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指揮者・飯森範親が語る、クラシック音楽のホントのところ

指揮者・飯森範親が語る、クラシック音楽のホントのところ

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:高見知香, 取材協力:東京交響楽団
2013/09/10

音楽好きなら誰もが一度は気になりつつも、なかなか本格的に踏み込んでいく機会が少ないクラシック音楽。そして様々なメディアに積極的に登場し、クラシックの普及に貢献してきた指揮者・飯森範親。彼が率いる山形交響楽団が、バイオリニスト松田理奈とともに、なんと1,000円からという破格の値段で、本格的なクラシックコンサートを体験できるという『アジア オーケストラ ウィーク2013』に出演する。

コンサートでは、音の伝わり方によるコンマ1秒以下の誤差も意識しながら演奏するといわれるプロのオーケストラ演奏者たち。そんな達人たちを束ねる、指揮者の仕事とは? 飯森のやりがいや知られざる苦労、クラシック音楽をより深く楽しむ方法について、大いに語ってもらった。

僕は根っからのポジティブ思考なので、何か言われたりしても全部いいように取っちゃうんです。たぶん指揮者って、そういう気質じゃないとやっていけない。

―いきなり素人的な質問で恐縮ですが、沢山の演奏者がいるオーケストラの中でも、指揮者って具体的に何をやっているのかが分かりづらいポジションでもありますよね。飯森さんが、指揮者を目指そうと思われた最初のきっかけは何だったのでしょうか。

飯森:『オーケストラの少女』(1937年)という映画があるのですが、それを3歳か4歳くらいのときに観たんですよ。ある少女が、危機に陥ったオーケストラを救うといったストーリーで、レオポルド・ストコフスキーという実際の指揮者が出演しているんですね。彼が指揮していたシーンが脳裏にあったのでしょうか、10歳の頃にラヴェルの“ボレロ”を聴いて、ものすごく衝撃を受けたんです。単純なリズムの中で、2種類の旋律が繰り返され、音世界が徐々に広がっていく、その15分間の体験に心から引き込まれてしまった。この曲を自分で指揮してみたいと思ったんです。

―指揮者を目指すとなると、大学などで専門のトレーニングを受けるわけですよね?

飯森:そうです。指揮者というと、「台の上で曲に合わせてタクトを振ってるだけじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、全てに基本があって、それを勉強しないとタクトを振れるようにはならないんです。例えばピアノならバイエルがあり、次にツェルニー、それからショパンのエチュードっていう具合に、段階ごとの教則本がありますよね。指揮もそれと同じで、段階的にテクニックを上げていくわけです。

『アジア オーケストラ ウィーク2013』10月6日に出演するサザン・シンフォニア
『アジア オーケストラ ウィーク2013』10月6日に出演するサザン・シンフォニア

―自分よりもずっとキャリアのある大勢の演奏者をまとめ上げ、1つの方向性に導いていく……。ある意味ではコントロールするわけじゃないですか。でも、それって指揮者としての技術だけでできるものではないですよね。最初のうちはナメられたり、陰口を叩かれたりしたことはなかったのですか?

飯森:あったかもしれませんね。でもね、僕は根っからのポジティブ思考なので、何か言われたりしても全部いいように取っちゃうんですよ(笑)。「別に言わせておけばいいや」って思えるし、だいいち言われたとしても全部忘れちゃうんです。たぶん指揮者って、そういう気質じゃないとやっていけない。だから実は、途中で辞めてしまう人も結構いたりします。

飯森範親
飯森範親

―人柄や性格によるところも大きいんですね。

飯森:同じことを相手に言っていても、嫌がられる人と「この人ならついていこうかな」って思わせる人がいるじゃないですか。「あの人が言うならしょうがないか……」とかね(笑)。そういうふうに思われると、指揮者をやっていく上では得ですよね。まあ、どの仕事でもそうかもしれませんが。

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イベント情報

『アジア オーケストラ ウィーク 2013』

東京公演
2013年10月5日(土)開演15:00
会場:東京都 初台 東京オペラシティコンサートホール
出演:
マニラ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ロデル・コルメナール
ピアノ:ディンドン・フィエル

ルーシオ・サン・ペドロ / パストラール組曲
ラフマニノフ / パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー / 交響曲 第4番 ヘ短調

2013年10月6日(日)開演15:00
会場:東京都 初台 東京オペラシティコンサートホール
出演:
サザン・シンフォニア
指揮:サイモン・オーヴァー
ピアノ:スティーブン・ドゥ・プレッジ

アンソニー・リッチー / パリハカの思い出
グリーグ / ピアノ協奏曲 イ短調
ブラームス / 交響曲 第2番 ニ長調

2013年10月7日(月)開演19:00
会場:東京都 初台 東京オペラシティコンサートホール
出演:
山形交響楽団
指揮:飯森範親
バイオリン:松田理奈

サリエリ / 歌劇「ファルスタッフ」序曲
モーツァルト / バイオリン協奏曲 第5番 イ長調「トルコ風」
ブルックナー / 交響曲 第1番 ハ短調「ウィーン版」

料金:
各1回券 S席3,000円 ペア券(S席2枚)5,000円 A席2,000円 B席1,000円
3公演セット券 S席7,000円 A席5,000円
※3公演セット券は日本オーケストラ連盟のみ取り扱い

盛岡公演
2013年10月8日(火)開演19:00
会場:岩手県 盛岡市民文化ホール
出演:サザン・シンフォニアと山形交響楽団との合同演奏
指揮:
サイモン・オーヴァー
飯森範親

アンソニー・リッチー / パリハカの思い出
指揮:サイモン・オーヴァー
モーツァルト / 交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」
指揮:飯森範親
ブラームス / 交響曲 第2番 ニ長調
指揮:サイモン・オーヴァー

料金:
S席3,000円 ペア券(S席2枚)5,000円 A席2,000円
※ペア券取り扱いは盛岡市民文化ホール、カワトク、岩手日報

※『アジア オーケストラ ウィーク2013』のサイトからチケットお申し込みのCINRA.NET読者の方には、会場のバーカウンターにて1ドリンクをサービス致します。ドリンクサービス券は、東京公演・S席1枚につき1ドリンクとさせていただきます。ご希望の方は入力フォーム備考欄に「シンラネット:ドリンク希望」と必ずご記入くださいませ。ドリンクサービス券はコンサートチケットと共にお送りいたします。

プロフィール

飯森範親(いいもり のりちか)

山形交響楽団音楽監督、東京交響楽団正指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団名誉指揮者。ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者。2014年シーズンから日本センチュリー交響楽団首席指揮者に就任予定。1986年に桐朋学園大学指揮科卒業後、ベルリンへ留学。89年からバイエルン国立歌劇場でW.サヴァリッシュ氏のもと研鑚を積む。04年より山形交響楽団の常任指揮者に着任し、モーツァルトの交響曲を8年がかりで全曲演奏するプロジェクトや、自主レーベルでのCDリリースなど次々と新機軸を打ち出し、オーケストラの活動発展と水準の向上に目覚しい成果を挙げている。07年より音楽監督に就任。08年にはアカデミー賞映画『おくりびと』にも出演。とくにオーケストラをダイナミックに革新し、地域活性化に貢献したことから、2010年のビジネス・イノベーション・アワード大賞を受賞した。

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