特集 PR

音響派の一歩先、荘厳な音の万華鏡世界 Magdalaインタビュー

音響派の一歩先、荘厳な音の万華鏡世界 Magdalaインタビュー

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:野村由芽
2012/12/05

どこまでも緻密で、かつ衝動的。Aureoleの森大地と夢中夢のハチスノイトによる新プロジェクトMagdalaの初作『Magdala』は、そんな両者のクリエイティビティーが遺憾なく発揮された野心作だ。

エレクトロニクスと管弦楽を掛け合わせた優雅できめ細やかなサウンド。その上で舞うようなハチスノイトの歌声は、彼女が他では聴かせたことのない親しみやすさを感じさせる。実際のところ、ハチスノイトが楽曲制作にここまで深くタッチしたのは、夢中夢を含めてこれが初めてで、『Magdala』は彼女のメロディーメイカーとしての資質が初めて披露された作品とも言えそうだ。そしてkilk recordsの開設以来、レーベルオーナーとしての側面に注目が集まっていた森も、ここでは自らの創作意欲を爆発させている。フロントマンや経営者としてだけではなく、作家としての二人のインスピレーションが交錯し、耽美な音像が生み出される場所。それがMagdalaだ。

さまざまなニュアンスの声を出していきたいので、声を存分に使って欲しくて。(ハチスノイト)

―もともと幅広く活動を展開されているお二人ですが、こうして母体とは別のバンドを持つことは過去にあったのでしょうか?

:自分がボーカルを担当しないバンドを組むのは、生まれて初めてですね。僕は普段、バンドの中で表現者の立ち位置でいるのですが、創造者としてもけっこうイケていると思っていて……(笑)。女性ボーカルでやりたいことがいっぱいあったんです。

ハチス:私はソロもあるし、さまざまなセッションに参加させていただく機会もあるのですが、ここまでしっかりバンドという形をとったのは、夢中夢以外では初めてですね。

―Magdalaはユニットじゃなくて、バンドなんですよね?

ハチス:そうなんです。

:最初はむしろユニットとして考えていて、名前も「ハチスノモリ」にしようかと思っていたんですけど(笑)。

ハチス:あるいは「モリノイト」とかね(笑)。

:でも、それだとサイドプロジェクトっぽい感じがしちゃうからやめたんです。僕はこれを何かの傍らでやっているという意識じゃなくて、Aureoleや夢中夢とはまったく別個の、れっきとしたバンドだということを強調したかったんです。それにお互いずっとバンドをやってきたから、バンドと名乗った方が気合いも入るんですよね(笑)。だから、これは一大プロジェクトなんですよ。

―先々のビジョンも既に見えているのでしょうか?

:現時点で、それなりの公演数のツアーを組んでいます。二人だから身動きがとりやすいんですよね。曲作りにしても、今の時代っぽくスピーディーに、やりたいことをとことん詰め込めました。趣味で始めたようなものではないので、派手にやっていきたいと思ってます。

―どういった経緯で、この二人で始めようという話になったのでしょうか?

:もともとは別件で一緒になって、普通に仲良く話す程度だったんですけど、ハチスノイトが別プロジェクトで歌っているライブ音源をたまたま聴かせてもらったら、いろいろな声が出るんだなと思って。そこで「この声を世に出さないのはもったいない!」「自分だったらこうやる!」みたいな自分の思惑を彼女に伝えたら、乗り気になってくれて。

―ハチスノイトさんの歌声から、まだ引き出されていないものを感じたんですね。

:それまではやっぱり夢中夢のイメージが強かったんです。いわゆる女神系ボーカルですね。それももちろん素晴らしいのですが、それとはまた異なる、もう少し日常的なものだったり、今回のジャケットみたいにモノクロームでレトロなイメージも彼女の声から感じられて。

―ハチスノイトさん自身は、夢中夢で歌うときに、夢中夢のキャラクターを演じているところもあるんでしょうか?

ハチス:「その曲が求めているボーカル像」というものを常に意識しているので、夢中夢のフロントに立っているときに意識的に作る世界は確実にあると思います。夢中夢では声楽っぽくファルセットを使った歌い方をするんですけど、それとはまた違った、人の温度がするような、土っぽい民族音楽みたいな歌い方もすごく好きで。ソロのときに、全然違う歌い方をすることもありますし。そうやってさまざまなニュアンスの声を出していきたいので、この声を存分に使って欲しいなって。

ハチスノイト
ハチスノイト

―つまり、ハチスノイトさんはご自身のボーカリストとしての資質を、楽曲の素材として捉えているということでしょうか?

ハチス:ボーカリストの中には、「私の歌い方はこれ」っていうものを持っている方もいると思うんですけど、私は曲や場所から自分が何を求められているのかをキャッチしたいんです。求められているものを身体の中に降ろしていくというか。そういう意識なんです。

Page 1
次へ

リリース情報

『Magdala』(CD)
『Magdala』(CD)

2012年12月5日発売
価格:2,200円(税込)
kilk records / KLK-2025

1. ユリイカ / Eureka
2. 翳(かげ)はおどる / Tanz der Schatten
3. ゆめの蜜 / Seiren
4. 記憶のかえるところ / memories
5. 希求 / seek
6. 揺籠 / cocoon
7. 境界の迷宮 / Labyrinthus
8. アン / Ann
9. 何度でも、 / forgiveness

プロフィール

Magdala

夢中夢のボーカリストとして活躍するハチスノイトと、Aureoleのリーダーであり、kilk recordsを主宰する森大地。バイオリン、チェロ、マリンバ、トランペット、クラリネットなど、生楽器を贅沢に配したオーケストレーションと、そこへ絶妙なバランスでミックスされた打ち込みビートや電子音。多彩に変化するハチスノイトの歌声が奏でる、美しく洗練された至極のメロディーに、ポエトリーリーディング。教会音楽然とした楽曲や、古いアシッドフォークを想起させる楽曲、複雑かつ精密なミニマルミュージックまで、ありとあらゆる音楽的要素が散りばめられている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

MONO NO AWARE“東京”

一言で「東京」と言っても、いろんな場所があるし、そこに暮らす人の価値観や思想もさまざま。MONO NO AWAREの新作より、玉置周啓と加藤成順の故郷・八丈島(ここも東京)をドキュメンタリータッチに切り取った“東京”のPVが公開。<みんながみんな 幸せになる方法などない><無理くり手をつないでも 足並みなどそろわない>という歌い出しにハッとさせられる。私とあなたの違いを「受け入れる」のではなく、その違いをもっとポジティブに捉える思考の転換が僕らには必要なのかもしれないですね。これ、マジの名曲です。(山元)

  1. ケンドリック・ラマーの黒塗り広告が突如、霞ヶ関駅&国会議事堂前駅に出現 1

    ケンドリック・ラマーの黒塗り広告が突如、霞ヶ関駅&国会議事堂前駅に出現

  2. 徳永えり主演ドラマ『恋のツキ』に川谷絵音が出演 映画監督役で演技初挑戦 2

    徳永えり主演ドラマ『恋のツキ』に川谷絵音が出演 映画監督役で演技初挑戦

  3. 小栗旬VS窪田正孝の死闘や三浦春馬も登場 映画『銀魂2』予告編&新写真 3

    小栗旬VS窪田正孝の死闘や三浦春馬も登場 映画『銀魂2』予告編&新写真

  4. 欅坂46・平手友梨奈が平手打ち&不良の指を折る 『響 -HIBIKI-』予告編 4

    欅坂46・平手友梨奈が平手打ち&不良の指を折る 『響 -HIBIKI-』予告編

  5. King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内 5

    King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内

  6. サニーデイ・サービスの丸山晴茂が5月に逝去 食道静脈瘤破裂のため 6

    サニーデイ・サービスの丸山晴茂が5月に逝去 食道静脈瘤破裂のため

  7. 『音楽チャンプ』を制覇した16歳。琴音の謎めいた素顔に迫る 7

    『音楽チャンプ』を制覇した16歳。琴音の謎めいた素顔に迫る

  8. Coccoが21着限定のスカートを販売 売上を豪雨被害のチャリティーに寄付 8

    Coccoが21着限定のスカートを販売 売上を豪雨被害のチャリティーに寄付

  9. チャットモンチーの青春は終わっていない。ラストワンマンを観て 9

    チャットモンチーの青春は終わっていない。ラストワンマンを観て

  10. ホン・サンス×キム・ミニのタッグ作が4本連続公開 背景やねらいを訊く 10

    ホン・サンス×キム・ミニのタッグ作が4本連続公開 背景やねらいを訊く