特集 PR

寒さから育った温もり sleepy.abインタビュー

寒さから育った温もり sleepy.abインタビュー

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:柏井万作
2011/02/16

生まれ育った環境や人間性が、奏でられる音楽からここまで感じ取れるバンドも珍しいかもしれない。結成以来、一貫して北海道を拠点に活動するsleepy.ab(スリーピー)が、通算6枚目のオリジナルアルバム『Mother Goose』を発表した。前アルバム『paratroop』より活動の場をメジャーに移し、より人肌感の増した今作を聴くと、寒さの厳しい土地で暖をとる姿、春の訪れを喜ぶ感情、湿気の少ない澄んだ空気、ちょっとばかり奥手な性格など、変わらずに北海道で日々を送る彼らの姿を強く感じることができるはずだ。楽曲制作の背景から、ビックリする音楽を始めたきっかけまで、成山(Vo,Gt)と山内(Gt)の人間性を時間の許す限り探ってみた。

(インタビュー・テキスト:タナカヒロシ 撮影:柏井万作)

北海道でいう冬眠が明けたような、ちょっとキラキラした春っぽいイメージを落とし込めたかな。

―メジャー移籍後2枚目のアルバムになりますけど、活動の仕方に変化はありました?

成山:いまも札幌在住なので、大きく変わることはないんですけど、今回のアルバムに向けてということで言えば、初めてシングルを出すということで、バンド内でも大きい話し合いがありましたね。

―どんな話し合いが?

成山:いまの音楽シーンのなかでも、自分たちは真ん中にいるタイプではないので、どういうものが「sleepy.abらしさ」なのかとか。シングルというものに対しても、4人とも考えることは違うだろうし。だから、まずは各々が考えるシングルを作ってこようという話になって。それで全員で曲を出して、そのなかでも一番ポップなベース・田中の曲に。

―それが“君と背景”ですよね。確かにすごくポップな曲だと思いました。

成山:ポップなものでなきゃダメだなという感じもしてたんですよね。sleepy.abが持つ人懐っこさというか、人間性みたいなところが出た曲だったなと思って。冬から春にかけて制作をしたんですけど、北海道でいう冬眠が明けたような、ちょっとキラキラした春っぽいイメージもあったので、そういうのを落とし込めたかなと。ただ、メロディーがポップなゆえに、アレンジで何かをやらないと「らしさ」がなくなっちゃうと思って。だから山内(プロデュースも担当)には「光の量を濃くしてください」と。

寒さから育った温もり sleepy.abインタビュー
成山剛

山内:意味がよくわからなかったけど(笑)。

成山:でも、「うん」って言ってたよね(笑)。結果的には、輪郭を出したことで、浮き立ったなと思って。

―いままでは抽象的なイメージもありましたもんね。

成山:そうですね。山内が最終的に色を塗るみたいな作業をすることが多いんですけど、くすんだ色とか好きじゃない?

山内:くすんだ色(笑)。

成山:“君と背景”に関しては、「原色で来たね」みたいな感じはしましたね。

―くすんだ色が好きっていうのは、北海道という土地柄とか、自分が生活している空気感とか、そういうのが影響してるんですか?

山内:そういう性格になっちゃってるのかもしれないですね。部屋にこもって作っちゃうみたいな。

成山:北海道の距離感とか閉鎖感とか、いい意味でそういうのがあるのかなって。

寒さから育った温もり sleepy.abインタビュー
右:山内憲介

―そこは自分たちで意識してる部分?

成山:昔は全然意識してなかったんですけど、東京でライブするようになってから、「北海道っぽいですよね」とか言われるようになって、「へー、そうなんだ」って。初めは「田舎者なのかな?」とか、そういうことを言われてるのかなと思ってたんですよ(笑)。

―ははは(笑)。今回のアルバムじゃないですけど、“ねむろ”っていう曲もありますよね(2008年発表『archive』収録)。

成山:(生まれ育った)根室の原風景みたいなものは、俺のなかですごいありますね。ポツンと人が佇んでる感じというか。人口的なものもあるけど、根室って本当に寂しいんですよ。霧がすごくて、ほとんど晴れることがなくて。あっちでは海霧(じり)とか、ガスがかかってるとかって言うんですけど。ガスがすごい日は、前を走ってる車のテールランプが見えないくらい。札幌に出て来てから、こんなに透き通ってるんだ! と思いましたもん。不思議なところなんですよね。

―北海道のなかでも、出身地はバラバラなんですか?

成山:実は札幌出身は誰もいなくて。函館(山内)とか、岩見沢(田中)とか、恵庭(津波)とか。「北海道っぽい」とか、それを客観的に見れてるような気がするのは、ほんとここ最近ですよね。寒いからこそ家にこもるあったかさっていうか、暖炉の前であったまる感じとか、距離感とか、温もりとか、そういうことが北海道っぽいのかなとは感じてます。

Page 1
次へ

イベント情報

『Mother Goose Tour』

2011年4月5日(火)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:新潟県 CLUB RIVERST

2011年4月6日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:石川県 金沢 VANVAN V4

2011年4月8日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 AKASO

2011年4月9日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:愛知県 名古屋 APOLLO THEATER

2011年4月16日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:福岡県 福岡 ビブレホール

2011年4月17日(日)OPEN 16:30 / START 17:00
会場:岡山県 岡山 CRAZYMAMA 2nd ROOM

2011年4月20日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:宮城県 仙台 HooK

2011年4月23日(土)OPEN 17:45 / START 18:30
会場:北海道 札幌 道新ホール

2011年4月29日(金・祝)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 東京グローブ座

2011年4月30日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京都 東京グローブ座

リリース情報

sleepy.ab<br>
『Mother Goose』
sleepy.ab
『Mother Goose』

2011年2月23日発売
価格:2,500円(税込)
PONY CANYON / PCCA-03352

1. 街
2. ドングリ
3. 君と背景
4. マザーグース
5. かくれんぼ
6. Maggot Brain
7. エトピリカ
8. シエスタ
9. way home
10. トラベラー
11. 夢織り唄
12. アルフヘイム

プロフィール

sleepy.ab

札幌在住の4ピースバンド。シンプルに美しいメロディ、声、空間を飛び交うサウンドスケープで「absolute」な音世界をすでに確立している。国内外アーティストからも注目され、『ARABAKI ROCK FES』、『RISING SUN ROCK FES』、『SUMMER SONIC』、『RUSH BALL』、『FUJI ROCK FES.』などの大型フェスにも出演。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間 1

    BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間

  2. VTuber集結『NHKバーチャル文化祭』にキズナアイ、シロ、さだまさしら 2

    VTuber集結『NHKバーチャル文化祭』にキズナアイ、シロ、さだまさしら

  3. YOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』9月刊行 3

    YOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』9月刊行

  4. 著名人が選ぶ『ゲーム・オブ・スローンズ』ベストエピソード一挙放送 4

    著名人が選ぶ『ゲーム・オブ・スローンズ』ベストエピソード一挙放送

  5. 芦田愛菜『星の子』永瀬正敏と原田知世が「あやしい宗教」信じる両親役 5

    芦田愛菜『星の子』永瀬正敏と原田知世が「あやしい宗教」信じる両親役

  6. 星野源、去年11月のニューヨークライブの模様をNHK総合で地上波初オンエア 6

    星野源、去年11月のニューヨークライブの模様をNHK総合で地上波初オンエア

  7. 森七菜が歌う“スマイル”カバー配信リリース ホフディランがプロデュース 7

    森七菜が歌う“スマイル”カバー配信リリース ホフディランがプロデュース

  8. 田丸雅智×曽我部恵一が登壇『真夏のショートショート食堂』オンライン開催 8

    田丸雅智×曽我部恵一が登壇『真夏のショートショート食堂』オンライン開催

  9. のん×林遣都が共演 大九明子監督、綿矢りさ原作の映画『私をくいとめて』 9

    のん×林遣都が共演 大九明子監督、綿矢りさ原作の映画『私をくいとめて』

  10. もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー 10

    もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー