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『クリエイターのヒミツ基地』 Volume4 河野 未彩(グラフィックデザイナー・映像作家)

アナログとデジタルを使い分ける仕事道具

河野さんのアトリエ

紙に描いた絵をPCに取り込み、加工処理することが多い河野さん。アナログだけでも、デジタルだけでも満足した作品は生まれません。「最初から最後までデジタルで描くと質感が出せないし、でも手描きだけだとデジタル感がなくて寂しいんです」。

それぞれの特徴がちょうどよく混ざり合う瞬間を探すのが重要なポイント。例えば作品によく登場する四角や三角の幾何学模様は、デジタル感を増やしたい時に描き込むとしっくり来ることが多いそう。手描きデータをデジタル処理し、プリントアウトしてさらに手描きで絵を加えることもあります。

しかしどんなにデジタルが便利になっても、絵の基本はデッサン。そのため定期的に絵具を手に取り、キャンバスに向かいます。取材日にも作業部屋にはアクリル絵具で制作途中の大きな馬の絵が置かれていました。「やっぱり基本は忘れたくないし、定期的に手描きに戻りたくなるんです」。

アトリエも兼ねる自宅は彩り豊かで個性的な小物が並び、別世界に足を踏み入れたよう。冬はこたつになる猫足テーブルや、逆回転時計、「大きいゲームボーイみたいで可愛い」と評するプロジェクターに変身するテレビなど、珍しいものもたくさん。そういえばこれらのグッズ、別々のものを絶妙に融合させたものが多い気が。ここにも、デジタルとアナログを巧みに掛け合わせる河野さんの嗜好が表れているのかもしれません。

多くの小道具や作品が並ぶ作業部屋で、仕事で使うヒミツ道具を見せて頂きました。

カーブ定規

カーブ定規

アクリルを切って自作したというカーブ定規。学生時代から未だに使い続けている必需品です。トレースする時などは、これひとつでだいたいのカーブが写せます。でも曲線を描くための雲形定規というものも市販されていますが、あれじゃだめなんですか?

「雲形定規はコンパクトなので、ダイナミックなカーブがないんですよ。それでこの大きさで作ったんです。自作なので、このサイズのものが一般的かどうかは分からないんですけど……多分工業デザインの現場ではよく使われていると思いますよ」

プリズムカラーのパステル

プリズムカラーのパステル

「だいたいどんな作品でも最初にスケッチをするので、その段階でよく使います」という、プリズムカラーのパステル。これも学生時代から使い続けている愛用品。普通に鉛筆のように使うこともありますが、基本はナイフで削って紙に着色します。上手に使う秘訣は、削ったパステルにベビーパウダーを混ぜること。それにより粒子が細かくなり、紙に乗りやすくなるのです。

楕円定規

楕円定規

フリーハンドで楕円を描くのは難しい。そんな時に登場するのがこの楕円定規。最近は紙にパステルで着色だけし、フォトショップで円形に切り抜くことも多くなりましたが、下描きやあえて手描き感を出したい時はこれを使っています。「20度から60度までいろいろな円が描けるので、どれで描こうか考えるだけでも空間をイメージすることになり、ちょっと楽しいんです」。

ペンタブレット
Intuos4

使い始めてから3年ほどになるというペンタブレット。手描き感覚で作業でき、筆圧で色の濃淡も調整できるのがお気に入り。

「ずっとマウスでやってたんですけど、やっぱり限界があるなぁと思ってて。アナログで作ったものをスキャンして、デジタルで描き足すことが多いので、やっぱりペンタブレットのほうが自然にできるんだろうなとはずっと感じてたんです。使い始めたらアナログと同じ筆感で描けて、すごく自然なんですね。フォトショップでマスクをかける作業が多いので、その時は特にマウスよりも全然ラク。映像の仕事でアフターエフェクトを使うのにも便利です」

ペンタブレットを買おうと思い立ち、ウェブで調べた結果行き着いたのがIntuos4。スタイリッシュなデザイン、ペンタブレットに圧倒的なシェアを得ているというメーカーが作っている信頼性や、サイズのラインナップが豊富だったことが購入したポイントだったそう。

エアブラシ

エアブラシ

60年代〜80年代のグラフィックアートで中心だったのはエアブラシ。その時代に興味があった河野さんも自然と使い始めました。「手で描くのとは質感がかなり違いますね。ザラザラ感がでるし、ちゃんとやればツヤもでる」。

普通のエアブラシはインクを入れ替える際、いちいち洗わないといけないので大変ですが、これはすぐに切り替えられるコピック専用の万能タイプ。作業時間の節約にも役立っています。

デジタルとアナログを使いこなし、それぞれの良さを引き出す河野さんの制作術。それはより良い作品を作るための試行錯誤であり、毎日が実験でもあるのです。過去の制作物や面白い小道具がたくさん置かれた仕事場は、まさに「ヒミツ基地」そのもの。クリエティビティに溢れた空間に身を置くこともまた、制作の秘訣なのかもしれません。河野さんの「ヒミツ基地」にあふれているアイデアを、ぜひ取り入れてみてください。

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