
cinema staff × THE NOVEMBERS対談
- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:田中慎一郎
2010年、cinema staffが3rd mini album『Blue,under the imagination』のリリース後に行ったツアー全27本のうち、なんと25本で共演を果たしたのがTHE NOVEMBERSだった。同世代であり、お互いのライブや音源から刺激を受け合ってきたこの両者は、THE NOVEMBERSがちょっとだけ年上とはいえ、「先輩と後輩」と言うよりも、「盟友」と言う呼び名がしっくりくる間柄だ。cinema staffのメジャーデビューに伴うCINRAでの連載記事の2回目は、この盟友による対談を実施。参加者はcinema staffから飯田瑞規と辻友貴、THE NOVEMBERSから小林祐介とケンゴマツモトという、ボーカリスト&ギタリストの組み合わせ。話はもちろんツアーの思い出話から始まり、「メジャーとインディー」について、そしてもっと本質的な「変わることと変わらないこと」をめぐっての対話へと、徐々にディープに、それぞれの考えが掘り下げられていくこととなった。それぞれの道を歩みながらも、この両者が再び交錯するときが、今からとても楽しみだ。
積極的に変わっていこうとする意思が強く感じられて、衝撃的だったんです。(飯田)
―今回なぜこの組み合わせで対談をすることになったかというと、一緒に回った2010年のツアーがシネマにとってすごく大きな意味があったっていう話を以前してくれたからで。
飯田(cinema staff/Vo,Gt):でも実は、最初は仲良くなれないと思ってたんですよ(笑)。小林くんとか飄々としてるというか、そういう勝手なイメージがあって。実際はそんなこと全然なくて、ホントにいいツアーだったんですけど(笑)。
辻(cinema staff/Gt):単純にTHE NOVEMBERSのことが好きだったし、年齢的にもわりと近くて、「仲良くなりたいな」っていうのがずっとあって。「THE NOVEMBERS的にはどうなのかな?」とか思いながら誘ってみたんですけど…
―結果的には27本中25本、ほとんど一緒だったんだよね。
飯田:「何本か一緒にやらせてください」って話だったんですけど、返ってきた内容が25本一緒に回ってくれるってことだったんで、「ウソだろ!?」と思って(笑)。
小林(THE NOVEMBERS/Vo):でも、何も迷わなかったよね?
ケンゴ(THE NOVEMBERS/Gt):うん、「全部やればいいじゃん」って。
小林:今振り返ってみると、「シネマだから」っていうのが正直あったような気もしますね。誰に誘われても出るっていうスタンスではないので、しっくり来たからこそ、気持ちよく最後までやりぬけたし。それに仲良くはなったけど、気持ち悪い感じにはなんなかったよね?
飯田:馴れ合いではなかったですね。真剣だったし、ホントにすごい刺激を受けたんですよ。
左から:飯田瑞規(cinema staff)、辻友貴(cinema staff)、ケンゴマツモト(THE NOVEMBERS)、小林祐介(THE NOVEMBERS)
―たとえば飯田くんにとっては、どんな刺激があったんですか?
飯田:そもそもその時期って、自分はいろいろ葛藤してたんです。簡単に言うと「変化」について悩んでいて、変わらないかっこよさっていうのが存在する一方で、「自分が変わらないと何も変わらないんじゃないか?」とも考えていて。そんなときにTHE NOVEMBERSの“Misstopia”を聴いて、積極的に変わっていこうとする意思が強く感じられて、衝撃的だったんです。「もう僕の場所じゃない 別に悲しくないから」って歌詞もすごく好きで、この人たちから吸収することはたくさんあるなって思って。
―THE NOVEMBERSにとっては、どんな時期だったんですか?
小林:個人的には自分の体とのつきあい方が全然上手くできない時期で、喉にいいっていうあらゆるものを試して、逆にすごく病的な生活になっちゃってたんです。だから、いざシネマとのツアーが決まったときも、すごく楽しみな気持ちの一方で、「ステージにまともに立てないんじゃないか」っていう不安もあって。
―相当センシティブになってたんですね。
小林:そう、タフではなかった。だからメンバーにも、「気にし過ぎて不安になるんだよ」って言われたし、「もういいや、楽しもう」と思って、お酒も飲んだんです…。まあ、完全にシネマにつられてなんですけど(笑)。打ち上げで「僕は飲まないんで…」って言うと、「小林くん、ないわー」って感じになるんで(笑)。
辻:僕らはそういうの許さないんで(笑)。
小林:結構飲んじゃって、「明日のライブ終わった…」って思ったんですけど(笑)、全然普通だったというか、むしろいつもより調子がいいぐらいで。だから、シネマのお陰でステージ上でのタフさとか、地力を上げられたツアーでした。あとシネマのステージを見てて思ったのが、スカッとしてるんですよ。「エネルギッシュ」、「明るい」、「爽やか」みたいな想像しやすいことともまた違うんですけど、単純に見てて気分がよくて、その象徴が辻くんの存在だと思うんですよね。ステージの真ん中で、スカッとしたことを体現するっていう。
―今のシネマの立ち位置(ステージ向かって右から、飯田・辻・三島の順)って、そもそもどうやって決まったんですか? 普通に考えればボーカルが真ん中だけど、シネマは辻くんがセンターにいるんですよね。
飯田:最初は普通の並びだったんですけど、バンド名をcinema staffに変えたときに、何かちょっと変えたいなと思って。
―小林くんの言う通り、辻くんがすごく象徴的ですよね。
辻:でも最初の頃はスカッとするどころか、僕がヘンに尖ってて、ずっと後ろを向いて演奏してたんですよ。でも、それからいろんな人の話を聞いて、段々外を向くようになっていったんです。僕はすごくテクニカルなことができるわけでもないし、「このバンドで自分が何をすればいいんだろう」っていう悩みはずっとあって、「僕がいないといけない理由」を見つけたかったんです。だから、自分が真ん中に立って演奏することで、それを見出せればっていう思いもあったんです。
イベント情報
- 『cinema staff 1st E.P.「into the green」release oneman live「望郷」』
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2012年7月1日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:岐阜県 岐阜 BRAVO SOLD OUT
出演:cinema staff
料金:前売2,800円 当日3,300円2012年7月15日(日)OPEN 17:15 / START 18:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
出演:cinema staff
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)
- THE NOVEMBERS企画
『Moiré』 -
『Moiré.3』
2012年7月17日(火)
会場:東京都 渋谷 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
出演:THE NOVEMBERS
ゲスト:
楢原英介(VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)
岩城智和(LOSTAGE)
柿沢健司(Natsumen、Frisco、ex.Platon)
青月泰山(左ききのゴーシュ、kαin)
リリース情報

- cinema staff
『into the green』 -
2012年6月20日発売
価格:1,400円(税込)
PCCA-036131. into the green
2. 棺とカーテン
3. チェンジアップ(Re-Recording)
4. 優しくしないで(Re-Recording)
5. KARAKURI in the skywalkers(Re-Recording)
6. AMK HOLLIC(Re-Recording)
※初回特典として『cinema book』が付属
- cinema staff
『SALVAGE YOU』 -
2012年9月5日 発売
価格:1,800円(税込)
PCCA-036521.奇跡
2.WARP
3.さよなら、メルツ
4.her method
5.warszawa
6.小説家
7.salvage me
- 『Moiré.0』
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特設サイトでは、楽曲“( )”の無料配信を実施中
同楽曲をダウンロードして頂いた方に、そのリアクションとしての作品を投稿して頂く企画も実施。現在(7月2日)までに50を超える作品が投稿されています。8月31日まで作品の投稿を受付中。
プロフィール
- cinema staff
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2003年、辻友貴、飯田瑞規、三島想平が前身バンドを結成。2006年7月に久野洋平が加入し、現在の編成となる。愛知・岐阜県のライブハウスを中心に活動を開始し、2008年に残響recordより1st mini album『document』をリリース。現在までに3枚のミニアルバムと1枚のフルアルバムをリリースし、2012年6月に満を持して1st E.P.『into the green』でメジャーデビューを果たす。
- THE NOVEMBERS
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2005年結成、2007年ユーケープロジェクトから1st mini album「THE NOVEMBERS」でデビュー。2011年8月3日には、3rdフルアルバム『To (melt into)』と1stシングル「(Two) into holy」を同時リリース。同年11月には全国8箇所に及ぶワンマンライヴツアー「To Two( )melt into holy」を行い、ファイナルのSHIBUYA-AXを始め、各地大盛況を収める。現在までにシングル1枚、ミニアルバム2枚、フルアルバム3枚をリリースしている。