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ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由

ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由

インタビュー・テキスト
金子厚武
2011/09/13

作品性にこだわって、そこにできる限りを詰め込めば、「こんな素晴らしい作品は絶対に欲しい!」ってみんな思うはずなんだ。

また、サージは「リスナーが11曲の間ずっとワクワクしてるような、そういう作品を作りたかった」とも言う。ダウンロードによって曲単位で聴くことが主流になりつつある今も、アルバムというパッケージの持つ芸術性に対する信頼に揺らぎはない。

ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由"

サージ:確かに今はダウンロードの時代だけど、それが作り手にも悪影響を与えてると思う。1曲だけシングルヒットがあればいいから、その周りに適当な曲を並べたようなアルバムを作ってて、その結果全体的な質が下がってる気がする。そうじゃなくて、作品性にこだわって、そこにできる限りを詰め込めば、「こんな素晴らしい作品は絶対に欲しい!」ってみんな思うはずなんだ。絵画にしても映像にしても、作り手の情熱が込められた作品は、受け手も家に置いておきたくなるだろ? だから今の風潮に反発して、「このアルバムはとにかく素晴らしい!」と思わせる作品にしなきゃって思ったんだ。

「ロックの名作」でありながら、「未来的」でもあるアルバム…そんな難題を達成するための更なる要件として、サージは「サウンドとメロディの両立」を挙げる。そして、それはそのまま今の音楽シーンへ向けた提言にもなっている。

サージ:今面白いのは、普通のロックバンドよりエレクトロニックなことをやってる人たちだと思うよ。ロックが最も刺激的だったのは1968年から1975年ぐらいだからさ。最近刺激を受けてるのは、SLEIGH BELLS、GANG GANG DANCE、ANIMAL COLLECTIVEなんかだね。彼らはすごいことをやってると思うんだけど、ただ「名曲を生む」っていう部分がちょっと欠けてる気がするんだ。昔は両方あったと思うんだよね、未来を感じさせるようなアイデアがありつつ、素晴らしい楽曲も存在した。その共存こそが僕らの理想なんだ。

実際に、本作にはこれまでのKASABIANの作品にはなかったような、シンプルで、美しいメロディが印象的な楽曲がいくつか存在する。中でも、ロックンロールに狂わされた二人の別れを甘いメロディで歌った“GOODBYE KISS”は、新境地とも言うべき名曲だ。

サージ:元々ロイ・オービソンとかエルヴィス・プレスリーとかエヴァリー・ブラザーズなんかが好きで、ああいう名曲を書くことほど難しいことはないと思うんだよね。それにチャレンジしてみたかったんだ。人から「KASABIANはそういうことをやっちゃダメだよ」って型にはめられるのなんて御免だし、そのときそのときで自分が本当にやりたいことをやるべきだと思う。

なぜKASABIANは、ヒットチャートにも生き残り続けられるのか?

90年代のイギリスにおいて最も素晴らしいメロディを残したバンドといえば、サージもファンを公言するOASISの名が浮かぶ。しかし、彼らの解散が一つの象徴であるかのように、現在イギリスはギターバンド冬の時代を迎えており、2010年のランキング上位100曲の中で、ギターロックはたったの3曲のみだったというのだから、かなり深刻な落ち込み具合である。

では改めて、そんな状況の中にあって、なぜKASABIANは今も厚い支持を受け、新作を待望されているのか。それは彼らがブームに乗って現れたのではなく、「異端」として登場しながら、自らの力で道を切り開いてきたからだろう。だからこそ、多くのロックンロール・バンドがブームと共に姿を消した今も、KASABIANだけは揺らぐことなく、トップを守り続けているのだ。

ロックが売れない時代に、KASABIANが勝ち続ける理由"

サージ:うん、自分たちでもホントに独自の立ち位置にいると思うよ。ファーストとかセカンドの頃って、「このバンドはこういうバンドだ」とか「このバンドに近い」とかってメディアが括ろうとしてたけど、サードを出してからはもう予測不可能で、そういうことが無意味になったと思う。今回も“GOODBYE KISS”と“SWITCHBLADE SMILES”みたいなまったく正反対の楽曲がひとつのアルバムに入ってるのなんて、俺たち以外できないんじゃないかな?


最初に、KASABIANが登場した2004年のイギリスの状況は今の日本に近いと書いたが、ARCTIC MONKEYSの登場がイギリスにおけるロックンロール・ムーヴメントの頂点だったように、今年の年末にTHE BAWDIESと毛皮のマリーズが立て続けに武道館公演を実施することで、日本におけるロックンロールの盛り上がりに関しても、ひとつの区切りとなるような気がしている。もちろん、これからも良質なロックンロール・バンドは現れるだろうが、その脇から自らの道を切り開いていったKASABIANのようなバンドが、日本でも現れることを期待したい。

2/3ページ:自分たちが歩んできた道のりがいかにすごかったか、「俺たち、ここまで来たんだな」って気分にもなるよ。そういうことを振り返って歌う時期だったんだろうね。

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リリース情報

カサビアン『ヴェロキラプトル!』
カサビアン
『ヴェロキラプトル!』初回限定盤(CD+DVD)

2011年9月21日発売
価格:3,570円(税込)
SICP3272-3

[収録楽曲]
・Let's Roll Just Like We Used To
・Days Are Forgotten
・Goodbye Kiss
・La Fée Verte
・Velociraptor!
・Acid Turkish Bath (Shelter From The Storm)
・I Hear Voices
・Re-wired
・Man Of Simple Pleasures
・Switchblade Smiles
・Neon Noon
[特典内容]
・21曲、114分に及ぶフルライブDVD
・日本盤限定ボーナストラック3曲収録
初回のみ特典封入

カサビアン『ヴェロキラプトル!』
カサビアン
『ヴェロキラプトル!』通常盤(CD)

2011年9月21日発売
価格:2,310円(税込)
SICP3274

[収録楽曲]
・Let's Roll Just Like We Used To
・Days Are Forgotten
・Goodbye Kiss
・La Fée Verte
・Velociraptor!
・Acid Turkish Bath (Shelter From The Storm)
・I Hear Voices
・Re-wired
・Man Of Simple Pleasures
・Switchblade Smiles
・Neon Noon
[特典内容]
・日本盤限定ボーナストラック3曲収録
・初回のみ特典封入

プロフィール

KASABIAN

トム(Vo)、サージ(G/Vo)を中心に英レスターで結成、後にクリス(B)、イアン(Dr)が加わり、現在のカサビアンとなる。04年のデビュー以降これまでにリリースした3作全てがミリオン・セールスを達成、現在2作連続で全英1位、最も権威あるBrit Awardでは「Best Group」も受賞している国民的バンドであり、海外や日本の大型フェスではヘッドライナーを務めるなど世界を代表するライブ・アクト。

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