
ROVO(勝井祐二・益子樹) インタビュー
- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:柏井万作
極端なことを言えば、ステージに上がらなくてもいいし。どこで誰が何をやってるかは関係なくて、音だけ出てればいいと俺は思ってて。
―では、ちょっと話題を変えて、益子さんは砂原良徳さんの新作のミックスとマスタリングを手がけられてますよね。先日砂原さんに取材させていただいて印象的だったのが、昔は音楽のトレンドに対するリアクションで音楽を作っていたけど、今は現実の世界で起きていることに対するリアクションで音楽を作っているっていう話だったんですね。この話をROVOに当てはめるといかがですか?
勝井:どうして自分が音を出すのか、どうしてこれをやるのかっていうのは、目の前のことすべてが影響しますよね。特に僕らは野外で演奏することが多いから感じることですけど、会場によって、天気も空気も温度も湿度も毎回違うんですね。それはすごく僕らに影響を与えてますね。
益子:「場」っていうか、曲を作って、演奏するっていうのは、自分の中の出来事を発表するっていうことに変わりはないのかもしれないけど、でも、その場で上手く機能するかっていうのを大きな要素として考えてるっていうか、独りよがりじゃないっていうか(笑)。
勝井:ただ「自分を見てくれ」って、こっちから発信するだけじゃないっていう。
益子:極端なことを言えば、ステージに上がらなくてもいいんです。どこで誰が何をやってるかは関係なくて、音だけ出てればいいと俺は思ってて。
勝井:だからROVOの最初のライブのときに、「俺たちに照明なんか当てなくてもいい」、「見えなくてもいい」って言ってやったら、真っ暗で、すごく演奏しづらくて(笑)。
―(笑)。それが今は映像や照明を見事に使っているわけですよね。
勝井:映像の演出を積極的にやろうと思ったのも、要はそういうことなんです。「俺を見てくれ」みたいなことじゃないわけ。でも、ステージに出て演奏するっていうことになってるから、どういう風にステージだけじゃなくて、全体を使ってそこにいる人たちと空間を共有するかって考えたときに、映像表現と一緒にステージを作っていくっていうことを考えたんです。
―なるほど。
勝井:バンドを結成して15年経つけど、やってることはホント変わんないんですよ。もちろん、曲は新しいものをやるけど、基本線はほとんど変わってないんです。照明なんて要らないって言ったら真っ暗で演奏しづらかった、じゃあ次はもうちょっと考えないとっていうのの延長で今の映像演出が成り立ってるんです。
優劣はなくて、あるとしたら、誰と一緒にやるか。
―これは益子さんにお聞きしたくて、前回の取材で勝井さんと山本さんにもお聞きしたことなんですけど、ROVOっていわゆる運命共同体的なバンドではなくて、メンバーそれぞれが多彩な活動をされてますよね? 益子さんも色々な活動をされていますが、その中でROVOというバンドが益子さんにとってどういった意味を持つバンドなのかを教えていただきたいのですが。
益子:難しい質問ですね…あんまりそういう考え方でバンドに接してないかもしれないですね。演奏するっていうことは日常生活とはちょっと違うかもしれないけど、演奏することに対する自分の中での必然性はあるので、ROVOだからどうっていう特殊な意識は全然なくて。ROVOに限らず何でもそうなんですけど、その場でできることをやるっていう。そのうちのひとつっていうと軽く聞こえるかもしれないですけど、もちろん大切な場所ではあるんです。ただ15年もやってるからかもしれないですけど、特別な意識はないんですよね。
―もちろん、優劣もないと。
益子:優劣はなくて、あるとしたら、誰と一緒にやるか。ROVOっていうバンドが場においてどう機能するかを考えてるっていうのと似てて、自分がやりたいことを人に合わせるとか、譲るとかって意味じゃなくて、その人たちとどうすればいい状態で共存できるかっていうことを考えて音を出す、その感覚が1番通じやすい場所ではあると思います。そういう意味では特殊かもしれないですね。
リリース情報

- ROVO
『RAVO DUB』 -
2011年4月27日タワーレコード限定発売
価格:2,415円(税込)
WRCD-491. TANGER DUB
2. ECLIPSE DUB
3. BAAL DUB
4. RMDUB
5. SINO+DUB
イベント情報
- ROVO presents
『MDT FESTIVAL 2011』 -
2011年5月22日(日)
会場:東京都 日比谷野外音楽堂出演:
ROVO
ZAZEN BOYS
七尾旅人料金:前売4,500円
『ROVO TOUR 2011』
2011年5月13日(金)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO
出演:ROVO
VJ:迫田悠
料金:前売3,500円 当日4,000円(ドリンク別)2011年5月14日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:大阪府 梅田 Shangri-La
出演:
ROVO
sgt.
Nabowa
料金:前売3,800円 当日4,300円(ドリンク別)2011年5月15日(日)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:京都府 磔磔
出演:ROVO
VJ:迫田悠
料金:前売3,500円 当日4,000円(ドリンク別)
プロフィール
- ROVO
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勝井祐二(Vln)、山本精一(Gt)、芳垣安洋 (Dr,Per)、岡部洋一(Dr,Per)、原田仁(Ba)、益子樹(Syn)。「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に結成。バンドサウンドによるダンスミュージックシーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。『フジロック・フェスティバル』『ライジングサン・ロックフェスティバル』『メタモルフォーゼ』『朝霧JAM』など、大型フェス/野外パーティーにヘッドライナーとして連続出演。国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンスミュージックバンド。