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生きるって何スか? bronbabaインタビュー

生きるって何スか? bronbabaインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/05/03

あなたはbronbabaをご存じだろうか? ジャンル云々では語れない、個性的な音楽性やパフォーマンスが一部で熱狂的な支持を集め、「次代のカリスマ」と大きな期待が寄せられていたバンドである。しかし、ファーストアルバム『kinder book』の発表直前にベーシストが失踪し、その後もしばらくは活動を続けるも、やがて活動休止状態に突入してしまっていた。それからしばらくのときが流れたが、昨年新進気鋭のレーベルkilk recordsとの契約を発表し、実に4年半ぶりの新作『World wide wonderful world』で、遂にシーンに帰還を果たす。CDの帯には、彼らの支持者の1人であるthe telephonesの石毛輝からのコメントも寄せられている。

取材に答えてくれたフロントマンの西方龍は、独自の視点や切り口を持った、確かに「カリスマ」という言葉のよく似合う人物。しかし、その一方で、自分の照れ屋な性格や弱さもあけっぴろげに話すことのできる、何とも憎めない人物だった。彼はしばらく音楽から離れることで現在のスタンスを築いたと話してくれたが、その裏側には音楽へのとてつもなく強い愛情があることがヒシヒシと伝わってきたのも、話をしていて嬉しかった。メンバーの引き籠りと失踪、レーベルとの運命的な出会い、震災の前後に発表された映像作品、そして、もちろん新作について、この4年半をじっくりと語ってもらった。

限界を感じたんです。これ以上、自分にはできないって。

―この2年ほど、バンドは活動休止状態にあったんですよね? なぜ、そうなってしまったのでしょう?

西方:ちょうど…『exPoP!!!!!』に出たじゃないですか(2008年11月に出演)? YouTubeに上がってるその時のライブ映像があると思うんですけど、あれ以降ぐらいから、ライブ活動じゃないものになってましたね。

―「ライブ活動じゃない」というのは、どういうこと?

西方:もう…どうでもよくなってたんですよね。あの映像を見て、「お、かっこいい。すげえじゃん、俺たち」って思ったんですけど、問題はその後ですよね。何でこんなにかっこいいのに、ここまでどまりなんだっていうか、何でもうちょっと気持ちが伝わらないかなって…。伝わらないんですよね、全然。で、嫌になっちゃったんですよ、面倒くさくなっちゃった。

―かつてのbronbabaはどんな気持ちを伝えたかった?

西方:僕説明はしたくないんです。単純に、恥ずかしいからなんですけど。今回のアルバムでは日本語を使いましたけど、僕らの曲っていうのは元々歌詞もあってないようなものだったんで。

―説明したくない気持ちを、音楽にしてる?

西方:そうです。だけどやっぱり、恥ずかしいからって発信しないと、誰にも伝わらないですよね。前に作ったアルバムは僕自身満足してますけど、多分みんな新しいアルバムが出るってことになって、押し入れの中から引っ張り出してると思う。つまり、結局はお蔵入りのCDなんですよ。出して聴いてみると、確かにかっこいい。だけど、やっぱり仕舞われちゃう音楽なんです。

bronbaba 西方龍

―それで、もうどうでもよくなっちゃった?

西方:限界を感じたんです。これ以上、自分にはできないって。僕はbronbabaっていうブランドが大好きだったんですよ。それをチンタラ活動してカッコ悪いものにしたくなかった。段ボールに入れられちゃうような音楽かもしれないけど、それでもいつか出したときにかっこいいと思われる存在でいたいと、そう思ったんです。

―でも、bronbabaには、決して数は多くなかったとしても、当時から熱狂的なファンがいたと思うんだけど。

西方:すごく恥ずかしいことなんですけど、その当時は…僕は僕のやってることがよくわからなかった。そのよくわからないものを熱狂的に好きになってくれる人は、ちょっと怖かった。バンドっていうのは特殊な世界で、人によって生かされてるところがあるんですよ。自分で自分のことがわかってないのに、俺より俺のことを理解した人が、勝手に俺の方向性を決めちゃうんです。結局人間だから、褒められると嬉しいし、言ってくれた方向に伸びようとしちゃう、これがすごく怖かった。だから…当時は僕より僕のことをわかってる人が多かったと思います。わからないのは自分だけで、傍から見ると簡単にわかる。僕の情報は筒抜けだったのかもしれない。でも、そこに魅力を感じる暖かい人が多かった。だから、感謝してます。

2/4ページ:やめちゃうとね、どうでもいいんですよ。単純に、すごい素直な意見が言えたんですよ。「羨ましいな」って。

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リリース情報

bronbaba『world wide wonderful world』
bronbaba
『world wide wonderful world』

2012年5月2日発売
価格:2,200円(税込)
KLK-2018 / kilk records

1.hello
2.world
3.sick
4.pico
5.end
6.drum
7.me
8.a-a
9.yoru
10.base
11.cuzu

プロフィール

bronbaba

茨城県古河市にて結成された、西方 龍(g)、丸山大裕(b)、鳥羽 信吾(d)の3ピースバンド。デビュー以前からデモCD『loop&loop 』を1000枚売上げ、年間に東京だけで60本、月に30件以上ライブのオファーが殺到するなど新しい世代の新しいタイプの音楽として人気を集める。2007年10月、mini album "LOOP&LOOP"で自主レーベル"NMK5 records(西方マジギレ五秒過ぎ)"からデビュー。同年12月、1st album "kinder book"を発表。直前、あまりにストイックな活動についていけずメンバーの一人が行方不明になって脱落している。その後、本人曰く、何がしたいのか?何をしているのか?がよく分からなくって自主レーベルNMK5recordを凍結、活動も休止している。その間、一人はニート、引きこもり。一人は失踪、宮古島で見つかる。一人は就職、歪む。この頃、日常の躁状態のみを撮影した映像作品『neotokyo』をなんの説明もせずYouTubeに発表。なにがやりたいのか?この映像は一体何なのか?と訳の分からないモノとして話題になる。2011年にkilk recordsと契約。2012年、本格的に活動を再開。ライブには非常に定評があり、各方面から理解を得ている。

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一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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