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青木良太(陶芸家) インタビュー

青木良太(陶芸家) インタビュー

インタビュー・テキスト
松本香織
撮影協力:金澤美術

「うわっ!!! これしかない!!!!」」という衝撃があったんですよ。

―それから何をされたんですか?

青木:洋服を独学で作り始めたんですよ。中古のミシンをブラザー(ミシンメーカー)で買ってきて、自分の好きな服をほどいて、「あ、こういうふうにできているんだ」とパーツを調べたり、『装苑』を見たりしながら。で、1年くらいそれに没頭していたら、名古屋や豊橋のお店が委託で置いてくれるようになったんですけど、注文がくるようになると、サイズ合わせだ何だで時間がかかる。センスがいい人はいっぱいいるから、ファッションは彼らに任せようと思って、次はアクセサリーのほうにいったんです。

それもまたヒット商品になって注文がきたんですが、金属が手になじまない。その後も好きなことをいろいろと……。音楽もやってみたものの、1日で「才能ないなあ」と思ったりして。気づいたら卒業まであと半年。どうしようかな、と迷っていたんですけど、ちょうど僕らのとき、カリスマ美容師ブームだったんですよ。あれ、モテそうだなと思って。

青木良太(陶芸家) インタビュー

―モチベーションは「モテ」だったんですね?

青木:そこ重要ですよ!(笑) ちょうど豊橋の駅前に、おじさんが一人でやっているおしゃれな美容室があったんですよ。頭を坊主にして毎日ギャルソンしか着ない、みたいな。そこでバイトし始めて、けど、まだ時間がある。当時は雑貨屋に行くのが好きで、何となく店先を見ていたら、陶芸家の作品があった。そのとき「陶芸って渋いんじゃない? 感性を磨くために陶芸をやっちゃおうかな」と思ってやってみたら、衝撃があったんですよ。「うわっ!!! これしかない!!!!」という。

―それが陶芸との初めての出会いですね。

青木:はい。最初はすごく気持ちよく土を触っていました。だけど「陶芸家なんて無理だろうな」と。でも、どうしても諦められなくて、卒業が3カ月後くらいに迫っていたとき、陶芸家の経歴を調べたんですよ。そうしたらみんな、東京芸大卒、大阪芸大卒、武蔵野美術大学卒……。

「もう大学にも行けないしな」と思っていた矢先、市がやっている陶芸の学校を見つけました。「あ、ここなら親からの援助がなくても自分でバイトしながら行けるな」と思って、そこから必死にデッサンとか勉強したら、奇跡的に3つ受かって、その中から多治見市陶磁器意匠研究所を選びました。

―そこに決めた理由は?

青木:多治見からは人間国宝がいっぱい出てるんですよ。「俺、人間国宝になりたいから、多治見にしよう」と、そんな感じですよ(笑)。

青木良太(陶芸家) インタビュー

―陶芸家を志されたときに目標にした人っています?

青木:いなかったですね。とりあえず自分の好きなものを作って食べていくのが目標でした。それさえできれば、本当に幸せですから。

―では、過去の作家が作った器に嫉妬を感じることもなく?

青木:それはなかったけど、あの人たちがいたからこそ、僕が陶芸家というジャンルをやれているんだという思いはむちゃくちゃあります。ここ何年間かで食えるようになって、最初の小さな夢がかなった。だから次は、陶芸に恩返しをしたいんです。陶芸家が食えるのは、日本だけなんですよ、実は。

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イベント情報

『青木良太個展』

2009年4月15日(水)~4月27日(月)
会場:燈々庵(あきる野市)
時間:11:00~20:00(最終日~15:00)
休廊日:火曜日
料金:無料
備考:会期中18日(土)、19日(日)は作家在廊

2009年5月1日(金)~5月10日(日)
会場:アートサロン光玄(愛知県名古屋市)
時間:11:00~18:30
休廊日:月・火曜日
料金:無料

2009年5月1日(金)~5月10日(日)
会場:ギャラリー曜耀(茨城県笠間市)
時間:10:00~18:00(最終日は~17:00)
休廊日:火曜日
料金:無料

2009年5月28日(木)~6月20日(土)
会場:TKG Daikanyama(代官山)
時間:11:00~19:00
休廊日:日・月曜日、祝日
料金:無料
備考:作家初のオブジェ展。初日にオープニングパーティーあり

その他、6月にはロサンゼルス、7月にはニューヨークで個展を開催予定。

プロフィール

青木良太

1978年富山県生まれ。2002年、多治見市陶磁器意匠研究所卒業後、陶芸作家となる。2004年、スイス・ジュネーヴのEcole de arts decoratiftsに研修生として留学。Sidney Myer Found International Ceramics Award、テーブルウェアコンテストグランプリ、台湾国際桃源ビエンナーレ特別賞ほか、国内外で数々の賞を受賞。「週刊モーニング」(講談社)で連載中のマンガ『へうげもの』(山田芳裕)から生まれた若手陶芸家ユニット「へうげ十作」のリーダーとしても活動中。

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