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学校では教えない本当の「音楽」 RONDENIONインタビュー

学校では教えない本当の「音楽」 RONDENIONインタビュー

インタビュー・テキスト
伊藤大輔
撮影:柏井万作
2013/10/18

2013年、旬のダンスミュージックである「EDM(Electro Dance Music)」。J-POPヒット曲のEDMリミックスが流行するなど、メジャーなダンスミュージックとしての地位を築きつつあるが、そういった画一的な流れが起こると、それに反発するかのようにアンダーグラウンドから面白い音楽が生まれてくるのもクラブ〜ダンスミュージックの魅力である。そんな現在、注目したいのは、世界的なムーブメントでもあるアンダーグラウンド / ニューディスコを通過した新世代のハウス系クリエーターたちだ。

このムーブメントは日本にも伝わり、2010年には約8年ぶりにハウス〜ディスコダブの先駆者DJ Harveyを招聘して話題となった『Rainbow Disco Club』をはじめ、ニューディスコシーンを牽引する2人組ユニットRub N Tugが出演した『XLAND』など、良質なアーティストを集めたフェスが各地で成功し、その波は確実に波及しつつある。そんな中、日本でも気鋭のハウス系クリエーターたちが存在感を強めていて、その中でも卓越したブラックネスを内包したハウスミュージックを世に送り出しているのが本稿の主役であるRONDENIONだ。

彼の最新作でありRONDENION名義としては1枚目のアルバム『LUSTER GRAND HOTEL』で聴けるサウンドは、ムーディーマンやセオ・パリッシュを彷彿とさせる漆黒のグルーヴミュージックであった。もともとクラシック畑で育ったという彼が、いかにしてダンスミュージックの虜になったのか? 幼少期の音楽体験から音楽学校時代の葛藤、さらにはダンスミュージックを経て開眼した独自の音楽哲学まで、あますことなく語ってもらった。

「好きです」を反復練習して上手に発音できる人より、片言の発音でもいいから、ちゃんと「好き」という想いを届けられる人が、いい音楽家です。

―子供の頃に音楽に魅了されたきっかけは?

RONDENION:最初にハマった音楽はTM NETWORKでしてね。小学校の頃に観た『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主題歌が彼らの曲だったんです。生音だけのバンドサウンドでもなし、洋楽っぽい不思議な雰囲気があって、今でもとても好きな曲です。

―実際に音楽を始めたのはいつからだったんですか?

RONDENION:中学のブラスバンド部がきっかけです。兄に入部を相談したら「チェッカーズが吹いているサックスがカッコいい」って言われて楽器はサックスに決めた。そんな始まり方でしたね。

―でも、もうその頃から自発的に音楽をやりたいって思っていたんですか?

RONDENION:そう。入学式のとき、ブラスバンド部の生演奏に迂闊にも感動したんですよね。その時から音楽を実際にやりたいと思うようになりまして。しかもちょうどその頃になると、小室哲哉がメガヒットを飛ばし始めた「小室黄金期」が到来してたので、将来は彼みたいになるんだと思っていましてね。中学の頃にやってたバンドにはシンセサイザーを使えるメンバーがいて、これがあればTM NETWORKみたいな音楽ができるぞー! となったわけです。

RONDENION
RONDENION

―なるほど。そのあとはクラシック系の音楽高校に進学されるわけですよね?

RONDENION:そうです。そのままサックスで進学しました。音楽がどういう仕組みになっているのかちゃんと学びたかったんです。

―音楽理論に対する知的欲求が、すでにあったんですか?

RONDENION:中学のブラスバンド部の恩師はピアニストだったので、聴いたことのある曲であれば、楽譜を見ずして演奏することができたんです。当時の僕にとってはもう魔法みたいに思えたんだけど、自分でもいくつかの曲をコピーしているうちに、どうやらこれにはルールがあるぞ!? っていうのが見えた。そのルールを身につけるという意味でも音楽理論の勉強はしたかったし、実際それは面白かったんですが、高校時代に音楽自体の魅力を上手く伝えてくれる講師には出会えなかった。それがとにかく嫌でしてね。おいおい、音楽のプロなのにそれはないだろ? という気分です。

―それでも音大進学の道を進んだのはどうしてなんですか?

RONDENION:東京に行けばいい環境で音楽が学べると思ったからです。それでもやはり僕の知りたいことを教えてくれる人に出会えなかったので、音大もすぐに辞めました。

―高校のときと同様、「音楽の魅力」を教えてくれる人がいなかった?

RONDENION:いません。いるんでしょうが、出会えませんでした。学校では「楽譜を上手く演奏するための練習」に終始する事がほとんどです。演奏の正確さだけを鍛錬しても、それで音楽の表現が上手くなるとは到底思えないわけですよ。例えば「好きです」っていう楽譜があったとして、どんなに「好きです」を上手く発音できるようになったとしても、想いが伝わらなかったら意味がないんです。片言の発音でもいいから、ちゃんと「好き」という想いを届けられる人が、いい音楽家なんですよ。

―すごくよくわかります。そういう部分に、教育の難しさがありますね。

RONDENION:そういうことが知りたいのに、どうしても試験対策になっていっちゃいます。学校にも都合があるでしょうが、前例の無いものに点数は付けられないのでハミ出した演奏は許されない。それだと芸術ではなくなってしまいます。高校のときも、卒業試験の課題曲を、生徒はみなレッスン通り演奏するわけです。僕にはそれが音楽を演奏しているように聴こえない。オメーらそんなんじゃ足りねーよって事で、僕はその課題曲を自分流にリアレンジして卒業試験に挑むわけです。これが俺の演奏だ! というのを、奴らに見せつけてやったら「こんなものは試験でも何でもない!」って、採点用紙を破り捨てて先生は出ていきましたけどね。それでも評価してくれる人はいましたが、危うく卒業出来ないところでした。マジメに音楽に取り組んだ結果ですよ。

―なぜそんなマジメに「音楽」に取り組んでいったんでしょう?

RONDENION:単純に好きなんですよ。自分にとって音楽とはどうあるべきなのかが重要であって、それを利用して試験に受かるとか、ご飯を食べるとかいう風には思えない。

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リリース情報

RONDENION<br>
『LUSTER GRAND HOTEL』(CD)
RONDENION
『LUSTER GRAND HOTEL』(CD)

2013年10月9日発売
価格:2,200円(税込)
Plug Research/Underground Gallery

1. Plus Eight
2. Babel
3. Assemblage
4. Never Despair
5. Well Done
6. Joy
7. Glitter Hole
8. Moon Sniper
9. Memories
10. Hallucination

プロフィール

RONDENION(ろんでにおん)

DJ/プロデューサー。90年代後期からHirofumi Goto名義でアーティスト活動を開始し、世界リリースされた"Ameria EP"は日本人とは思えぬ黒いビートで注目を集め、Derrik May等のトップDJたちにプレイされた。後にシカゴ/デトロイトへの敬意を形にすべく名をRONDENIONと改め海外のレーベルを中心にリリース活動を展開し、大手レーベル「Rush Hour」からリリースされた「Love Bound EP」がBIGヒットを記録。RushHourStoreのセールスチャートのTOPに輝き、欧州での人気を獲得する。日本国内では「日本人離れした漆黒のサウンド」と評された。近年は自身のレーベル"Ragrange Records"を中心にダンスミュージックシーンに新たなサウンドを提案している。

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