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学校では教えない本当の「音楽」 RONDENIONインタビュー

学校では教えない本当の「音楽」 RONDENIONインタビュー

インタビュー・テキスト
伊藤大輔
撮影:柏井万作
2013/10/18

アートとは「関わる人たちの人生を変えてしまうもの」と僕は定義しているので、そういう意味で「サンプリング」は、ひとつのアートフォームになりうる。

―面白いですね。しかしこのままだとなかなかテクノの話に辿り着かない気がするので(笑)、最初に出会ったダンスミュージックについて教えてください。

RONDENION:そうですね、4つ打ちの初体験は小室哲哉プロデュースの楽曲や、たまにポップフィールドに顔を出してくる坂本龍一とかですか。その後、Frogman Records(日本のインディーズレーベルで、KAGAMIやRIOW ARAIなど多くの日本人クラブミュージシャンを輩出した)を発見したのが今のキャリアの始まりでしたね。ちょうど僕が18歳くらいのときに音楽雑誌『GROOVE』にFrogmanのレーベルカタログが付録CDでついていて、それに収録されていたKAGAMIのトラックが面白くて、自分でもやってみるべきだと思ったわけです。

―では、クラブに通ううちに現場でダンスミュージックに魅了されて、それらの音楽に傾倒していったタイプではなかった?

RONDENION:ええ、むしろクラブはレコードデビューが決まってから初めて行ったくらいで、どちらかと言えばダンスミュージックの音楽的な部分に興味を持ってました。だから僕が制作する音楽は、もちろんダンスミュージックなんですけど、リスニングミュージック的な感覚はあると思います。

―クラシックを通ってきたという経歴からして、RONDENIONさんがダンスミュージックに興味持つのって意外だと思うんです。ずっとループしていて退屈だって言う人もいるわけですが、ダンスミュージックのどこに魅力を感じたのですか?

RONDENION:単純なんですよね、音楽の楽しみ方が。音楽を形成する要素がシンプルな分、作り手のアイデアが見えやすくて強烈だし、ちょっとした違いが大きく音楽自体を左右するところが面白い。

―今のRONDENIONのサウンドを聴くと、まず印象に残るのはブラックミュージックのフィーリングです。その感覚はどうやって培ったんですか?

RONDENION:興味の赴くままダンスミュージックを調べていくと、黒人のコミュニティーから派生していることがわかって、シカゴ〜デトロイトのダンスミュージックに辿り着きます。それが自分にとってのブラックミュージックになっていきましたが、これはもう時代とタイミングの問題なんですよ。その当時に4つ打ちの音楽を深く掘れば、誰だってシカゴハウスやデトロイトテクノに必然的に辿り着くわけです。その中でもサンプリングでトラックを作っているアーティストは特に気になりましてね。ヤツら、どうやらサンプリングで曲を作ってるらしい? だったら俺もやってみせる! となったわけです。

RONDENION

―サンプリングによる楽曲制作の手法を知るようになって、制作のスタイルも変わりましたか?

RONDENION:変わります。これまで自分が培ってきた音楽制作の基盤や概念はサンプリングという手法にはまったく通用しません。自分が常識だと思っていた事が全部崩されるわけです。音楽学校を経てきた人間にとって、既存曲の一部を拝借して別の新しい曲を作ろうなんてのは、全く想像していない世界ですからね。サンプリング手法は間違いなく音楽的「発明」と呼べますし、アートなものだとも思いました。

―アートですか?

RONDENION:僕はアートを「関わる人たちの人生を変えてしまうもの」というふうに定義してますので、そういう意味でサンプリングは、ひとつのアートフォームになりうるんです。現に僕はこの制作手法で生きる哲学を変えられてしまったわけです。「今までの自分の常識」が通用しないのですから、生き方そのものを変える必要がある。サンプリングする限り、変わってしまうという方が正しいかもしれません。

―サウンドだけじゃなくて、サンプリングの発想そのものに惹かれたんですね。

RONDENION:そうです。それまでは音楽という世界の中に自分がいて、その音楽世界のルールや決まり事にのっとって、音楽を作ったり解釈したりしていたんです。でも逆にその考え方が、自分の中の音楽を狭いものにしていたと思えるのは、サンプリングという手法が音楽世界の外の話だからです。

―既存の音楽世界から外に出てみることで、音楽の解釈がより幅の広いものになる、ということですか?

RONDENION:広がるというより、解釈が変わるんです。音楽って人間が作るものなので、その人がどういう人間であるのかが重要なんです。その人の解釈によって、音楽が決まる。音楽が変われば、その人も変わるという事です。僕はサンプリングを始めた時点で違う人間になってしまったわけです。音の影響で人が変わる良い例ですよ。それに加えて著作権的に面倒な話もありますし、ある意味で直接、音楽には関係のない事まで考えなくてはいけない。でも、だからこそ僕が音楽に求めていた、アートに繋がる活動っていうのが「サンプリング」の中にあるのかもしれない。それをちゃんとやってみたいと思うんですね。

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リリース情報

RONDENION<br>
『LUSTER GRAND HOTEL』(CD)
RONDENION
『LUSTER GRAND HOTEL』(CD)

2013年10月9日発売
価格:2,200円(税込)
Plug Research/Underground Gallery

1. Plus Eight
2. Babel
3. Assemblage
4. Never Despair
5. Well Done
6. Joy
7. Glitter Hole
8. Moon Sniper
9. Memories
10. Hallucination

プロフィール

RONDENION(ろんでにおん)

DJ/プロデューサー。90年代後期からHirofumi Goto名義でアーティスト活動を開始し、世界リリースされた"Ameria EP"は日本人とは思えぬ黒いビートで注目を集め、Derrik May等のトップDJたちにプレイされた。後にシカゴ/デトロイトへの敬意を形にすべく名をRONDENIONと改め海外のレーベルを中心にリリース活動を展開し、大手レーベル「Rush Hour」からリリースされた「Love Bound EP」がBIGヒットを記録。RushHourStoreのセールスチャートのTOPに輝き、欧州での人気を獲得する。日本国内では「日本人離れした漆黒のサウンド」と評された。近年は自身のレーベル"Ragrange Records"を中心にダンスミュージックシーンに新たなサウンドを提案している。

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