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ラフォーレ原宿でパフォーマンスの祭典 小沢康夫×桜井圭介対談

ラフォーレ原宿でパフォーマンスの祭典 小沢康夫×桜井圭介対談

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:越間有紀子

インターネットやソーシャルメディアが、パフォーマンスにもたらす可能性

―『HARAJUKU PERFORMANCE+』は、昨年から『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE』として、DOMMUNEとコラボレーションしています。これによって、小沢さんとしても新たな手応えを感じているのではないでしょうか?

小沢:昨年、DOMMUNEでパフォーマンスの同時配信を行なったところ、現場には500人しかいないのに、モニターの向こうでは5000人ものユーザーが見ているという事態になりました。これは僕にとって初めての経験で、不思議な感覚でした。今年はパルコにDOMMUNEと同じようにUstream配信を行うメディア「2.5D」が入り、タワーレコードにDOMMUNEが参加しました。もはや、商業施設にソーシャルメディアを欠くことはできない時代になっているんです。また、ソーシャルメディアがプロモーションツールになったことで宣伝の仕方、広告の概念も変わった。パフォーミングアーツの制作に関わる上で、これまでは良質のコンテンツを制作だけしていれば良かったはずなのですが、これからはインフラにも積極的に関わらなければならない時代なんだと感じています。昨年はニューヨークからこのイベントを見てくれたという声も聞きました。今年も、DOMMUNEとコラボすることによって、パフォーマンスイベントの可能性を更新できるのではないかと期待しています。

『HARAJUKU PERFORMANCE+2010』

―音楽や現代芸術などのジャンルとは異なり、パフォーマンスとソーシャルメディアが、うまく融合している事例はなかなかありませんね。

小沢:ただ、イギリスでは、オペラの公演を配信したところ、劇場の観客動員数が増えたという事例もあります。まだ過渡期であり、もしかしたらソーシャルメディアへの配信が自分たちの首を絞めることにもなるかもしれません。しかし一方で、東京以外に住んでいる人や、何らかの理由で家から出られない人、身体が不自由な方など、劇場に足を運ぶことができない人たちにも作品を届けることができます。映像の解像度も上がってきたし、劇場で芝居を見るという感覚とは別の、モニターの向こう側で見る楽しみ、その感性や感覚は徐々に育ってきているのではないでしょうか? ソーシャルメディアを使えば、そんな人々とつながりながら、パフォーミングアーツの新たな扉を開く可能性はあるのかもしれません。

―今年の『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE』1日目は、全ての出演アーティストが公募によって選出されます。これも、今お話されたようなソーシャルメディアとの関係がありますか?

小沢:ニコニコ動画、Ustreamなど、ソーシャルメディアによって、誰もが表現者になれる時代になりました。それならば、まだ僕たちの知らない新たな表現者がどこかにいるのではないかと思い、今回は公募という形に賭けてみました。どうしても、キュレーターが観ることのできる範囲は限られていますから、最近は出演者やイベントが似てきてしまう。だったら、こちらの受け口をオープンにすることによって、新たな才能に入ってもらえたらと思うんです。

『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMNE 2011』トークプログラム(左から、松山晋也、冨田勲、小室哲哉)
『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMNE 2011』トークプログラム(左から、松山晋也、冨田勲、小室哲哉)

―どのような形の「新しい才能」を期待していますか?

小沢:contact GonzoやOpen Reel Ensembleのように、今まで見たことのないような表現をするアーティストは、海外でも勝負できると思います。そんな先鋭的なアーティストを集めたイベントを制作するだけでなく、ソーシャルメディアをあわせて使うことで、同時に海外の人たちにも紹介することが出来るのは楽しみです。しかし、ソーシャルメディアを使うことで全てがバラ色になると楽観視しているわけではありません。真面目さ、正しさ、正論が要求されるネット空間には、ある種の息苦しさも同時に感じています。そういうリスクは常にありますね。

―そのようなリスクを踏まえてもソーシャルメディアの可能性に賭ける、と。

小沢:アーティストだって、ニコ動のコメントに晒されるのが普通になっている時代でしょう。僕だったら死にたくなりますよ(笑)。けれども、それを笑いながら見ていられる世代の感覚はすごいなと思います。またそのような状況でアーティストは作品を創作しているのだから、それに耐えうるようなものを持たなければならないのではないでしょうか。今回の『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE 2012』の公募アーティストも、配信のメリットを活かした、2012年の締めくくりに相応しいものになりそうな予感があります。90年代、バンドブームの火付け役となったテレビ番組『イカすバンド天国』のパフォーマンス版というようなノリですね。

―なかなか若い人には伝わりづらいたとえですが……。

桜井:僕、『イカ天』出たことあるよ。

小沢:え、そうなんですか!?

桜井:マルコシアス・バンプに負けたけどね(笑)。

左から:桜井圭介、小沢康夫

―意外な事実が発覚しました(笑)。最後に、舞台芸術、パフォーマンスというのは、たとえば美術や音楽、映画などのジャンルに比べて、開催期間が短かったり、開演時間が決まっていたりと、ハードルが高いというのはあるように感じます。そんなある意味逆境ともいえる中でも、お二人がこの世界でイベントを続けていこうとするモチベーションって、一体何なんでしょうか?

桜井:舞台表現が持っている不便さ、ハンディキャップは理解しているつもりですし、映画やレコードのような複製芸術も非常に大事だと思いますけど、その場で「出来事が起こっている」ということは、自分にとってとても刺激的なんです。使い古された表現ですが、「一回性のもの」「今この場」はやはりとても大事だと思います。やっぱり目の前で起こる生(ナマ)の表現って、わくわくするんですよ。

小沢:質問の答えと少しずれるかもしれませんが、新しい表現や革新的な作品が生まれてくるためには、それを許容してくれる「場所」が必要です。現在、その役割を公共ホールが担おうとしていますが、そういった表現の中にはダーティーであったり、くだらなさだったり、公共の場にはなじまないものもあると思います。だから、そんな表現を擁護するためにも『HARAJUKU PERFORMANCE+』や『吾妻橋ダンスクロッシング』のような、自由に表現をすることができる場所が必要だと思ってやり続けるしかないと思っています。

桜井:あ、それ大事! カニ味噌飛ばしたり、ネギ100本使ってチャンバラしたり、色々遊べているのもあの場所だからこそ、っていうのはありますよね。アサヒ・アートスクエアのおかげです!

小沢:これからもトウキョウを面白くして行きましょう!

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イベント情報

『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE 2012』

2012年12月22日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 原宿 ラフォーレミュージアム原宿
出演:
子供鉅人
川村美紀子
core of bells
TENGU
DJみそしるとMCごはん
柊アリス
ゲスト審査員:
湯山玲子
渋谷慶一郎
廣川玉枝
宇川直宏
料金:前売2,000円 当日2,500円

2012年12月23日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京都 原宿 ラフォーレミュージアム原宿
出演:高木正勝
トークプログラム:高木正勝、東浩紀、細田守
料金:前売3,500円 当日4,000円

『吾妻橋ダンスクロッシング 2013』

2013年3月29日(金)〜3月31日(日)
会場:東京都 吾妻橋 アサヒ・アートスクエア
※詳細はオフィシャルウェブサイトにて間もなく発表予定

プロフィール

小沢康夫

プロデューサー、日本パフォーマンス/アート研究所代表。2003年、企画制作会社プリコグ設立。2008年に代表を退き、後進に譲る。同年、日本パフォーマンス/アート研究所を設立。コンテンポラリーダンス、現代美術、現代演劇、メディアアート、音楽など既存のジャンルにこだわることなく、独自の観点でプロデュースする。最近の主な活動として『NJP SUMMER FESTIVAL 21ROOMS』(韓国ナム・ジュン・パイク アートセンター)、『LAFORET SOUND MUSEUM 2011』(ラフォーレミュージアム原宿)、『HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE』(ラフォーレミュージアム原宿)、『CE QUI ARRIVE 2012−これから起きるかもしれないこと−』(六本木 Super Deluxe)など。

桜井圭介

『トヨタコレオグラフィーアワード』などの選考委員、音楽家として振付家とのコラボレーションなど、あの手この手で、ダンスとのオルタナティヴな関係を模索中。著書に『西麻布ダンス教室』など。

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