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pair×益子樹 対談 「いい音」って、果たしてどんな音なのか?

pair×益子樹 対談 「いい音」って、果たしてどんな音なのか?

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/08/30

最近は「J-POP」という言葉を聞くことが減った代わりに、「ポップス」という言葉を聞くことが増えてきたように感じる。それを僕なりに分析すると、「J-POP」という言葉が定着する90年代以前、70〜80年代の「ポップス」をリアルタイムで聴いて育った世代が親となり、その親の聴いている「ポップス」に影響を受けた新しい世代が、音楽シーンで活躍を始めているからではないかと思うのだが、どうだろうか?

大人の鑑賞にも堪えうる新しいポップスを提案する新レーベル「Bright Yellow Bright Orange」から発表されるpairのアルバムは、そんな時代の空気にぴったりとマッチした作品だと言えよう。CINRAではもうお馴染みのLLamaの吉岡哲志と、昨年Headzからソロアルバムを発表している山田杏奈の2人によるpairは、エンジニア&プロデュースに両者と交流のあるROVOの益子樹、さらにはROVOから勝井祐二と岡部洋一、鬼怒無月や徳澤青弦といった豪華なプレイヤー陣を迎え、極上のポップスを聴かせてくれる。職人気質の強い吉岡と山田が初めて共作をし、初めてアレンジを人に委ねたという制作の裏側から、それぞれの作品でエンジニアリングも担当する3人だからこそ話せるサウンドへのこだわりまで、幅広い話の内容はもちろん、LLamaともROVOとも異なるpairならではの柔らかなテンションも、ぜひお楽しみください。

それぞれがやってる中ではできないこともあって、でもそれが2人でやるとできちゃったんですよね。(山田)

―吉岡くんと杏奈さんが一緒に曲を作るようになったのはいつ頃からなんですか?

吉岡:もう4〜5年前なんですけど、僕がやってるLLamaと、杏奈ちゃんが以前やっていたコマイヌとでライブを一緒にやることがあって、そのときに「何か一緒にやれたらいいね」って話をしてて。それで、LLamaが『ヤヲヨロズ』(2008年)を作った後ぐらい、僕が東京でソロライブをちょこちょこしてたときに、一緒にライブをやったんです。基本的には、お互いのソロの曲を一緒に歌うみたいな感じでやったんですけど、せっかくやから1曲ぐらい作ろうかって、そのとき作ったのが最初ですね。

―いいと思うバンドはいっぱいいても、「一緒に何かやってみたい」と思う人ってなかなかいないんじゃないかと思うんですけど?

吉岡:そうですね。東京でもいろんなバンド見てきましたけど、当時は「東京で初めて素敵な人たちに出会った」ぐらいの感じがありましたね。

山田:私もLLamaはすごくいいと思ったし、何か同じものを感じて、変な仲間意識みたいのを勝手に持ってました(笑)。

写真左から:吉岡哲志、山田杏奈
写真左から:吉岡哲志、山田杏奈

―確かに、2人には共通するムードみたいなものがありますよね。

山田:後ろ暗いっていうかね(笑)。

益子:音楽的なアプローチが似てるっていうよりも、それぞれが持ってる世界を純度が高い状態で作品にするっていう、その姿勢がすごく共通してると思います。それはすごく、聴いてる側としても気持ちいいし、できるだけ自分もそうありたいと思うし、すごく共感できますね。そういう個々の世界観がありながら、pairだとそれがいい意味で柔らかなくなって、そこがまた面白いところなんですよ。

益子樹
益子樹

―実際にお2人は誰かと一緒に曲作りをするっていうのは初めてだと思うんですけど、自分の世界に他の人が入ってくることに戸惑いはありませんでしたか?

山田:1から2人で作ってるから、戸惑いはなかったですね。歌詞をどっちかが先に考えてきて、その続きをもう1人が考えるんです。昔の和歌の連歌みたいな感じで、民主的に曲にしていきました。

益子:自分が歌ってる部分の歌詞は、本人が書いてるんだよね?

吉岡:そうです。それで「この部分がサビっぽいかな」とかSkypeで話しながら、タイムラグがあるのでセッションはできないですけど、「こんなコードどうやろ?」って鳴らしたり、お互い鼻歌を歌って、「それ、いいね!」とか言い合って、だんだんと形になっていった感じですね。

そうやって最初にできた曲が“まだこない”だったんですけど、それぞれがやってるものよりも思いのほかポップな曲ができて、2人とも「あれ?」っていうのがあり、「もうちょっと作ってみようか」って。

山田:2人ともポップスはすごい好きなんですけど、それぞれがやってる中ではできないこともあって、でもそれが2人でやるとできちゃったんですよね。

益子:2人とも1人での作業だとすごい自分の世界に入り込むと思うんですよ。でも、2人だと常に客観的な目があるわけだから、それでちょっと外側を向きやすくなったんじゃないかと思うんですよね。

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リリース情報

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pair
『pair!』

2012年8月29日発売
価格:2,625円(税込)
Bright Yellow Bright Orange / WRCD-61

1. なまえ
2. peco
3. 鋼鉄の街
4. まだこない
5. Drive
6. キセキ
7. ツノ
8. 今は…
9. You've got a friend

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pair<br>
『pair!』[MP3]
pair
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価格:1,350円(税込)
踏み入れたことのない音楽たちの楽園

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プロフィール

pair

京都を拠点に活動する楽団バンド、LLamaのVo.Gt.にして首謀者・吉岡哲志と、2011年12月にHEADZよりソロアルバムもリリースした女性アーティスト山田杏奈の男女ユニット。ROVOの益子樹がプロデュース、またゲストには勝井祐二(ROVO)、岡部洋一(ROVO)や鬼怒無月ら一流ミュージシャンがゲスト参加した。

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