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『思想地図』東浩紀×宇野常寛トークショー

『思想地図』東浩紀×宇野常寛トークショー

協力:青山ブックセンター本店, NHKブックス, 構成:松本香織, 写真:小林宏彰

2008年4月、思想誌『思想地図』がNHKブックスから創刊された。批評家の東浩紀と社会学者の北田暁大が編集を務める同誌は、3月刊行の5号をもって一度幕を閉じる。来年秋には東浩紀、宇野常寛、濱野智史ら5名の批評家陣による合同会社コンテクチュアズを版元に第2期の刊行を始める予定だ。彼らはゼロ年代をどう捉え、来たる10年代に備えているのか? ゼロ年代が終わりを告げようとしている2009年12月26日、11月に刊行された第4号「特集・想像力」をめぐり、東浩紀と宇野常寛によるトークショーが青山ブックセンター本店にて行われた。その模様をレポートする。

自分たちの好きなものに、普遍的なテーマを見出した(宇野)

:突然だけど、どうだった? 『思想地図』4号を編集してみて。

宇野:大変だったけど、非常にいい本になってよかったです。東さんから「4号の編集を手伝ってくれない?」と言われたとき、まず「3号に負けたら俺の人生は終わるな」と思ったんですよ。4号が売れなかったら「宇野、終わったな」感、漂いますよね?

:漂うよね〜。

『思想地図』東浩紀×宇野常寛トークショー
左:宇野常寛、右:東浩紀

宇野:だから、「濱野智史号」とも呼ばれている3号の「アーキテクチャ」特集に、死んでも勝たなきゃいけないと思ったんですよ。でも、コンテンツ批評で明確なパラダイム・シフトを打ち出していくのは、非常に厄介だと思いました。東さんの言う誰もが利用可能なインフラの上に個々人の価値観が乗る「ポストモダンの二層構造」の、下層で起こっているアーキテクチャの生態系的な発達というのは明示しやすいんですね。しかし、上層で起こっている変化についての僕の考えは、一見バラバラの島宇宙のなかで、それぞれに実は同じ変化が起きている、というものです。だから一本のストーリーにするのではなく、いろんな場所、ジャンルの担い手のところに出かけていって、まさに断片を収集して、どの断片でも同じような変化が起こっていることを証明していくかのような誌面にするしかないと思ったんですね。

:4号はもともと、文学特集にしようと考えていたんだよね。「東くんはなんで純文学に背を向けているのかなぁ?」というようなことを言う人がいるから、それがいかに馬鹿げた発言かを分かってもらうために、純文学に近い特集を組みたかった。でも、インタビューやシンポジウムの依頼をことごとく断られてしまい、なんだそもそもそっちが背を向けているんじゃん、と。それで宇野投入というね。

僕は宇野くんや濱野くんに、新しい時代の批評を盛り上げていってほしいわけですが、どうなの、そのへんの抱負は?

『思想地図』東浩紀×宇野常寛トークショー

宇野:僕が書いた『ゼロ年代の想像力』は、この10年で話題になったサブカルチャーを分析してみたら、社会やコミュニケーション空間の変化が見えてきたという本なんです。で、濱野智史の『アーキテクチャの生態系』も、日本はグローバリゼーションを受け入れているように言われているけど、ネットの進化を見れば意外とそうでもないっすよ、という本です。上の世代からは「お前ら、好きなものを熱く語ってるだけだろう」とも思われているでしょう。確かにそういう側面は否定できないけど、僕らからしてみればそこに普遍的な課題を見出したからこそ話題にしているんですよ。今後は、僕らが考えたことが他のジャンルにも応用可能であると示していかなきゃいけない。4号をその嚆矢として位置づけられたらと思っていますね。

思想界は宮台信者でいっぱい?!

:なるほど。改めて思うけどさ、このトークショーって、何か動きがないよね…。宇野くんがいま喋ったことも、すでに4号が出ているからみんな知っているし。やっぱり、対立を作らないと対談って面白くないじゃない? だから僕は、ここで飛び道具を出すよ。

宇野:来ると思ってたんだよな〜。何ですか?

:僕から見ると、チャーリー(鈴木謙介)と荻上チキと濱野智史と宇野くんはすごく似てるの。どこが似てると思う?

宇野:なんだろ? …宮台さんの影響下にあること?

:そうそう! 君たち、ミヤダイなんだよね(笑)。宮台真司と東浩紀って、ぜんぜん違う書き手なんだよ。でも、ゼロ年代ってすごく不思議で、この二人が似ているように見えた時代なんだな。逆に僕からは、宇野くんと濱野くんはすごく似て見えるし、自分とは決定的に違うなと思うんだよね。僕はこれから君たちと『思想地図』2.0を始める、それは粛々とやるとしてだ、ここで両者の違いをクリアにしておくと、来たる10年代が見えてくるのかな、と思うわけ。

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書籍情報

東浩紀×宇野常寛対談収録の『Final Critical Ride 2』
宮台真司×東浩紀×宇野常寛鼎談収録の『ゼロ年代のすべて』
どちらも好評発売中。

プロフィール

東浩紀

1971年生まれ。批評家。東京工業大学世界文明センター特任教授。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『情報環境論集』(講談社BOX)、『東京から考える』(北田暁大との共著、NHKブックス)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社)などがある。

宇野常寛

1978年生まれ。批評家。企画ユニット「第二次惑星開発委員会」主宰。批評誌『PLANETS』編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『批評のジェノサイズ』(共著・サイゾー)などがある。

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