたの。それで結論としては、「(前越くんが)やめてもいいから、正直なこと言おう」と思ったんだ。やっぱり嘘はつきたくなかったから。そしたら他のメンバーも、俺が思ってる以上に正直に話してくれて。「おとぎ話でチャンスをつかむのが、今は一番大事なこと」って、みんなが言ってくれたんだよね。

―一番大事なことをしっかり共有できたんですね。

有馬:そう、そこだけはハッキリさせたかった。でさ、この連載を読んで初めてちゃんと知ったけど、PBLも紆余曲折あった中で、5年間かかったとはいえさ、最終的には大切なことをちゃんと話し合えたっていうのがいいよね。

―そうそう、まさにその通りだと思います。その間に危機はたくさんあったけど、解散しなかったし。

ナカノ:すごい時間かかっちゃったけどね…。でも今のPBLは本当にいい状態になってて、レコーディングからツアーまで、自分たちでも驚くくらい好調なんだよね。それって完全にみんなのお陰で、俺が歌うことだけに専念するようになったら、バンドの歯車がガチっと噛み合ったんですよ。

ナカノ/有馬

おとぎ話はうまくいき、PBLは前に進めなかった。その理由を、「本気の話し合いができなかったら」という話に帰結させてしまうのは早計だろう。ただ、これまで数々のバンドを取材した経験からいえば、しっかりと考えや思いを共有できているチームほど、いい成果をあげていることは多い(一般の会社だってそうだ)。有馬が言う通り、本気で話し合ってお互いの理解を深められれば、細かいことでぶつかることもなく、大きな目標に向かって歩を進められることもあるだろう。そういうわけで、第3話の辛辣な内容も、有馬に言わせれば「あれを読んで『うわ〜…』って思う人も多いみたいだけど、メンバーがあそこまで言ってくれるのって『痛快すぎて最高じゃん!』って思う」ということになる。目標に向かうために、不必要な隠し事は毒にしかならないのだ。

そういう意味で、状況としては「足踏み」だったPBLの「空白の5年間」も、バンドにとっては必要不可欠な時間だった。その間にそれぞれの想いをぶつけ合い、理解と確認を行えたから、ここにきて遂にPBLは波に乗り始めたのだろう。セカンドアルバムを携えて臨んだ20カ所に及ぶツアーは、初日から最後まで素晴らしいライブパフォーマンスを行い、結果としてセカンドアルバムは、手売りにも関わらず200枚以上の売上げを叩き出した。初めて行く土地も多い初の本格的なツアーだから、実際のところ、お客さんの数もそれほど多いわけではなかっただろう。それにも関わらず、その現場で200人以上のお客さんに、お金を出してでもアルバムを買いたいと思わせた。その成果には、彼らを追いかけてきたぼく自身、驚いている。

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