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「あまのじゃく」だからこそ 大橋トリオインタビュー

「あまのじゃく」だからこそ 大橋トリオインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2011/12/06

根本的に、日本人ってものすごい努力をしなきゃいけない人々だと思うんですよ。

―大橋さんは常に高い理想を持ってらっしゃいますよね。だからこそ、「自分はボーカリストじゃない」ともおっしゃるし、以前は「ライブで満足したことはない」とおっしゃってましたし。そういう常に上を見るっていう考え方も、小さい頃から培われたものだったりするのでしょうか?

大橋:理想が高いのは、より上のものを知っちゃってるからっていうのがあるんですよね。「自分はもっとすごい表現をしたい。けど及ばない」っていうよりは、パフォーマンスから会場からPAからバックバンドから、すべてが極上なライブっていうのを1度見てしまうと、それを自分のライブに来てくれる人にも見せたいじゃないですか?

―たとえばそれは、どなたのライブだったんですか?

大橋:ダイアン・リーヴスっていう、ちょっとポップ寄りのジャズ歌手なんですけど、たまたま僕がアメリカに行ったときに、ハーバード大学の講堂でやってたライブで、それが人生最高のライブですね。

―ホールとかじゃなくて、大学の講堂だったんですね。

大橋:1000人も入らなくぐらいのサイズなんですけど、音量も程よくて、ミュージシャンも有名な人ばっかり、パフォーマンスは間違いないし、お客さんとの一体感もものすごくて。曲はジャズ系だから地味っちゃ地味なんですけど、個々が素晴らしすぎたし、アメリカの国民性もあるんだろうけど、いい感じで盛り上がるんですよ。「これが標準レベルになってる人たちだもん、そりゃクオリティ高いもん作るさ」って思いました。逆に言うと、日本人はライブなんかするべきじゃないって思いましたもん(笑)。

―日本でそれに近い体験をしたことってありませんか?

大橋:うーん難しいな…思い出せないってことはそこまでのものがないんでしょうね。まあ、そんなにいろいろなライブを見ている方ではないという事もあり…。根本的に、日本人ってものすごい努力をしなきゃいけない人々だと思うんですよ。体も小さいし、力も弱いし、その分すごい頑張ったから発展したんだろうし。

―先日JUJUさんの取材をして、JUJUさんもアメリカでジャズの厳しさを思い知ったっていうことをおっしゃってました。

大橋:だから、「日本人として」何かをやるべきで、でもクオリティを上げるために努力は絶対しなきゃいけない…いやもう、もどかしいですよ。基本的な能力が…って言っちゃうと元も子もないけど、でも往々にしてそうだから。だって、80を過ぎて明日にも天国行くかもしれないようなアメリカ人でも、めっちゃパワフルに歌うじゃないですか?

―演歌とか民謡であれば、日本人の体格にも合うんでしょうね。でも、アメリカ発祥の音楽だと、なかなか難しい。

大橋:だから、きっかけとして向こうのモノマネをするのはいいんですけど、それを突き詰めるのは怖いなって。だから、自分にできる範囲の何か新しいことを考えて、発信して行くっていう方に向けた方がいいんでしょうね。

大橋トリオ『R』ジャケット
大橋トリオ『R』ジャケット

限界というか…自分1人ではもうやり切ったかなっていう。

―最後にひとつ、念のためにお聞きしたいんですけど、紙資料に「第1期、大橋トリオの最高傑作とも呼べる」ってあったんですけど…

大橋:それ僕初めて見ました(笑)。

―これって受け取り方によっては今作で第1期の終了というようにも受け取れますが、そういうことでは…

大橋:ないですね(笑)。

―了解しました(笑)。とはいえ、今回のリリースで大橋トリオとしてのデビューから丸4年が経つわけですが、この4年間を振り返っての感想というといかがですか?

大橋:自分のイメージしたものを形にしやすくなったっていう感触はありますけど…それぐらいかな。ただ、自分1人でやってると、かなり限界はありますね。もっといい環境を作り出さないといけないなとは思うんで、信頼できるミュージシャンとかアレンジャーとか、そういう人たちが制作陣に入ってきてもいいのかなとは思ってます。限界というか…自分1人ではもうやり切ったかなっていう。

―となると、第1期の終了というのもあながち間違いではない?

大橋:第1期の「1」っていうのは、1人の「1」っていう意味なのかもね(笑)。

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リリース情報

大橋トリオ『L』
大橋トリオ
『L』

2011年12月7日発売
価格:2,415円
RZCD-46934

1. ユニコーン
2. Be there feat.BONNIE PINK
3. Starboard
4. First impression
5. ゼロ
6. Tea For Two
7. aquarium
8. COLD LETTER
9. わすれない
10. Bing Bang

大橋トリオ『R』
大橋トリオ
『R』

2011年12月7日発売
価格:2,415円
RZCD-46935

1. アネモネが鳴いた
2. 美しいもの
3. モンスター feat.秦 基博
4. シアワセの碧い鳥
5. Ethnic
6. ROOTs
7. the ice
8. ホルトノキ
9. The Long Parade
10. Bing Bang(trio original version)

プロフィール

大橋トリオ

音楽大学でジャズ・ピアノを学んだ後、阪本順治監督の映画『この世の外へ ~クラブ進駐軍~』にピアノ演奏とビッグバンド・アレンジで参加。以降、本名の大橋好規として映画音楽やCM曲の制作、小泉今日子や持田香織らへの楽曲提供やプロデュースを行なう。07年、シンガー・ソングライター・プロジェクト「大橋トリオ」としての活動を開始。08年にミニアルバム『A BIRD』でメジャーデビュー。09年11月にメジャー1stアルバム『I Got Rhythm?』を発表。そして11年12月7日、2枚のオリジナルアルバム『L』『R』を同時リリースする。

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