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写真から世界へ踏み出せる テラウチマサト×Sam Barzilay対談

写真から世界へ踏み出せる テラウチマサト×Sam Barzilay対談

インタビュー・テキスト
田島太陽
撮影:安野泰子

日本は写真もガラパゴス?

─テラウチさんはなぜ『NYPH』に出展しようと思われたのですか?

テラウチ:僕らは手探りで『御苗場』を始めたわけですが、いつか「あれに出たんだよ」と自慢してもらえるようなイベントにしたいという目標があるんです。だからアメリカのフォトフェスティバルに参加できれば、『御苗場』に出た人たちのブランドイメージの向上に繋がるだろうと思ったことがひとつあります。

もうひとつは、より可能性のある出会いの場を作りかったということ。実は写真の展覧会や個展を開いても、友達や家族は見に来てくれるけど、あまり広がらないことが多いんです。そういう展示にも意味はあるかもしれないけど、僕は新しい出会いを作ることが大事だと思っています。だからニューヨークという写真の歴史がある街で『御苗場』をやれれば、広がりや発見を見つけられるだろうと思ったんです。

─実際に『NYPH』をご覧になってどんなことを感じましたか?

テラウチ:これからという人もいるし、すぐにビッグになるだろうなという作家も混在しているのが新鮮な驚きでした。キュレーターによってセレクトされる作品の雰囲気がガラリと変わるのも面白いですよね。

サム:変化も『NYPH』が持つひとつの美しさです。毎回違うから、みんなの想像をいい意味で裏切ることができるし、常に進化できる。それは大切な要素です。

─『NYPH』がきっかけとなって有名になった写真家もいるそうですね。

サム:ニューヨークのホイットニーミュージアムでは、輝かしい未来をもっている若手アーティストを全米からピックアップする展覧会を2年に1度行っているんですが、2008年から2010年に『NYPH』で紹介した写真家が5人も選ばれたんです。これはすごいことで、とても信じられない気分でした。

─日本とNYでは写真のテイストで違いはあるのでしょうか?

サム:日本には実験的な作品が多い印象があります。もちろんアメリカやヨーロッパの写真家もチャレンジしているけれど、これまでの写真史を踏まえたものが多いんです。日本人は写真史にとらわれることなく、新しいことにトライしていますよね。僕はまだ日本の写真について深くは知らないのですが、どんな歴史があってこの現状に至ったのかに興味が湧いています。

テラウチ:サムが言ってくれていることはすごく嬉しい反面、残念な部分でもありますね。日本人はまだ写真において鎖国状態というか、海外の写真史をほとんど知らないんですよ。日本は「ガラパゴス」とよく言われますよね。それは写真界もそうで、だからこそ『NYPH』に参加できるということは、ガラパゴスが初めて外の文化に触れるという意義があるんです。サムの話を聞いて、すごく面白いものになるんじゃないかと改めて思ってきました(笑)。

写真から世界へ踏み出せる テラウチマサト×Sam Barzilay対談

世界を変えたいのなら、自分が変化の兆しになれ

─テラウチさんはプロのカメラマンとして活動しながら、写真雑誌『PHaT PHOTO』を創刊・編集し、また写真教室も運営されていますよね。自分の作品を突き詰めることだけではなく、写真を広める活動にも力を入れているのはなぜなんでしょうか?

テラウチ:僕はフリーカメラマンとして稼ぎまくっていた時代があったんですが、その頃ある先輩に「全体の繁栄なくして個人の発展はないよ」とピシャリ! と言われたんです。それが僕には本当に鮮烈な一言だったんですよ。どんなに僕が頑張っても、写真業界そのものがなくなったらなんの意味もない。それで、まずは全体の繁栄のためにできることをやろうと決めたんです。

僕の目標は、ひとりでも多くの人に写真を好きになってもらうことなんですが、そのためには自分のたずさえてきたタスキをちゃんと次の世代に繋げることが大切。NYに出て行くことは、タスキを繋げる重要なプロセスなんです。

サム:僕も同じようなことを考えています。「もし世界を変えたいのなら、自分が変化の兆しになれ」という言葉が僕はとても好きなんです。自分が理想とする社会があるならば、まずは自分がその一歩目を踏み出すべきで、テラウチさんの活動はまさにその言葉にぴったりですよね。

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イベント情報

『御苗場 in NY』

2011年5月11日(水)〜5月15日(日)

現在、出展作品を3月18日(金)まで募集中(当日消印有効)。
審査実施後、最大10名の作家作品を「御苗場 in NY」にて展示。
応募詳細は『御苗場 in NY』ウェブサイトを参照ください。

プロフィール

テラウチマサト

{写真家、『PHaT PHOTO』編集長、『御苗場』総合プロデューサー。2000 年、フォトカルチャーを提案する雑誌『PHaT PHOTO』を創刊。編集長兼発行人として写真業界に新ジャンルを確立した。また、CP+会場や横浜・大阪において参加型写真展「御苗場(ONAEBA)」をプロデュースしている。
御苗場公式ウェブサイト
『御苗場 in NY』

Sam Barzilay(サム・バージレー)
アメリカを代表するフォトフェスティバル「New York Photo Festival(『NYPH』)」の運営ディレクター兼創立メンバー。

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