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メッセージは必要ない 細野晴臣インタビュー

メッセージは必要ない 細野晴臣インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2011/06/17

はっぴいえんど、ティン・パン・アレー、YMO、そして数々の素晴らしいソロ作…これまで細野晴臣が日本の音楽シーンに与えた影響の大きさは計り知れない。近年はSAKEROCKをはじめとした若手との交流も活発で、そのポジションは紛れもなく唯一無二である。ソロデビュー作『HOSONO HOUSE』以来、実に38年ぶりの全曲ボーカルアルバムとなった新作『HoSoNoVa』は、外へ外へとアピールすることが前提となった現代のカルチャーに背を向け、自らの中へ中へと旅をして作り上げた作品だという。震災以後でも、この作品が変わらぬ温度と強度を持って響くのは、これまで自然体で変化を受容しながらも、自らの中に確固たる表現基盤を築き上げてきた、細野の作品ならではだと言っていいだろう。

地震の後の1ヵ月半ぐらいは音楽自体聴いてなかった

―『HoSoNoVa』のブックレットに「全曲を数ヶ月に渡り聴き過ぎてしまい、完成すればもう自分では聴かないだろう」というコメントがありましたが、実際に完成後は聴かれてないですか?

細野:聴いてないですね。特に地震の後の1ヵ月半ぐらいは音楽自体聴いてなかったし…うん、改まって聴いてないなあ、やっぱり。

―地震の後はしばらく音楽を聴く気になれなかったんですか?

細野:テレビのニュースばっかり見てましたから、他のところに目が行かなくなっちゃって、違う世界に入れなくなっちゃったんですよね。

―現実のインパクトが強過ぎましたからね。でも、次第に聴けるようになりました?

細野:ええ、日常が戻った感じがしてますけど…まだ、あんまり不安は終わってないっていうか。

―それも含めて日常になった感じがありますよね。

細野:そうね、定着しちゃったんですよね。ちょっとずつ麻痺してきたり。まあ、こんなことがなくても(自分の作品は)聴き返さないんですけど。10年、20年後に生きてたら聴くかな(笑)。

―(笑)。全曲ボーカルアルバムというのは本当にひさびさで、『HOSONO HOUSE』以来38年ぶりというと、僕はまだ生まれてもないです。

細野:そうですよね。僕も生まれてないです(笑)。

―じゃあ『HOSONO HOUSE』はどなたが作ったんでしょう(笑)。

細野:まあ、「38年ぶり」とかっていうのは誰かが考えたことでね、当たらずとも遠からずで、確かにフルで歌ってるのは38年ぶりかもしれない。ただ、そこにインストが入ってたり入ってなかったりっていうのはその時の具合ですから、今回たまたま入ってなかっただけで。

―本作の制作はルーツミュージックのカバーからスタートしてるんですよね?

細野:この10年ぐらいはライブ活動がとても活発になってきちゃったんですね。ライブは好きじゃなかったのに、「何でこんなにやってるんだろう?」と思いつつも、いつの間にか歌うことが好きになっていって、楽しくなってきて。それが何故かって言ったら、好きなカバーを演奏するのが楽しかったんですよ。だから、アルバムもそれをまとめようと思ったんだけど、周りから「オリジナルを」って言われて、「そりゃ、そうだな」と(笑)。それで、まあ少し作ってみようかとやり始めたら、自分の曲を作るのも楽しいなと思い出してきて、わりとオリジナルが増えていったんです。

2/4ページ:光景として、空気として、人々が輝いて見えたっていうライブは初めてだったんですね。

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リリース情報

細野晴臣『HoSoNoVa』
細野晴臣
『HoSoNoVa』

2011年4月20日発売
価格:3,150円(税込)
VICL-63777

1. ラモナ
2. スマイル
3. 悲しみのラッキースター
4. ローズマリー、ティートゥリー
5. ただいま
6. ロンサム・ロードムービー
7. ウォーカーズ・ブルース
8. バナナ追分
9. レイジーボーン
10. デザート・ブルース
11. カモナ・ガール
12. ラヴ・ミー

プロフィール

細野晴臣

1947年東京生まれ。音楽家。69年「エイプリル・フール」でデビュー。70年「はっぴいえんど」を結成。73年ソロ活動を開始。同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年高橋幸宏、坂本龍一とともに「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成。YMO散開後は、ワールド・ミュージック、アンビエント・ミュージックを探求、また歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。

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一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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