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許された現実逃避 シグナレス インタビュー

許された現実逃避 シグナレス インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2011/02/04

「同時代性でたまたまリンクしました」とか言うやつは信じちゃだめですよ(笑)。

―(笑)。じゃあ、意識的に「今の時代の音」にしているんですね。

池永:意識的にやってますね。無意識ではそうはならないし、「意識してません」とか言うとるやつは嘘ですよ。普通に音楽が好きで聴いてたらそれはアウトプットされるわけですから、それを影響と呼ぶか、パクりと呼ぶか、その辺は言い方次第ですけど、「同時代性でたまたまリンクしました」とか言うやつは信じちゃだめですよ(笑)。

―ゆーきゃんさんもMySpaceとかYouTubeってよく使います?

ゆーきゃん:僕は自分で探すのがすごく苦手なんですよね。なので、人から教えてもらうものをできるだけ吸収しようと思ってて、京都に田中亮太っていうDJがいて、彼が月2回フリーパーティーをやってるんですよ。そこに行けば最新の音楽が流れてるし、あとはメトロっていうクラブがあって、そこでかかってる曲が面白いなって思ったら「これ何なん?」って聞いて、それをレコード屋さんに買いに行くとか。あとは、古典的ですが、なんだかんだ言って雑誌のレビューは今も信頼してます。信頼できるひとが勧めるものは、聴きたくなりますね。

池永:音楽キッズやな(笑)。若いよね。

―でも池永さんもそうですよね。お2人とも純粋に音楽ファンなんだなって。

池永:うん、それは大きいと思う(笑)。

許された現実逃避 シグナレス インタビュー

僕が好きな音楽に共通するものって、聴覚とは違ったものに流れていく可能性のある音。

―あと僕がシグナレスを聴いてて思うのが、打ち込みなのにすごくオーガニックだなってことなんですね。歌詞に季節を表す言葉が多く使われてたりするのもあって、言葉と音のリンクですごく季節感とか温かみを感じるんです。

池永:たぶん出身がバンドなんで、打ち込みでも無機質な感じにはならないんですよね。

ゆーきゃん:最初にしたあら恋の話もそうですけど、僕が好きな音楽に共通するものって、鳴っている音によって、何かが見えるような気がしたりとか、手触りがあるような気がしたりとか、聴覚とは違ったものに流れていく可能性のある音で、金子さんがおっしゃったことは、多分それに関係するんじゃないかと思うんですよね。

―なるほど、そうかもしれないですね。

ゆーきゃん:元々池永さんの音は鳴ると何か景色が見えてくるし、僕の声は「歌うと温度が二度下がる」ってよく言われるんです(笑)。そういう音じゃない部分が生きる音楽、そこにシグナレスの可能性があると思いますし、それは「大事にしよう」ってわざわざ確認しなくても、お互い大事にしてることなんじゃないかなって。

池永:それは俺も思いますね。うちらがやる場合の共通点は、温度がある音楽っていう。温度があると、景色も見えてくるんですよ。

―歌詞でも、そうしたことって意識されているんですか?

ゆーきゃん:歌詞は、何を書こうってことを決めないんですよ。例えば悲しいとして、そこに何か理由があるのかと聞かれたら、ないのか、あるけどわからないのか、そういう状況をそのまま書きたいと思うんです。「空が青かった」って言ったときに、そこには必ず「だから嬉しい・楽しい・悲しい・寂しい」っていう言葉が目に見えない部分でくっついてると思うんですけど、そういうものを積み重ねてひとつの歌にしたいと思ってて。

―なるほど。

ゆーきゃん:もちろん全て曖昧にしようと思ってもそれはできないですし、必ず自分の中のエモーショナルな部分がはみ出てくるんですけど、そこはかとないせつなさ、多幸感、祝祭感、焦燥感を、あるがままに、自分が書くというより、この辺から引っ張ってくるというようなつもりで、シグナレスの歌詞は書きますね。ポツンと置かれた寂寥とか祝祭を、池永さんがコンプをかけて上げてくれるような感じがするんです。

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リリース情報

シグナレス<br>
『NO SIGNAL』
シグナレス
『NO SIGNAL』

2011年2月2日発売
価格:2,300円(税込)
FCT-1007

1. y.s.s.o.
2. ローカルサーファー(Album ver.)
3. 太陽の雨
4. パレード
5. LOST
6. 風
7. 星の唄
8. ローカルサーファー(やけのはらREMIX)

プロフィール

シグナレス

シンガー・ソング・ライター「ゆーきゃん」と、エレクトロ・ダブ・ユニット「あらかじめ決められた恋人たちへ」のリーダーであるピアニカ奏者/トラックメイカーの池永正二を中心としたプロジェクト。2010年、ライブハウスやクラブといった従来の枠組みから飛び出し(はみ出し)、オフィス、映画館、Tシャツショップなどでのショウをスタート。10年12月、12インチ・ヴァイナル『local surfer』をJET SETよりリリース、300枚の限定プレスは発売前にすべて出荷終了。そしてついに11年2月、felicityよりファーストアルバム『NO SIGNAL』をリリースする。

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