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曇りなき心構え ブライアン・イーノ インタビュー

曇りなき心構え ブライアン・イーノ インタビュー

インタビュー
Warp Records
構成:木下夕希

エクスペリメンタル(実験的)な音楽シーンにおいて、「巨匠」と呼ぶにふさわしい地位を築くブライアン・イーノ。「アンビエントミュージック」のパイオニア的存在であり、デヴィッド・ボウイ、U2などのアルバムプロデュースや、近年ではデヴィッド・バーンとのコラボーレションアルバムなど様々なアーティストとの盛んな交流でも知られる彼が、ニューアルバムを発表した。詩人のリック・ホランドとコラボレーションを行い、「声(ボイス)の可能性」という自身の長年の疑問に対して、ぐっと近づくことができたと語る本作。曇りなき言葉の数々からは、デジタルレコーディングの進化を喜び(もちろん、アナログ文化への称賛も忘れることなく)、時には道端で偶然出会った人に朗読を依頼するなどユニークな行動へも屈託なく取り組む、己の好奇心へひたすらに突き進む音楽家の姿を垣間見ることができるだろう。

「くそくらえ…デジタルに突き進もうぜ」と言いたいね(笑)。

―本作は、昨年10月にリリースされた『Small Craft On a Milk Sea』以来の作品となりますが、こんな早く新しいアルバムが出るとは思いませんでした。

イーノ:アルバムを出すたびにPR活動をしなくてもいいなら、もっとたくさん出しているよ(笑)。リリースの度にインタビューをしなければいけないから、マネジメントからもさんざん発表の頻度を減らせと言われてきたんだけど、ここ数年、音楽がまたエキサイティングなものに感じられるようになって、制作意欲が湧いてきているんだ。

曇りなき心構え ブライアン・イーノ インタビュー
ブライアン・イーノ

―それは何かきっかけがあったのでしょうか?

イーノ:デジタルレコーディングの可能性にワクワクしている。最近は誰もかれも「アナログに戻ろう」なんて言っているが、「くそくらえ…デジタルに突き進もうぜ」と言いたいね(笑)。

―(笑)。確かに最近はそういう風に言われる傾向にありますね。

イーノ:例えば、ポーティスヘッドが相当年季が入った調整されていないシンセサイザーを使っているとか、アナログテクノロジーを今でも大事にするバンドがいる事も嬉しいんだがね。ただ、アナログに対してロマンを抱く事には反対なんだ。

―それは具体的に言うと?

イーノ:アナログ楽器というのは、不安定で重くて制限だらけで、決していいものではなかったんだよ。「そんな楽器でも時に素晴らしい音楽を作る人間もいた」というだけで。それを今じゃ「あんな楽器だったからできた」なんて言ってるが、あんな楽器「でも」できたんだよ。素晴らしいのは楽器じゃなくて人間の方だったって事だ(笑)。

―なるほど(笑)。

イーノ:20世紀の音楽史において、スタジオレコーディングという手法が生まれたことは非常に大きな革命だったと思うけど、最近もあの当時のような、新世界に無限の可能性を感じているエキサイティングな感覚があるよ。デジタル分野の可能性が広がるにつれ、新世代のサプライズが待ち受けているんじゃないかな。しかも、制作のためのツールやテクノロジーだけじゃなく、配布や鑑賞のためのツールや技術に関しても。聞き方も入手法も、払い方も変わった………すまない、1人で喋ってしまっているな(笑)。

―いえいえ(笑)。では、話を戻しますが、本作では詩人とのコラボレーションという斬新な試みが行われてますね。なぜこのような作品を作られたのでしょうか?

イーノ:理由はひとつで、歌を作りながらも、歌手に既成の役割やポジションを取らせない形を試してみたかったんだ。まぁ、つまり声の別の役割に興味があったんだね。そもそも、これまでのポップスは常にシンガーが中心となって構成されてきた。音楽があって歌手がいる。そして、歌を通してシンガーが自分を表現しているのだと思われがちだ。

―それは違うと思うのですか?

イーノ:音楽が自伝的な物であるべきという古い観念は捨てるべきだ。僕は、音楽家は本来は劇作家のようなものだという考え方が好きなんだ。話の設定と登場人物を創り、そこから話を創っていく。芝居だったら誰もその考え方に抵抗感はない。ハムレットのお芝居を見ながら、ハムレットは実はシェイクスピアなんだなんて考えたりしないだろう?

―そうですね。

イーノ:歌と聞き手の間に歌手が入ると、その関係性が変わってしまう。だから、今回はあえてコラージュのように作り上げようと決めたんだ。私の声は出ないので当然自伝的ではなくなったし、空中を飛び交うひとつひとつの言葉を捕まえるための網のように歌を構成してみたかった。

2/4ページ:「歌うこと以外で、声(ボイス)に出来る事とはなんだろう?」という疑問はずっとあった。

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リリース情報

Brian Eno『ドラムス・ビトゥイーン・ザ・ベルズ - ブライアン・イーノ・アンド・ザ・ワーズ・オブ・リック・ホランド』
Brian Eno
『ドラムス・ビトゥイーン・ザ・ベルズ - ブライアン・イーノ・アンド・ザ・ワーズ・オブ・リック・ホランド』国内盤

2011年6月22日発売
価格:2,200円(税込)
BRC-298

1. bless this space
2. glitch
3. dream birds
4. pour it out
5. seedpods
6. the real
7. the airman
8. fierce aisles of light
9. as if your eyes were partly closed, as if you honed the swirl within them and offered me the world
10. a title
11. sounds alien
12. dow
13. multimedia
14. in the futuresilence
15. cloud 4
16. breath of crows

プロフィール

Brian Eno

ブライアン・イーノは、ソロ作品『Another Day on Earth』をリリースした以降も、音楽やそれ以外の面でも活動を続け、常にワイドなカルチャーの領域へとアプローチの幅を広げてきた。2010年、ブライアン・イーノ自身が「真に革新的なレーベル」と讃える「Warp Records」と契約し『Small Craft On A Milk Sea』をリリース。そのリリースから約8ヶ月という短期間で<「Warp Records>」からの2作目となる『Drums Between the Bells』をリリースした。

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