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曖昧でかっこ悪い方が人間っぽい OverTheDogsインタビュー

曖昧でかっこ悪い方が人間っぽい OverTheDogsインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中慎一郎
2012/11/07

日本のロック批評は歌詞および、そこから見えるアーティストの人間性に比重を置き過ぎではないか? そんな議論はこれまで何度も繰り返されてきているが、インターネット時代の到来による価値観の変化、およびメール時代の到来による活字に対する意識の変化を背景とする(ように思われる)、近年の若手ロックバンドの歌詞の面白さというのは、じっくりと語るに値するものだと思う。OverTheDogsの恒吉豊は、そんな中で大きな注目を浴びるリリシストの一人。新作『プレゼント』には、“宙、2秒”や“凡考性命紊(はんこうせいめいぶん)”といった、タイトルを見ただけでも興味をひかれる楽曲が並んでいるが、その背景には自身に起きた物理的な変化と、それに伴う視点の変化があったという。鋭利な言葉で真実をえぐり出し、ネガティブな若者に寄り添おうとする現代的な歌詞と、自分の歌詞との距離感など、恒吉らしい独自の物言いが印象的な取材となった。

バンドのメンバーって、本気で理解しようとしてくれるとか、根っこが優しいとか(笑)、最後はそういうところが大切なんじゃないかと思ってるんです。

―OverTheDogsって歌詞に注目が集まることが多いと思うんですけど、もちろん評価されて嬉しい半面、もっと音楽的な評価も欲しいとか思ったりしませんか?

恒吉:僕の中では歌詞のプライオリティーがかなり高いので、歌詞を評価されるのはすごく嬉しいです。映画とかでも、音楽が自分好みな映画が好きで、ティム・バートンの映画とか絶対サントラ買うんですけど、つまりは映画に関して僕の中では音楽が一番で、映像が二番なんです。それって音楽で言うと歌詞が一番ってことに似ていて、ホントは逆であるべきなのかもしれないけど、僕はそれでいいと思ってます。

恒吉豊
恒吉豊

―了解です。じゃあ、歌詞に関しては後ほどじっくり聞かせてください。今年の3月に出たミニアルバム『トイウ、モノガ、アルナラ』から、江口亮さんがプロデューサーとして入られていて、『プレゼント』でもそのままプロデュースを手掛けられていますよね。そのことによる変化はどのような部分ですか?

恒吉:僕らの中で、江口さんのすごくいいと思う部分と、「これは違うかな」っていう部分が両方あって、今回は自分たちが「違う」と思った部分はあらかじめ言った上で、アルバムを作り始めました。

―『トケメグル』のときはプロデューサーが3人いて、それは「切り口を広げるためだった」っていう話を以前してもらったと思うんですけど、今もそういう考えでプロデューサーを入れてるわけですか?

恒吉:僕、プロデューサーの意味がいまだに分からないし、僕らはバンドだから、ホントはプロデューサーがいない方がかっこいいと思うんです。でも、いるからには面白いことをした方がいいと思って、例えば、“愛”は僕の中ではアコースティックが一番かっこいいんじゃないかって思ってる曲なんですけど、どうせやるなら江口サウンドバリバリで、極端にやった方が面白いと思って、お任せしたんです。普通のバンドだったら、「俺らのサウンドいじんじゃねえ」とか言うと思うんですけど、逆に「いじっちゃってください」っていう方がかっこいいかなって(笑)。

―ドラマーに関しても前作からサポートで数人参加する形になりましたが、これもプロデューサーと同様、違った色を入れることで変化を楽しんでるような部分があるのでしょうか?

恒吉:やっぱりドラムで曲の雰囲気が大きく変わりますからね。元GO!GO!7188のターキーさんと、元School Food Punishmentの(比田井)修くんが参加してくれてるんですけど、単純に修くんは飲み友達だったし、楽しそうな人とやるっていうのが一番いいかなって。

―プレイヤーとしてというより、まず人として面白いかどうか。

恒吉:メンバーを集めたときからそんな感じなので、もしかしたら、そこが最初に言った音楽より言葉が選ばれる理由なのかもしれませんね。音楽面での技量とかは日々成長して行くものだと思うんですけど、人間性って合うか合わないかじゃないですか? だから、最終的にはメンバーも人の良さで選んでいて、星(英二郎)くんなんかメンバー募集した人の中で鍵盤が一番下手でしたからね。

―確か、最初はほとんど鍵盤を弾いたことがなかったんですよね?

恒吉:でも、一生懸命理解しようと弾いてくれたんで、そっちの方がいいなと思って。それはいまだにそうで、ドラムがいないならいないで、やっぱり面白い人とやりたいと思うし。

―まずは人間性で集まって、その中で何ができるか、何をやるかが大事だと。

恒吉:そうですね。そっちの方が長く続いて、最終的にすごいものを作る気がするんです。

―すぐ近くにある「これをやりたいから」じゃなくて……。

恒吉:それだったら曲を書ける人がサポートメンバートやればいいと思うんですよ。バンドのメンバーって、本気で理解しようとしてくれるとか、根っこが優しいとか(笑)、最後はそういうところが大切なんじゃないかと思ってるんです。

―実際、プロデューサーやドラマーが変わっても、音楽性が急激に変化したわけでもないし、それも「まず人ありき」っていうことの証明かもしれないですね。

恒吉:僕THE BLUE HEARTSが好きで、THE BLUE HEARTSって誰が歌ってもTHE BLUE HEARTSってわかるじゃないですか? その影響かはわからないですけど、わかりやすいメロディーと意味が伝わる言葉を選んでいるので、誰にアレンジされても平気だぜっていう自信はあるんですよね。

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リリース情報

OverTheDogs<br>『プレゼント』(CD)
OverTheDogs
『プレゼント』(CD)

2012年11月7日発売
価格:2,500円(税込)
MUCF-1003

1. ミスレル
2. チョコレート
3. どこぞの果て
4. プレゼントの降る街
5. 宙、2秒
6. 凡考性命紊(はんこうせいめいぶん)
7. サイレント
8. 夜光列車(やこうれっしゃ)
9. マインストール
10. ついで
11. 愛(album version)
12. カレーでおはよう

プロフィール

OverTheDogs

2002年結成。東京都福生市生まれ、現在も福生在住のボーカル恒吉豊を中心に活動中。ゼロ年代の純文学と共振する独特の歌詞世界と、Vo.& Gt.恒吉のハイトーンボイスで熱い視線を集めている4人組ロックバンド、オバ犬(ケン)こと「OverTheDogs」。

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