インタビュー

『ばかのうた』星野 源 インタビュー

『ばかのうた』星野 源 インタビュー

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:柏井万作
2010/06/25

ばらばらだからこそ手と手をつなげるのであって、ひとつになっちゃうっていうのは目的が変わってきてるんじゃないかなって。

―1曲目の“ばらばら”に、「世界はひとつじゃない」っていう歌詞があるじゃないですか。あれはどういう意味なんですか?

星野:子供の頃チャリティ番組を観てて、「世界はひとつ」って言われたときに、ものすごく違和感があったんです。何故そう感じるのかなのか自分でもよくわからなくって、ずっと考えてたんですね。で、「ひとつになる」っていうことが、そもそも違うんじゃないかなと思ったんです。「ばらばらのままでいいのにな」って。それと、絶対に同じ考えの人はいないんだなっていうのはずっと思っていて、それを曲にできないかなと、ぼんやり考えていたんです。それで、25歳くらいのときに、人生最悪に嫌なことがあったんですよ。もう死にたいみたいな(笑)。そのときにポロッとできた曲なんですよ。

―その嫌なことは訊かないほうがいいですか?

星野:そうですね(笑)。まぁ、仕事の面でも、私生活の面でも、いろいろ重なって。それを自分で処理しようとしたんだと思うんですけど。でも、自分のなかではすごい前向きな歌なんです。

―前向きな感じはありましたね。でも、「ひとつじゃない」って言いつつ、「みんな手をつなごうよ」みたいな感じがあると思うんです。

星野:人と人が手を繋いだらやっぱりどう頑張っても「ふたつ」なんだと思うんです。そこをすっ飛ばして「ひとつになろう」って言うから違和感があったんだと思って。ばらばらだからこそ手と手をつなげるのであって、ひとつになっちゃうっていうのは目的が変わってきてるんじゃないかなって。

―あー、微妙な違いですけど、言いたいことはわかります。

星野:SAKEROCKは、みんな趣味もばらばらだし、服装もばらばらだし、そういうバンドだなと思ってるんですけど、僕が好きな集団は、そういう人たちが多くて。みんながばらばらなことを考えながら集団を持続させていくのって、むちゃくちゃめんどくさいんですけど、それが健全なんじゃないかなと思います。ばらばらのままでも「ひとつ」のものを生み出せるだろうっていう、そんな歌だと思います。

―アルバムができあがって、心境の変化とかありました? 声にコンプレックスがあったのが薄らいだとか。

星野:最近やっと、ちょっとだけ薄らいできました。自分で聴き返すと、まだ少し恥ずかしいんですけど(笑)、スタッフのみんなも喜んでくれているので、ちょっと安心してます。歌うこと自体も、前よりかは全然楽しくなっているので、ずっと続けたいですね。

―じゃあ、これからどんどんソロの活動も?

星野:はい。ソロもやっていきます!

―今回の作品で、星野源という人間が確立されたという気持ちは?

星野:そうだったらいいなと思います。さっきの取材でも、「星野さんって今までどういう人なのかわからなかったけど、今回わかりました」って言ってもらえて(笑)。なんか、「こういう人です」っていうのがわかってもらえるアルバムになったらいいなと思ってます。かなり個人が出てる気がするので。

―確かに、このアルバムを聴いたら、星野源ってどういう人なのか、なんとなくわかる気がします。ちなみに星野さんは最終的にどうなりたいっていうのは?

星野:いやぁ、それがあんまりないんですよぉ。自分でもよくわからないというか。でも、ずっとこのままモノ作りを続けていけたらいいですね。ダメになったらバイトします(笑)。

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リリース情報

星野源<br>
『ばかのうた』
星野源
『ばかのうた』

2010年6月23日

価格:2,940円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS VICL-63626

1. ばらばら
2. グー
3. キッチン
4. 茶碗
5. デイジーお味噌汁(Instrumental)
6. 夜中唄
7. 老夫婦
8. くせのうた
9. 兄妹
10. 子供
11. さようならのうみ(Instrumental)
12. 穴を掘る
13. ただいま
14. ひらめき
15. ばかのうた

プロフィール

星野源

81年埼玉生まれ。SAKEROCKのリーダー兼ギタリスト、マリンバ奏者。俳優。近年ではドラマ『ゲゲゲの女房』、『去年ルノアールで』、映画『ノン子36歳(家事手伝い)』などに出演。代表を務める映像ユニット「山田一郎」での活動や、作家としても著書『そして生活はつづく』を刊行し、POPEYEにて「ひざの上の映画館」を連載、テレビブロスでの細野晴臣と対談連載『地平線の相談』など、様々な分野で活躍中。

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