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ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由

ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由

インタビュー・テキスト
金子厚武
2011/09/13

これまでCINRAで洋楽アーティストのインタビューを掲載する機会はあまり多くなかったが、今こそ洋楽を取り上げることが必要だと感じている。00年代の前半から中盤にかけてYouTubeやMySpaceが浸透していった頃は、「これで海外との距離が縮まる」という期待を抱かせたが、その結果起こったのは、細分化に伴う洋楽リスナーの減少だった。元々「邦楽/洋楽」という壁が存在する日本において、洋楽(特定のスターは除く)は一部の愛好家のためのものになりつつあると言っても、決して過言ではないかもしれない。実際に、今年はこれまでTHE STROKES、ARCTIC MONKEYS、THE RAPTURE、CSSといった00年代を代表するアーティストのリリース・ラッシュだったにもかかわらず、どこか盛り上がるに欠けるどころか、むしろ目立ったのは洋楽を取り巻くメディアの厳しい状況だったりする。しかし、異なる国の文化に触れることによって自分を見つめ、相互理解を深めることの重要性はいつの時代も変わらない。

今回取材を行ったのは、新作『ヴェロキラプトル!』を発表するレスター出身の4人組KASABIAN。もちろん、多くのロックファンがご存知であろう、00年代のイギリスを代表するバンドのひとつである。しかし、ここ最近で日本のミュージシャンと洋楽の話をするときの共通項は「USインディは面白いけど、UKロックは今ダメだよね」というもの。実際、ARCTIC MONKEYSの登場を頂点に、イギリスにおけるギターロックの盛り上がりは下降線を辿り、現状が厳しいのは確かである。そんな中、KASABIANだけは2009年に発表した前作『ルナティック・アサイラム』をチャートの1位に送り込むなど、一人気を吐き続けている。
なぜ彼らだけがそのポジションを守っていられるのか? そして、『ヴェロキラプトル!』は、果たしてUKロック復権の起爆剤となるのだろうか?

重要なのは、みんなが一般的なロックに期待するものをただ作るんじゃなくて、新しいアイデアをどんどん出して、新しい世界に踏み込むことだね。

まずはKASABIANのこれまでの歩みを簡単に振り返っておこう。彼らがセルフタイトルのデビューアルバムを発表した2004年は、いわゆる「ロックンロール・リバイバル」の盛り上がりを受け、ポップでストレートなロックンロール・バンドが数多くシーンをにぎわせている時期だった (そう、それは今の日本とどこか似ている)。しかし、そんな中に布で顔を覆った不気味なアイコンを掲げ、THE STONE ROSESやPRIMAL SCREAMらと比較される強靭なグルーヴを持った「異端」としてシーンに登場すると、セカンドの『エンパイア』ではその世界観を過剰なまでに拡大させたスケールの大きなサウンドを鳴らし、見事に全英1位を獲得。続くサード『ルナティック・アサイラム』では、DJ SHADOWやGORILLAZらを手掛けているヒップホップ畑のプロデューサー、ダン・ジ・オートメーターを起用し、音数を減らすことでビートを強調した作風へと転換しながら、またしても全英1位を獲得している。そして、それから約2年の歳月を経て完成されたのが、通算4作目となる『ヴェロキラプトル!』だ。アルバムについて、ギターのサージ・ピッツオーノは以下のように語ってくれた。

サージ:前作とは全く違うアルバムにしたかったんだ。前作は狂気の世界っていうか、サイケデリックの世界を深く探求した作品だったけど、今回はよりダイレクトな、「ロックの名作」って感じの作品を作りたかった。それでいて未来的でもある…そう、フューチャリスティック・ロック・アルバムだね。

ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由"
サージ・ピッツオーノ

前作同様にプロデューサーにはダン・ジ・オートメーターが起用されており、ロックもヒップホップも飲み込んだ上での「レス・イズ・モア」なビート・ミュージックであることには変わりない。しかし、エレクトロニクスと生楽器がこれまでの作品以上に整然と融合を果たし、アルバム全体でのトータルな完成度を誇る本作からは、確かに「ロックの名作」と言うべき端正な雰囲気が伝わってくる。では、「未来的」とはどんな部分を指しているのだろう?

サージ:重要なのは今起きていることを認識し、吸収して、そういったものにどんどんトライすること。みんなが一般的なロックに期待するものをただ作るんじゃなくて、新しいアイデアをどんどん出して、新しい世界に踏み込むことだね。あとは、音楽っていうものが生まれてから何年経ってるかわからないけど、これまでの音楽のピースをすべて切り取って、別の組み合わせで出すってこと。このアルバムが、これまでにない全く新しいサウンドかっていうとそうじゃないし、まったく新しいスケールを使ってるわけでもないけど、その組み合わせがどれだけ新しいかってことが大事だと思うんだ。

2/3ページ:作品性にこだわって、そこにできる限りを詰め込めば、「こんな素晴らしい作品は絶対に欲しい!」ってみんな思うはずなんだ。

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リリース情報

カサビアン『ヴェロキラプトル!』
カサビアン
『ヴェロキラプトル!』初回限定盤(CD+DVD)

2011年9月21日発売
価格:3,570円(税込)
SICP3272-3

[収録楽曲]
・Let's Roll Just Like We Used To
・Days Are Forgotten
・Goodbye Kiss
・La Fée Verte
・Velociraptor!
・Acid Turkish Bath (Shelter From The Storm)
・I Hear Voices
・Re-wired
・Man Of Simple Pleasures
・Switchblade Smiles
・Neon Noon
[特典内容]
・21曲、114分に及ぶフルライブDVD
・日本盤限定ボーナストラック3曲収録
初回のみ特典封入

カサビアン『ヴェロキラプトル!』
カサビアン
『ヴェロキラプトル!』通常盤(CD)

2011年9月21日発売
価格:2,310円(税込)
SICP3274

[収録楽曲]
・Let's Roll Just Like We Used To
・Days Are Forgotten
・Goodbye Kiss
・La Fée Verte
・Velociraptor!
・Acid Turkish Bath (Shelter From The Storm)
・I Hear Voices
・Re-wired
・Man Of Simple Pleasures
・Switchblade Smiles
・Neon Noon
[特典内容]
・日本盤限定ボーナストラック3曲収録
・初回のみ特典封入

プロフィール

KASABIAN

トム(Vo)、サージ(G/Vo)を中心に英レスターで結成、後にクリス(B)、イアン(Dr)が加わり、現在のカサビアンとなる。04年のデビュー以降これまでにリリースした3作全てがミリオン・セールスを達成、現在2作連続で全英1位、最も権威あるBrit Awardでは「Best Group」も受賞している国民的バンドであり、海外や日本の大型フェスではヘッドライナーを務めるなど世界を代表するライブ・アクト。

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