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何かが壊れた一年 石橋英子インタビュー

何かが壊れた一年 石橋英子インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2011/01/05

『Remix』誌で年間ベストに選ばれるなど、大きな話題を呼んだ前作『drifting devil』から約2年ぶりとなる石橋英子の新作『carapace』。ジム・オルークがプロデュースを務め、録音・ミックス・演奏と全面的に関わった本作は、ライブでの再現性を重視して、ピアノと歌だけでも成り立つことを意識したというシンプルな作品でありながら、的確に配置された管弦楽器の響きも印象的な、実に味わい深い作品となっている。年明けから良作の続く2011年だが、その中でも最も厳かに、しかし力強く、新しい年の幕開けを飾る作品と言えるだろう。
約10年間に渡ったPANICSMILEとしての活動終了から始まり、七尾旅人、長谷川健一、Phewといった数々のアーティストとの共演を経て、『carapace』へとたどり着いた2010年を評して、石橋は「自分の中で何かが壊れた一年だった」という。はたして、その真意とは?

(インタビュー・テキスト:金子厚武)

(PANICSMILEが終了したのは)ポトッと殻が落ちたみたいな感じです。

―今年(2010年)はまず3月にPANICSMILEとしての活動が終了しましたよね。約10年間活動したバンドに対する率直な想いを教えてください。

石橋:私の20代の生活にとってすごく大きなバンドでしたね。25、6歳ぐらいまではしばらく音楽をやってなくて、たまたま行った20000V(ライブハウス/現、東高円寺2万電圧)で働いていた吉田(肇)さんに「一緒にバンドをやらないか」って言われてやることになって。それから音楽の知り合いが増えたし、ツアーとかも楽しくて、ホントに家族みたいな感じで。

―じゃあバンドの終了には寂しい思いもありますか?

何かが壊れた一年 石橋英子インタビュー
石橋英子

石橋:最後のアルバム(『A GIRL SUPERNOVA』)を作ってたときになんとなく、自分ができることはもうやったなって感じてて。何の理由もないし、自分のソロ活動とも関係ないんですけど…。そういう時期に、ジェイソンが抜けてアメリカに帰るっていうタイミングも重なって、「次で最後にしよっか」って。

―ごく自然に、終わるべきときに終わったという感じですか?

石橋:そうですね。ポトッと殻が落ちたみたいな感じです。


―PANICSMILEをやる前の、音楽から離れていた時期っていうのはどういう時期だったんですか?

石橋:ピアノは4歳ぐらいからやってたんですけど、高校でピタッとやめたんです。大学のときは映画を撮りたくて、音楽は宅録をしていたくらいだったんです。

―音楽じゃなくて、映画を作りたかったんですね。

石橋:でも、映画はお金も時間もかかるからなかなかうまくいかなくて。それで結局、映画を撮ってた人たちでバンドをやることになっちゃったんです(笑)。

―そうなんですか(笑)。

石橋:はい。でも、大学卒業とほぼ同時にそのバンドもなくなっちゃって、私も本格的に音楽をやるつもりはなかったから、普通に仕事をしてたんです。

―その後に20000Vでたまたま吉田さんに誘われたと。

石橋:そうなんです。その学生のときにやってたバンドで、まだ福岡にいたときのPANICSMILEとシェルターで対バンしたりしてたから、知ってくれてたんです。

―でも映画的な感覚って石橋さんの作品からすごく伝わってきます。質感だったり、全体的なストーリー性だったり。映画はどんな映画がお好きなんですか?

石橋:最近ではセルジオ・レオーネの『Once Upon a Time in the West』を観て、ホントに号泣しましたね(笑)。台詞があんまりなかったりするし、わりと辛抱の要る映画なんですけど、一個一個のシーンの深さに感動するんです。もちろんストーリーもだけど、力強いものを作れるっていう可能性にも感動して。あと(ヴェルナー・)ヘルツォークさんのシュトロツェクという映画も本当に素晴らしかったです。

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リリース情報

石橋英子<br>
『carapace』
石橋英子
『carapace』

2011年1月6日発売
価格:2,625円(税込)
FCT-1006 / felicity cap-117

1. coda
2. shortcircuit
3. rythm
4. splash
5. shadow
6. emptyshout
7. face
8. hum

プロフィール

石橋英子

茂原市出身の音楽家。大学時代よりドラマーとして活動を開始し、いくつかのバンドで活動。映画音楽の制作をきっかけとして数年前よりソロとしての作品を作り始める。数年前よりその後、2枚のソロアルバムをリリース。ピアノをメインとしながらドラム、フルート、ヴィブラフォン等も演奏するマルチ・プレイヤー。シンガー・ソングライターであり、セッション・プレイヤー、プロデューサーと、石橋英子の肩書きでジャンルやフィールドを越え、漂いながら活動中。最近では七尾旅人、Phew、タテタカコ、長谷川健一の作品に参加。

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