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『クリエイターのヒミツ基地』 Volume19 稲葉まり(アニメーション作家、アートディレクター)

「自分ならでは」を体現した、DIY精神溢れるヒミツ道具

横浜の閑静な住宅街にある一軒家が稲葉さんの仕事場。実家の一角をアトリエとして使用しているということで、海外帰りの妹さんと一緒に出迎えてくれました。前日にSMAPのライブ映像を納品したばかりということもあり、仕事机には鉛筆や筆などが乱雑に散りばめられていましたが、それが何とも味わい深く、まさに「ヒミツ基地」と言った感じでした。そんな稲葉さんのヒミツ道具をチェックしていきましょう。

ライトボックス

ライトボックス

前日の追い込み作業の痕跡が残る机の真ん中で存在感を放っているのが大きなライトボックス。見るからに年季が入ってそうですが、その出所を聞いてみると……。

稲葉:実は、このライトボックスは、2006年に独立した際、「生意気」の事務所からもらってきたものなんです。初めはアニメ用だと思ってもらってきたんですけど、後からいろいろな用途に使えることに気がつきました。例えば、今日着ている服は自分で作ったものなのですが、型紙の前側と背中側を照らし合わせるときなどにも大活躍します。ちなみに、ガムテープで補修されているのはもともとで、よく理由はわかっていません(笑)。

自作スタジオセット

自作スタジオセット

切り絵のコマ撮りなどに使用するスタジオセットは稲葉さんのお手製。遮光カーテンの前にセットを組み、レフ板を頭上に設置して撮影に臨みます。

稲葉:アニメーションを大学で学んでいたということもあり、「生意気」に所属していたときにコマ撮りの仕事を振られて以来、試行錯誤しながら確立したのが現在のスタイルです。仕事でカメラマンさんの撮影現場に立ち会う時に、「プロの人は、こういう風にやってるんだ」と方法を真似ながら、学んでいきました。なによりも、スタジオ代が無料なのがいいですよね(笑) 短いアニメーションを制作する際には日があるうちに撮影してしまいますが、長いアニメの場合は同じ光りの元で撮影したいので、日が落ちた夜に作業することが多いです。

ホットプレート

ホットプレート

さまざまな制作道具がならぶ仕事場のなかで、ひときわ異彩を放っているのが、大型のホットプレート。お好み焼きを作るときなどに使用するものらしいのですが、稲葉さんはどのように使用しているのでしょうか。

稲葉:今年、神戸のアンティーク屋さんとセルロイド(合成樹脂)製のブローチを作ることになり、現在、試作段階です。セルロイド工場にも見学に行ったのですが、職人の人がやっていた手法を即席で真似るために購入したのがこのホットプレートで、セルロイドを温めてアイロンで柔らかくし、ハサミで切ったり、ヤスリがけしたりしながら制作しています。見学した際には、作り方を教えてくださったり、端材も分けていただいたりして、現場の方には本当に親切にしていただきました。9月に神戸でお披露目会があるので、仕事の合間をぬって楽しく作っています。

ペンタブレット「Intuos5」

ペンタブレット「Intuos5」

イラストはほとんど手描きで描く稲葉さんにとって、慣れ親しんだペンのスタイルでPCを操作することは、ごく自然なこと。多くのクリエイターが愛用しているペンタブレットですが、稲葉さんはどのように使用しているのでしょうか。

稲葉:「生意気」にいるときに愛用していたペンタブレット。その後独立して、もう一度使用するようになってから、PC上の作業はすべてペンタブレットで行っています。ペンタブレットは作業の小回りが利いて、鉛筆や筆でイラストを描いている時のように、違和感なく利用することができます。マスクを切る作業も非常に楽です。また、「Intuos5」はワイヤレスに対応しているので、机の上がコードでぐちゃぐちゃにならないのがいいですね。デザインもスタイリッシュでお洒落なので、とても気に入っています。

スタジオセットやブローチ作りに使用するホットプレートなど、DIY精神に溢れるものも多かった稲葉さんのヒミツ道具。「自分ならではのもの」を追求する姿勢が、ここにも溢れていました。道具にもこだわってこそ、自身の独特な世界観を表現することに繋がるのでしょう。

稲葉さん
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