
美しさの中に汚れが欲しい シシド・カフカインタビュー
- インタビュー・テキスト
- 渡辺裕也
- 撮影:西田香織
デビューシングル『愛する覚悟』のリリースから5か月。シシド・カフカの勢いが止まらない。そのクールな風貌はもちろん、ドラムボーカルという演奏スタイルのユニークさもあいまって、彼女への注目度は日増しに高まってきているようだ。そうした状況にも臆することなく、着実にスキルアップを重ねてきたシシド・カフカが用意してきた新たな一手。それが2ndシングル『music』である。
タイトルにも表れている通り、彼女が「音楽」と真っ向から対峙することで生まれたというこの曲は、おそらくこの先の彼女のキャリアにおいても大きな意味を持つものになっていくだろう。モデルや演技などにも果敢に挑んではマルチな才能を見せてきた彼女は、ここにきて一気にその活動を音楽へとフォーカスさせようとしている。激しくしなやかにロックする『愛する覚悟』の路線をさらにもう一歩押し進めたような今回のシングルで、彼女を取り巻く状況はどこまで動いていくのか? そこで今回はあくまでもミュージシャン=シシド・カフカとして、現在の状況と彼女の見据える先をじっくりと語ってもらった。
どんどん身が引き締まっていく感じでした。
―『愛する覚悟』で取材させていただいた頃と比べると、シシドさんの姿をテレビや雑誌などでお見かけする機会がかなり増えました。ご自身もきっと状況の変化を実感されているだろうと思ったのですが、いかがですか。
シシド:なにも実感はございません(笑)。ただ、お客さんからのレスポンスの変化は強く感じています。やっぱり“デイドリームライダー”の配信に始まり、『愛する覚悟』をリリースしたことで、楽曲に興味を持ってライブまで足を運んでくださる方が増えてくれたので。
―『愛する覚悟』への反響はいかがでしたか?
シシド:あの曲はラジオ局ですごくたくさんのパワープレイをいただいて。それで各局にごあいさつに回っているときに、シングルへの感想をたくさんいただけたんです。そこで「次回作はこれを超えるものを作って、またみなさんにお会いできるようにがんばらないと」と思いましたね。どんどん身が引き締まっていく感じでした。
―あの曲で打ち出したシシド・カフカのイメージは、ご自身が想定していたように伝わりましたか。
シシド:予想外のことはそこまでなかったかな。相変わらず話すとギャップがあるとはよく言われますけど(笑)。
シシド・カフカ
モヤモヤした思いを抱えていても、ステージに立って音を出していると、やっぱり音楽がやりたいっていう気持ちに立ち返る。
―前回のお話で印象的だったのが、作詞に関して繊細な面を見せていたところで。歌詞での自己表現が未熟だとおっしゃっていましたよね。
シシド:そこもまだ変わらないですね(笑)。相変わらず難産です。ただ、今回のカップリングの2曲はすごく大きく構えて書けた感じがしています。今までとは違う書き方ができたかなって。
―というのは?
シシド:まず“無敵のロックスター”で英語を使ってみたのがすごく新鮮で。言葉の持つリズムや音色の乗せ方を考えていく中で英語を使ってみたら、気持ちもなんとなくフランクになれたというか。ラフに書き上げられた分、歌詞全体の含みがより際立ってきた感じがして、それは自分にとっての発見でしたね。“リカバリー”についてもそう。
―いい意味で遊べるようになったんですね。でも、その2曲がラフに書けたということは、表題曲は……。
シシド:がっつり構えて書きました(笑)。
―(笑)。なんせ“music”ですからね。
シシド:まずは単純に「ミュージック」という言葉とメロディーがきれいにはまったところから始まったんですけど、おっしゃる通りで、なんせミュージック、テーマが大きいじゃないですか(笑)。自分がミュージックについて書くのかと思うと、ちょっと重たかったというか、悩んだところもあったんですけど。でも、1枚目のシングルを出したあとのこのタイミングで、私がどういう気持ちでステージに立っているかを提示するのもアリかなと思って。今ここで私が思う「ミュージック」について歌ってみようかなって。
―シシドさんと音楽の関係性、ということ?
シシド:現在のチームになってからここに至るまで、もう7年が経つんですけど、この期間はホントに自分の波が激しくて。実際、そもそも自分に音楽が向いているのかっていう悩みが1年に1回くらいは襲ってくるんです(笑)。
―いつも自信に満ち溢れているようでいて、そういられないときもあったんですね。
シシド:私は花が咲かなかった時期が長いので。ただ、そういうモヤモヤした思いを抱えていても、ステージに立って音を出していると、やっぱり音楽がやりたいっていう気持ちに立ち返るんですよね。そこでいつも背中を押されてきたからこそ、今までずっと音楽を選び続けてきたんだと思うんです。“music”はそこにスポットを当てたというか。歌詞を書き始めて「自分とは?」みたいなことを考えるようになったら、精神的に落ちたっていう話を前回したと思うんですけど、逆に言うとそれまではイケイケドンドンで、私はこのままどこまでも走っていけると思ってた。その頃の漠然とした感覚をもう一度信じたいと思って、あの曲を書いたんです。
リリース情報

- シシド・カフカ
『music』初回限定盤(CD+DVD) -
2013年2月20日発売
価格:1,800円(税込)
TECI-2931. music
2. リカバリー
3. 無敵のロックスター
[DVD収録内容]
1. music MV
2. 2012.09.19 デビュー記念ライブ「愛する覚悟」ダイジェストムービー
3. Glico「PRETZ」TVCM Making Movie

- シシド・カフカ
『music』通常盤(CD) -
2013年2月20日発売
価格:1,200円(税込)
TECI-2941. music
2. リカバリー
3. 無敵のロックスター
4. music(Demo version)(ボーナストラック)
イベント情報
- 『シシド・カフカ「music」Release LIVE2013』
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2013年3月8日(金) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪 梅田Shangri-La
料金:前売2,500 当日3,000円(ドリンク別)
プロフィール
- シシド・カフカ
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ドラムボーカル。6月23日生まれ、175cm。メキシコで生まれ、アルゼンチンで中学時代を過ごす。14歳のときにドラムを叩き始め、18歳でプロミュージシャンの仲間入り。大島賢治(THE HIGH-LOWS)、平出悟(UVERworldサウンドプロデューサー)と出会い、ドラムボーカルとしての才能を開花。同時に、モデル、役者としても活動中。2012年5月16日「デイドリームライダー」で配信デビュー後、大きな話題を呼んだ。精力的にライブ活動も行っており、パワフルでアグレッシブな演奏と、ルックスからは想像できないエモーショナルなボーカルで観客を魅了している。2012年9月19日『愛する覚悟』でCDデビュー。2013年2月20日にシングル『music』を発売。江崎グリコ「PRETZ」のCMでも話題に。