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音楽は人を変えられる 砂原良徳インタビュー

音楽は人を変えられる 砂原良徳インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2011/04/01

音楽自体は結構抽象的なものだと思うから、やっぱり誤解の部分っていうか、違った解釈があるっていう、それが面白いところですからね。

―音楽業界の話といっても、結局は全体の経済の話とどうしたって結びつきますもんね。じゃあ、近年は音源よりライブが重要だっていう話もありますよね? 砂原さんもライブ活動が以前より活発になってきていますが、ライブに関してはどのような考えがありますか?

砂原:共通体験の重要さっていうんですかね、ライブだと同じタイムラインで1曲目から最後までみんなで一緒に見たり聴いたりするわけですけども、今の時代はそういう共通体験が少なくなってきてる気がして。自分の家でYouTubeで見たり聴いたりするのって、みんな同時にやってるわけじゃないじゃないですか? 昔だったらピンク・レディが売れてたら、みんなピンク・レディを聴いてて、それが時代の雰囲気とか気分になったりしたと思うんですけど、今の共通体験というと、サッカーとか野球の世界大会とか、そういうところですよね。

―そうですね。

砂原:みんな共通体験をいらないとは思っていなくて、実は求めている感じはあるじゃないですか。実際にすごく盛り上がるわけだし。人間は個ですけど、個だけではやっぱり生きていけないというか、成立しないですから、そういう共通体験っていうのは必要だし、重要だと思うんです。だから僕もライブで、同じ空間で、同じ時間軸で見せたいなって思っているんです。

―すごく大きな質問になりますが、砂原さんは音楽の力でどんな変化が起きることを期待していますか?

砂原:それはやっぱり、個々が社会の1個のピースであることを認識することですね。例えば、エジプトで何が起きようと自分には全く関係ないし、影響ないと思って生きている人がすごくいっぱいいるので、そういう人の意識がもうちょっと変わってほしいなって。もちろん、自分ももっと高い意識を持つ必要があるんですけど。

―わかっていても、流してしまいがちですからね。

砂原:わからないふりをしてる人もいますよね。わかっていても、行動するのが難しいから。また一方では、行動することで生まれる「副作用」を無視している人も多い。現代人ってみんな濃い知識をいっぱい持ってるけど、それがいろんなところに点在しているだけで、全然つながってないんですよ。だから自分がやってる活動の中に副作用があることに気づかないんです。

―難しい問題ですね。

砂原:こういうことを考えた上で何かをやろうと思うと、大体何もできないっていう状況に陥りがちなんですよね。悩みますよ、ホントに。音をひとつ出すのでも悩みます。「実は出さないほうがいいんじゃないか?」って思うこともありますし。

―その悩みが積み重なった10年でもあった?

砂原:それはありますね。何かをやろうと思っても、副作用のこともあって、ホントにそれをやるのが正しいことなのか考えてしまう。音楽じゃなくても悩むと思うんですよね、今って。でも、そういう意識は高めた方がいいと思うし、人にも持っていてほしいっていうのはありますね。

―はい、よくわかります。

砂原:別に音楽を聴くことで人により意識的になってほしいとか、そういうことだけのために音楽を作ってるわけでもない。僕の想いはこうで、これが正しくて、これ以外の解釈は間違いとか、そういうつもりは全然ないんです。それだったら、自分でマニフェスト掲げて社会活動をやったらいいと思うんですよ。音楽は結構抽象的なものだと思うから、やっぱり誤解の部分っていうか、違った解釈があるっていう、それが面白いところですからね。

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リリース情報

砂原良徳『liminal』
砂原良徳
『liminal』初回限定盤(CD+DVD)

2011年4月6日発売
価格:3,360円(税込)
Ki/oon / KSCL-1666-1667

1. The First Step(Version liminal)
2. Physical Music
3. Natural
4. Bluelight
5. Boiling Point
6. Beat It
7. Capacity(Version liminal)
8. liminal
[DVD収録内容]
1. subliminal
2. Wave Motioh(Version2)
3. LOVEBEAT(live at Liquidroom 2009)

リリース情報

砂原良徳『liminal』
砂原良徳
『liminal』通常盤

2011年4月6日発売
価格:3,059円(税込)
Ki/oon / KSCL-1668

1. The First Step(Version liminal)
2. Physical Music
3. Natural
4. Bluelight
5. Boiling Point
6. Beat It
7. Capacity(Version liminal)
8. liminal

プロフィール

砂原良徳

電気グルーヴに91年に加入し、99年に脱退。ソロとしては、95年〜01年にかけて4枚のアルバムをリリースし、その他にもプロデュースワークや数多くのCM音楽などをを手掛けてきた。昨年5月には、元スーパーカーのメンバーで現在は作詞家、音楽プロデューサーとして活躍するいしわたり淳治とプロデュースユニット (ユニット名:いしわたり淳治&砂原良徳)を始動。同年7月に9年ぶりとなるオリジナル作品、4曲収録のEP『subliminal』をリリース。

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