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韓国インディーズ界の寵児 10CMインタビュー

韓国インディーズ界の寵児 10CMインタビュー

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:田中一人
2013/08/30

いま、韓国の音楽シーンが大きな変革のときを迎えている。テレビ番組などでインディーズミュージシャンが脚光を浴びる場面が増え、ここ1、2年でロックフェスも急増。にわかにシーンが活気づき始めているのだ。そのなかでも頭ひとつ飛び抜けた活躍を見せているのが10CM(シプセンチ)。ジャンベを叩きながら歌うクォン・ジョンヨルと、アコギとコーラスを担当するユン・チョルジョンという珍しい編成で活動する彼らは、韓国の情緒と生活感にあふれた詞世界、ミニマムなサウンド、一聴で心を奪われる歌声で人気を急速に拡大。路上ライブからスタートしたにもかかわらず、今年2月には1万人規模のライブも実現した。

そんな「通帳の残高がどんどん増えた」と正直に話すほどの成功を収めた彼らが、9月4日に3年越しのオファーだったという日本デビューをすることが決定。『SUMMER SONIC』という大舞台で日本での初ステージを踏んだ翌日、10CMの二人にインタビューを行った。以前CINRAでもインタビューした韓国インディーズ界の雄「チャン・ギハと顔たち」がインテリな理論派だとしたら、10CMは本能の赴くまま音を奏でる自然体のデュオと言えばいいだろうか。ときおりやんちゃな性格も顔をのぞかせつつ、これまでのキャリアや大橋トリオとコラボもした日本デビュー作について話してくれた。

実は最初に(日本デビューの)話をもらったのは3年前だったんですけど、そのとき僕は反対したんです。(ジョンヨル)

―昨日はおつかれさまでした。もう、最初に歌声を聴いた瞬間に心を動かされました。手応えはいかがでした?

ジョンヨル(Vo,ジャンベ):ダンスを踊ってくれた人がいたので、ちょっと不思議でした。

チョルジョン(Gt,Cho):僕たちを知らない人がほとんどだったと思うんですけど、通りがかりの人が立ち止まって聴いてくれたりして、とてもうれしかったです。

―10CMらしいアコースティックな曲から、サポートメンバーも含めたアップテンポな曲まで、いろんなスタイルの曲が聴けてうれしかったです。早速ですが、今回日本デビューすることになった経緯から聞かせてください。

ジョンヨル:実は最初に話をもらったのは3年前だったんですけど、そのとき僕は反対したんです。まだ1枚目のフルアルバム『1.0』が出たばかりだったので、もっといい音楽を作ってからのほうがいいんじゃないかという欲があって。でも、10CMは緻密な戦略を立てて動くというグループでもなくて……。

チョルジョン:最初にジョンヨルが反対したときに、じゃあ2枚目のフルアルバムを出した後に考えてみようということになったんです。でも、特に何も考えていない間に2枚目のフルアルバム『2.0』が出てしまって(笑)。もう2枚目が出ちゃったよということで、決めなくちゃと思ったんです。もちろん、まだまだ不足しているところがあるとは思うんですけど、チャレンジ精神という気持ちで日本デビューを決めました。

ユン・チョルジョン
ユン・チョルジョン

ジョンヨル:最初は戸惑いもありましたけど、もともと僕たちが音楽活動を始めたときはストリートで歌っていたし、まったく僕たちのことを知らない人の前でやることは、とても新鮮味があることなんですよね。日本は音楽シーンが大きいですし、憧れもあったので、やってみようということになりました。

―日本では初めての作品なので10CMの音楽性について聞きたいんですけど、ジャンベを叩きながら歌うジョンヨルさんと、アコースティックギターとコーラスを担当するチョルジョンさんという編成は、すごく珍しいですよね。なんでこういう形に?

ジョンヨル:最初に10CMの活動を始めようと思ったときに、自分たち以外のメンバーが探せなかったからです(笑)。それと、ジェイソン・ムラーズに影響を受けた部分もあります。二人でも充分いい音楽が作れるんじゃないかと思って始めたんですけど、もしあのときにメンバーを募集できていたら、バンドになっていたかもしれません。

クォン・ジョンヨル
クォン・ジョンヨル

―10CMを結成する前は別々に活動していたんですか?

ジョンヨル:いま、僕が30才で、チョルジョンが31才なんですけど、僕らは同じ高校で、スクールバンドのサークルみたいな感じで始まったんです。

チョルジョン:僕が高校2年のときで、ジョンヨルが高校1年のときでした。

―もう10年以上一緒にやってるんですね。10CMとして活動を始めたのはいつになるんですか?

ジョンヨル:2008年ですね。最初はストリートでばかりやっていて、バスキング(投げ銭)のお金で生活していたんです。でも、冬になって寒くなるとストリートでできなくなってしまうので、屋内のクラブに行かなければいけないと思ったんですけど、そのときにユニット名が必要になったんです。それで二人の身長差から10CMという名前をつけました。

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イベント情報

『弘大(ホンデ)ナイト in SHIBUYA vol.1』
 

2013年9月16日(月・祝)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京都 渋谷 タワーレコード渋谷店B1 CUTUP STUDIO
出演:
10CM
TARU
YELLOW MONSTERS
司会:古家正亨

リリース情報

10CM
『Fine Thank You And You? feat.大橋トリオ』

2013年8月21日からiTunes Store、レコチョクほかで配信リリース

10CM<br>
『シプセンチ』(CD)
10CM
『シプセンチ』(CD)

2013年9月4日発売
価格:2,500円(税込)
PECF-3053

1. Americano 2. チュッケンネ(死ぬほどいい)
3. Talk
4. ノエ・コォツ(きみのはな)
5. Healing
6. But I'm Sleepy
7. ネムセ・ナヌン・ヨジャ(においのするおんな)
8. オヌル・バムン・オドゥミ・ムソウォヨ(今夜は暗闇が怖いよ)
9. オヌル・バメ(今夜に)
10. Beautiful Moon
11. サランウン・ウンハス・タバンエソ(恋は「銀河水茶房(ウンハスダバン)」で)
12. セビョク・ネシ(午前4時)
13. グゲ・アニゴ(そうじゃなくて)
14. Good Night
15. Fine Thank You And You? feat.大橋トリオ
16. ハンガンエ・ザクビョル(漢江の別れ)(ボーナストラック)

プロフィール

10CM(しぷせんち)

クォン・ジョンヨル(ボーカル・ジャンべ)とユン・チョルジョン(ギター・コーラス)によって2010年に韓国でデビュー。2011年にリリースした大ヒットシングル「アメリカーノ」がメジャー系音楽配信チャートで1位を独占する。2011年2月にはファーストアルバム「1.0」をリリース。音楽配信チャートにアルバムから複数トップ10入りを果たす快挙となる。アルバムチャートでも1位に。同年に“韓国大衆音楽賞”で“最優秀ポップアルバム賞”を受賞する。2012年にリリースしたセカンドアルバム「2.0」も、K-POPアイドルが名前を連ねる中、各種音源チャート1位と完全制覇。“2012 Mnet MUSIC AWARD”では同アルバムタイトル曲「Fine thank you and you?」が“SONG OF YEAR”に、また“Best Band Performance ”にもノミネートされる。ドラマ挿入歌でも「ロマンスが必要2」(tvN)「ゴールデンタイム」(MBC)「職場の神」(KBSドラマ)などに参加。またガールズグループAFTERSCHOOLのユニットORANGE CARAMELと10CMとのコラボ曲が2013年5月にリリースされた。

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突然少年“火ヲ灯ス”

教室でも放課後でも負け続けたこと、弱さ故に大事な友達も傷つけてきたことーー振り返るほど情けなさでズタズタになってきた自分達の青春を全部吐き出しながら、だからこそ今まで裏切らず側にいてくれた人を離さず抱き締めて生きていきたいのだと表明する1stアルバムが『サンキュー・マイ・フレンド・アンド・マイ・ファミリー』だ。ブッチャーズ、eastern youth、NUMBER GIRLを抱き締めて離さない号泣ファズは変わらぬまま、アルバムタイトルの通り「誰に何を歌いたいのか」に重心を置いた結果としてバンドサウンドが撚られ、歌がグッと前に出た。汗と唾を撒き散らす激情の成分はやや減ったが、あなたと友達になりたい、友達との絆を目一杯歌いたい、だからまずは自分達が素っ裸になってあなたと向き合いたいという意志がスウィートなメロディに乗って突き抜けている。「たったそれだけ」をたったひとりに伝えるためにもんどり打つ、バンドの核心がそのまま映し出されたMV。端からライブの中核を担ってきた名曲がさらに躍動している。(矢島大地)

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