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次元の違う場所に行くために おおたえみりインタビュー

次元の違う場所に行くために おおたえみりインタビュー

インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:西田香織

できるだけ現実的なものを見ず、感じず、一人ぼっちになって、それでライブに臨む。

―普段の生活の中で、ピアノを弾くときや、曲を作るときっていうのは、どういうときなんでしょうか。

おおた:それは、ちょっと次元が変わるとき。

―次元が変わるとき?

おおた:たとえば、お風呂にいたらちょっと異次元な感じがしますよね。日常的な、学校に行って、友達と挨拶してというところから、一歩外れたら異次元を感じるときがあって。そのときが曲を書くのと繋がっています。

―何気ない日常で、ぼんやりしていたら見逃してしまいそうなときも、次元が切り替わるときを感じるという?

おおた:そうです。無意識になるときというか。

―ライブでも、ただ演奏して歌ってる感じじゃないですよね。ステージに現れるときの佇まいとかも含めて、トータルで空気を作っている感じがするんですけれども。ステージに立つときには、どういう心持ちで向かっている感じがありますか。

おおた:次元が違うパワーを曲にしたから、その、次元が違うという心境を再現できるように。できるだけ現実的なものを見ず、感じず、一人ぼっちになって、それでライブに臨むというという感じです。

おおたえみり

―具体的に、ライブをする前に決めていることってあります?

おおた:考えつつ、考えてないような心境になること。

―というのは?

おおた:自問自答するというか。責任を感じながら、無責任な自分になるというか。ゼロになるというか。そういう心境です。

―たとえば、「おおたえみりさんです、どうぞ」って司会の人に紹介されて登場するんじゃなくて、最初からずっとピアノの前に座っていたりするライブもあったって聞きましたけれど。

おおた:でも「おおたえみりさんです、どうぞ」って言われて登場するときも、やっぱりあって。そういうときは、とりあえずピアノの前に座って、沈黙する。そうしたら、空間の音がだんだん大きくなって、で、だんだん止まっていくのを感じて、そこから始める。次元を変えるための努力はしています。

―ステージでも鋭敏にアンテナを張り巡らせて、その場の空気を感じて音楽を鳴らしているんですね。

おおた:最近そう思うようになりました。上手く演奏することが無意味だということを思って。たとえ間違いなく弾いても、それがいいと思われるわけじゃない。それが何年かやる中でわかったから、そうするようになりました。

おおたえみり

音楽って、無限大に楽しさというものが生まれ得ると思います。

―ちなみに、おおたえみりさんが感じる音楽の楽しさって、どういうときに感じる、どういうところにあるものだと思いますか?

おおた:それも次元の違いの話になるんですけど……普段の生活で楽しく思うっていうことは、勉強の成果として楽しく思うっていう成分が多くて。音楽っていうのは、それとは違う楽しさをくれる感じがします。楽しい曲をやらなくても、楽しくなることがあったりします。無限大に楽しさというものが生まれ得ると思います。

―たとえば“母のもとへ”とか“輪廻”とか“フェードアウト人生”とか、歌詞の内容には、死のことを描いた曲は多いですよね。これも、今まで話していただいた流れを踏まえて考えるならば、おおたえみりさんの中では、生と死というのは最大の「次元の違い」なんじゃないかと。

おおた:そうなんです。

―だからこそ、すごく強い曲になっている。「死」をテーマにするって、暗いとかネガティブとか捉えられがちだけれど、そういうパワーのあるものとしてモチーフにしたんじゃないかと思ったんですが、どうでしょう?

おおた:そう。その通りです。

―こういう曲って、歌ってるときに感情が盛り上がったりします?

おおた:いえ、それはないです。歌ってるときは感情を感じないようにしています。お客さんの顔を見つめながら歌っているようなときのほうが、集中度が高い気がします。

―わかりました。『セカイの皆さんへ』は三部作ということですが、この先は、どういうことをやってみたいと思っています?

おおた:私、しばらくロックの良さがわからなくて、ロックは良くないって言い続けてきたんです。でも、ロックは意外とトリップできる、次元の違う場所に行くために有効な形ではないかと最近思い始めていて。だから、ヘッドバンギングするような音楽をやってみたいなって思ってます。

おおたえみり

―なるほど。そういうのも意外とありかもしれない。

おおた:ですね。音の大きさには限度があるけれど。頭を振ったり、身体を動かすのはいいかもしれない。身体的なことを考えていきたいと思ってます。あとは音響的なこともやってみたい。でも、実現はいつになるか(笑)。

―この先、5年や10年のスパンで考えて、どういうミュージシャンになっていたいというイメージがありますか。

おおた:これからも作品を作るように生きていきたいというか、生きるように作品を作っていきたいというか……。人間が作品であるようでいたいと思います。あくまで私である、そう確信できるような人でいたい。それを聴いてもらって、楽しさを生めるような作り手でいたいと思っています。

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リリース情報

おおたえみり『セカイの皆さんへ3 / かごめかごめ'12』(DVD+CD)
おおたえみり『セカイの皆さんへ3 / かごめかごめ'12』(DVD+CD)

2013年1月30日発売
価格:1,890円(税込)
cutting edge / CTBR-92087/B

[DVD収録内容]
1. トマトソング
2. 調整中
3. きんちゃく
4. シャンデリア
5. 郵便局員タカギ
[CD収録楽曲]
1. かごめかごめ
2. かごめかごめ(instrumental)

プロフィール

おおたえみり

幼少の頃からピアノに親しみ、小学4年生の頃から曲作りを始める。2007年、The1st Music Revolution JAPAN FINALにおいて、創作初期の楽曲「情の苗」にてグランプリを受賞。翌年から、地元のライブハウスにて弾語りのマンスリーライブをスタート、その後関西を中心に定期的にライブ活動を行う。併行して、オリジナル楽曲の制作・レコーディングを行い、ライブラリーは150曲を超え、現在も増え続けている。既存の概念や枠に捉われない、全く新しいタイプのアーティスト=音楽芸術家として、2012年8月1日、cutting edgeよりDVD&CD「セカイの皆さんへ/集合体」にてメジャーデビュー。11月21日には2ndDVD&CD「セカイの皆さんへ2/最短ルート」をリリース。2013年、早くも3rdDVD&CD「セカイの皆さんへ3/かごめかごめ'12」が1月30日にリリース決定。

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