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許された現実逃避 シグナレス インタビュー

許された現実逃避 シグナレス インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2011/02/04

池永さんとやってるときは、自分の中にある別の、一音楽ファンとしての扉が開かれている気がして楽しい。

―「ゆーきゃん meets あらかじめ決められた恋人たちへ」の名義で初めてライブをしたのは05年のボロフェスタでしたよね?

ゆーきゃん:そうですね。最初はただ一緒にやってみたいっていうのがあったんですけど、それからこの編成でイベントに誘われることも多くなって。

―ゆーきゃんさんは、色んな編成でライブをやっていましたよね。

ゆーきゃん:1人でやるときもあれば、「ゆーきゃん with his best friends」とか「ゆーきゃん meets あらかじめ決められた恋人たちへ」とか、いくつかのライブ編成があったんですけど、そうするとライブ・オファーを頂くときに「〜で出てください」って言われるんです。その中でも「あら恋さんと一緒にやってください」っていうのはたくさん言われました。

許された現実逃避 シグナレス インタビュー
池永正二

池永:なんか派手だったもんね、ゆーきゃんなのに(笑)。ゆーきゃんが歌ってんのに、手数の多いドラムがドカスカやって、キーボーディストも居ればトラックもあって、隣に完全に酔っ払ったベース、振り向けば猛烈な勢いのドラム、逆向けばギタリストがギター壊したりしてましたから(笑)。それで、ゆーきゃんもすごいテンション高くて、どっか登り始めたり、踊り始めたりしてね(笑)。


―(笑)。周りの音によってテンションが高められたんでしょうね。

ゆーきゃん:実はクラブとかすごく好きで、オールナイトのパーティーにも遊びに行くんです。もともとは自分の中に、ソロでやってるシンガーソングライターのゆーきゃんとは違った要素がたくさんあって、でも自分の声とか自分の持ってるメロディで一番よくできることはなんだろうって考えた結果が「ギターの弾き語り」だったんです。なので、池永さんとやってるときは自分の中にある別の、一音楽ファンとしての扉が開かれている気がして、それがすごく楽しかったんだろうなって。

最新型の音楽のモードに対して、日本語で回答するということが今の僕らの間で共通の意識だと思うんです。

―そして、09年から「シグナレス」としての活動を開始したわけですね。

池永:大阪から東京に出て来てからやな。なんで名前つけたんっけ?

ゆーきゃん:「ゆーきゃん meets あらかじめ決められた恋人たちへ」のままだと、ゆーきゃんとあら恋っていうアーティストが一緒にやってるっていうイメージが1人歩きしちゃうから。実際はもうそれぞれの音楽とは別もんやし、別の名前にしましょうかって。

池永:物語性が全然ない回答ですけど、一言「ややこしいやん!」っていう(笑)。

―バンドスタイルから、現在の2人のユニットに変わったのは何故なんですか?

池永:あら恋の他のメンバーが大阪にいたままやったんで、「できる範囲で2人でやろうか」って。だから必然的な流れですね。今多いじゃないですか?ブロークン・ソーシャル・シーンとか、10何人メンバーがいるけど、1人か2人中心人物がいて、周りは流動的っていう。それが今っぽいって言うと変ですけど、そういう感じですね。今はこうなってるけど、また増えるかもしれないし(笑)。

―「シグナレス」っていうバンド名の由来は宮沢賢治の童話『シグナルとシグナレス』からですよね?

池永:宮沢賢治の世界観って変なノスタルジーがあるじゃないですか? 厳しいっていうか、甘ったるいメランコリックじゃない感じ。それに言葉の響きがテクノっぽいなっていうのもあって。

―トラックの方向性はどうやって決まっていったんですか?

ゆーきゃん:元々はあら恋の世界観とゆーきゃんの世界観をかけ合わせようってところから始まって、そこからちょっとずつコンセプチュアルになっていって、ニュー・オーダーとかキュアーとか、あとダブ・ステップのリズムを取り入れようとか。それが今はもうちょっと、世界的な流行というか、最新型の音楽のモードに対して、日本語で回答するということが今の僕らの間で共通の意識だと思うんです。池永さんはすごくMySpaceで音楽をチェックしてて、「今これが面白いから聴いてみて」って。

池永:言わんでええのに(笑)。いろんなの聴いてみたら面白かったんですよ。今流行ってるチルウェイヴとかグローファイを友達から教えてもらって、チラッと覗いてみたら、僕らが昔聴いてきた音楽なんですよね。キュアーとかニュー・オーダーとかジザメリって僕の青春時代なんですけど、そういうのが今新装開店されてて、「こんなんやっていいんや!」って開き直れたっていう。だから今年のテーマは懐メロなんかなと思ってて(笑)。

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リリース情報

シグナレス<br>
『NO SIGNAL』
シグナレス
『NO SIGNAL』

2011年2月2日発売
価格:2,300円(税込)
FCT-1007

1. y.s.s.o.
2. ローカルサーファー(Album ver.)
3. 太陽の雨
4. パレード
5. LOST
6. 風
7. 星の唄
8. ローカルサーファー(やけのはらREMIX)

プロフィール

シグナレス

シンガー・ソング・ライター「ゆーきゃん」と、エレクトロ・ダブ・ユニット「あらかじめ決められた恋人たちへ」のリーダーであるピアニカ奏者/トラックメイカーの池永正二を中心としたプロジェクト。2010年、ライブハウスやクラブといった従来の枠組みから飛び出し(はみ出し)、オフィス、映画館、Tシャツショップなどでのショウをスタート。10年12月、12インチ・ヴァイナル『local surfer』をJET SETよりリリース、300枚の限定プレスは発売前にすべて出荷終了。そしてついに11年2月、felicityよりファーストアルバム『NO SIGNAL』をリリースする。

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何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

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