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伝統を更新しちゃうノリの良さ マレウレウインタビュー

伝統を更新しちゃうノリの良さ マレウレウインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/08/08

例年にない晴天に恵まれ、大盛況のうちに幕を閉じた今年の『フジロック』。90年代のUKロックを代表するレジェンドが顔を揃えたことが一番の話題ではあったが、近年の『フジロック』は欧米のロック/ポップのみならず、様々な国や文化の、それも現在進行形の音楽が楽しめる場としての存在意義も非常に大きくなっている。

アイヌの伝統的なウポポ(歌)、特にウコウクと呼ばれる輪唱を基本としながら、一音楽ファンのスタンスでそれを鮮やかに更新していく女性4人組=MAREWREW(アイヌ語で「蝶」の意味)は、まさに上記の文脈に相応しいグループである。初のフルアルバム『もっといて、ひっそりね。』は、プロデューサーであるOKI(アイヌ音楽の魅力を国内外に知らしめてきたミュージシャン/プロデューサー)の手も借りながら、クラブミュージックの要素などを積極的に取り入れ、まったく新しいアイヌ音楽を打ち出した意欲作。そしてそれは、過去のウコウクの音源を熱心に勉強する一方で、何事もノリで決めてしまうようなカジュアルさも併せ持った彼女たちだからこそ、作ることのできた作品なのだ。

盛り上がりは大事ですよ、その勢いがないとね(笑)。(レクポ)

―マレウレウはOKIさんの『NO-ONE'S LAND』への参加からスタートしてるんですよね?

レクポ:そうです。そのときは別のメンバーがいたんですけど、子供ができたりとか、一緒にやれる機会が減っていって、今のメンバーになったのは5年前ぐらいですね。

―レクポさんは以前からアイヌの音楽に関わっていらっしゃったんですか?

レクポ:実家がアイヌ記念館だったので、歌や踊りっていうのが日常的にある中で生活はしていました。

―マユンさん(レクポとマユンは姉妹)ももちろん同じような環境で育ったわけですよね?

マユン:いや、姉とは年が10歳以上離れてて、私が子供の頃はもう観光が下火になってたんです。だから、踊ってるのを見たりはしてましたけど、私はそんなに関わってなくて、ちゃんとアイヌのことをやりだしたのは20歳を超えてからなんです。元々はアイヌ語を勉強し始めて、その後に「マレウレウ人足りないから入ってくれない?」って言われて、「わかりました」って(笑)。

写真左から:マユン、レクポ
写真左から:マユン、レクポ

―なるほど。ヒサエさんはレクポさんとマユンさんの叔母にあたるそうですが、アイヌとの関係は…

ヒサエ:全然なかったです。私は生まれも東京だし、アイヌの存在を知ったのは高校生ぐらいでした。大学で東京にあるアイヌのグループに参加するようになって、夫となったアイヌ記念館の館長と知り合って、それがよかったのか悪かったのか…こういうことに(笑)。

―皆さんそれぞれですね(笑)。ヒサエさんもマユンさんと同じく、レクポさんに誘われたわけですよね?

マユン:レクポは一時期東京にいて、帰ってきたら急に「アイヌのことやる」って言い出したんですよ。

レクポ:盛り上がっちゃったんです(笑)。

―何かきっかけがあったんですか?

ヒサエ:OKIに出会ったんですよ。

レクポ:東京に行ってる間も、北海道でアイヌの保存会があったりすると呼ばれて行って踊ったりすることはあったんですけど、歌を歌ったことはなかったんです。でも、やり出したら面白くなって、マレウレウっていうのが何となく生まれて…盛り上がっちゃって(笑)。

ヒサエ
ヒサエ

ヒサエ:しかも、メンバーに入ったのは私が一番最後なんですけど、それも「来年アメリカに行くんだけど、メンバーが1人行けなくなっちゃったから、ちょっと入ってくれない?」って言うから、「あ、はい」って。それだけだと思って参加したんですけど、そうではなくて(笑)。

マユン:だから、ここ2人(マユンとヒサエ)は頼まれてなんとなく流れで入ったんですけど、リムリムだけ自分から「入りたい」って入ってきたんです。


リムリム
リムリム

リムリム:私の出身は阿寒湖なんですけど、札幌に出てからアイヌのことをやりたいと思い出して、いろいろアイヌのグループを見に行ったりしてたときにOKIさんの活動を知ったんです。それで、自分から「やりたいです」って。

レクポ:すっごいメンバー募集してたんですけど、それまで全然いい話がなかったんですよ。でも、OKIが札幌に行って帰ってきたら、「10代のかわいい子が入るって言ってる!」って(笑)。


―リムリムさんは札幌に出てきて、なぜアイヌのことがやりたいと思ったのでしょう?

リムリム:小さい頃は伝統的なものに触れてたんですけど、高校で釧路に行って、その後に札幌に行ったりしているうちにあんまり触れなくなっていたんです。でも札幌でアイヌの友達ができて話すようになったら、「なんかちょっとやりたいな」って思うようになって…

ヒサエ:盛り上がっちゃったんです(笑)。

―やっぱり大事なのはそこですか(笑)。

レクポ:盛り上がりは大事ですよ、その勢いがないとね(笑)。

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イベント情報

『めざせウポポ100万人大合唱Vol.4〜マレウレウ祭り〜』

2012年9月1日(土)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 浅草 アサヒ・アートスクエア
出演:
マレウレウ&OKI
木津茂理(ゲスト:細野晴臣)
料金:前売3,700円 当日4,200円

リリース情報

マレウレウ<br>
『もっといて、ひっそりね。』(CD)
マレウレウ
『もっといて、ひっそりね。』(CD)

2012年8月8日発売
価格:2,500円(税込)
UBCA-1028

1. 舟漕ぎ遊び
2. kapiw upopo
3. emus kane
4 rera suy
5. herekan ho
6. 芦別の家
7. uekap
8. ciperikip par yan
9. iqu?
10. クジラの頭から
11. humpe yan na
12. pon hekaci heciri(etukuma kara)
13. kane ren ren
14. 鳥の聞きなし
15. saranpe
16. mukkur
17. pon repun kamuy
18. 馬追いの歌
19. yaykatekara
20. cipo sanke upopo

プロフィール

マレウレウ

アイヌの伝統歌「ウポポ」の再生と伝承をテーマに活動する女性ヴォーカルグループ。さまざまなリズムパターンで構成される、天然トランスな感覚が特徴の輪唱など、アイヌROOTSのウポポを忠実に再現する貴重なアーティスト。2010年ミニアルバム「MAREWREW」を発表。自主企画公演「マレウレウ祭り」をスタートさせ、UAやSPECIAL OTHERS、キセル等をゲストに迎え話題に。2012年はNHK「にほんごであそぼ」への出演、7月にはヨーロッパツアー、そして待望の1stフルアルバム『もっといて、ひっそりね。』を8月8日に発売する。マレウレウはアイヌ語で「蝶」のこと。

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