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YeYeと後藤正文が考える、ミュージシャンの幸せな在り方

YeYeと後藤正文が考える、ミュージシャンの幸せな在り方

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也

暗い曲ばっかり入れたアルバムも作ってみたい。そのレコ発のイベントは、みんな布団持参で、寝ながら聴くっていう(笑)。(YeYe)

―YeYeさんは9月にアルバムが出て、あの作品は海外のチェンバーポップの影響などを消化したものでした。今はまだ全国ツアー中ですが、少しずつ次の作品のビジョンも見えつつあるのでしょうか?

YeYe:私はギターの弾き語りから音楽を始めたんですけど、もともと弾き語りがしたかったわけじゃなくて。サポートメンバーありきの、楽団みたいな感じの形態でやりたいとずっと思っていたので、今はホントに自分のやりたかった形態でやれてるんです。これからはさらにそのチェンバーポップみたいな要素も入れて、最終的には50人ぐらいいるような感じでやれたら面白いんじゃないかなって思ってます(笑)。

後藤:バンドって、メンバー余ってるぐらいのほうが楽しいからね。「あの人何してるんだろう?」みたいな。でも、50人は多いんじゃない?(笑) まあ、例えば、BROKEN SOCIAL SCENEみたいな形ってすごく理想で、メンバーがそれぞれ別ユニットで活動してるんだけど、みんな集まるとBROKEN SOCIAL SCENEになるっていう、ああいうのは見てて羨ましい。化学調味料みたいな音楽じゃなくて、ちゃんと血の通った感じが、あの周りにはあるような気もするし。

―そう言われてみると、トロントのシーンと京都のシーンって、ちょっと近いところがあるかもしれないですね。

YeYe

YeYe:YeYeの場合は、あくまでサポートメンバーに参加してもらってるのがよくて、たぶんバンドやったら、めっちゃケンカしてると思うんです。でも、サポートメンバーの距離感で、YeYeのエゴでやってることに付き合ってもらってる上に、自分にとってお兄ちゃんみたいな関係の人たちばっかりで。いろいろ助言もくれるし、勉強しながらできるのもすごくしっくり来てて……。えっと、好き勝手やらせてもらってます(笑)。


―単純に、今はまってるアーティストや作品ってありますか?

YeYe:ツアー中なので、ステージではウワーってやりたいんですけど、ライブをあまりにいっぱいし過ぎると、それ以外の時間は静かな音楽が聴きたくなるんですね。IT’S A MUSICALのエラ・ブリクストが別でやってるBOBBY & BLUMMっていうユニットがあるんですけど、それはシックな感じで優しい声なので、今はそれが好きですね。

―そういう曲も作ってみたいと思いますか?

YeYe:ライブのことを考えると、静かな曲とかテンポの速い曲とか、いろいろ盛り込んだほうが聴いてる側は楽しいと思うので、そういうことを踏まえてセットリストを組んでるんです。でも、暗い曲しか聴きたくないときもあることを考えると、暗い曲ばっかり入れたアルバムも作ってみたいなと最近思ってて。聴きながら、途中で寝られるぐらいの(笑)。

―寝ちゃうんだ(笑)。

YeYe:そのレコ発のイベントは、みんな布団持参で、寝ながら聴くっていうのをやりたいです(笑)。

後藤:22時ぐらいに、消灯してからスタートでね(笑)。で、部屋の隅っこでYeYeが小っちゃいあかり灯して暗い歌を……ってめっちゃ怖いじゃん(笑)。普通そんなライブ考えつかないよ?

YeYe:そうですか? もう結構考えてて、持ち物リストに「寝袋持参してください」って書いておくんですけど、結局みんなライブに寝袋なんて持ってこないから、一応貸出し用も5つぐらい準備しておいたけど、全然足りひんくてどうしよう……ぐらいの状況まで想像してます(笑)。

後藤:物販で売ったらいいんじゃない? YeYeオリジナル寝袋(笑)。

YeYe:なるほど、売れば解決ですね(笑)。

左から:YeYe、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

メジャーとインディーのどっちが偉いとかもないし、良し悪しなんだよね。ストレスを感じない限りは、どんな環境でもいいと思う。(後藤)

―後藤さんは最近the chef cooks meやDr.DOWNERのプロデュースも手掛けられていますよね。ちょっと無茶振りですが、もしYeYeさんをプロデュースするとしたら、「こんなことをやったら面白いんじゃないか」っていうアイデアはありますか?

後藤:僕の基本的なプロデュース方針って、ミュージシャンのやりたいことを叶えるだけなので、「こういうのやったら?」っていう提案はあんまりしないんです。どうしたら一番よく録れるかを考えたり、迷ってるときは判断したり、それぐらい。だから、YeYeも好きなことをやったらいいとは思うんだけど、あとは今後のプランをどう考えてるのかっていうところですよね。例えば、お茶の間みたいなところにどの程度あがっていくのか。こたつにまで入っていくのか、玄関だけ開けてみるのか、その辺のバランスをどうしていくんだろうなって。もちろん、そんなこと考えてなくて、とにかくいいものが作れればいいっていうのでもアリだと思うし。

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

YeYe:最初は、「売れてやる」みたいな気持ちで音楽を始めたわけじゃ全くないんです。気がついたら音楽になってたって感じで、ホントにすごく人に恵まれてきていて……。

後藤:今のとこ太字だね。「気がついたら音楽になってた」って(笑)。

YeYe:それで、最近チャットモンチーさんの『ふたりじゃない』っていうDVDを観たんですね。そのDVDには「チャットモンチーを支える裏方の部分にも着目した」って書いてあって、それで観てみようと思ったんです。私はもちろん今までメジャーに行ったことがないから、初めてその裏側を知って、みんなで作り上げていく信頼感がホントにすごいと思って、めちゃくちゃ感動したんです。

―あのDVD、素晴らしいですよね。

YeYe:今、私はインディーのレーベルに所属させてもらってて、めちゃめちゃ助けてもらってるんですけど、マネジメントはついてないので、今回のツアーも自分でホテルや新幹線の手配をしているし、めっちゃ大きいスーツケースに物販や機材を詰めたりしながらやってるんです。今はこういうことを経験するときだと思ってるんですけど、そのDVDを観て、サポートあってこそのミュージシャンというか、スタッフの方がいれば、さらに音楽に邁進できるなって考えると、そういう環境もいいなと思いました。

後藤:メジャーとインディーのどっちが偉いとかもないし、良し悪しなんだよね。ストレスを感じない限りは、どんな環境でもいいと思う。でも、「さすがに物販誰かに持ってほしい」って思い始めたら、人が必要だよね(笑)。

YeYe:機材を運ぶとき、ライブハウスにエレベーターがないと終わりなんですよ(笑)。「まだ新人やし、頑張ろう」って思ってるんですけど、そういうところで体力を取られちゃって……。

―実際にライブがどうやって作られていくのかを経験しておくのはすごく大事だと思うけど、ミュージシャンとしては「音楽だけに集中したい」と思うのも当然ですよね。

後藤:でも、だんだんスタッフが増えていくと、「今まであれ僕がやってたんだよな」みたいに、ちょっと「仕事を取られていく」みたいな感覚もあるんですよ。特に最初の頃は結構そういう思いもありました。ただ、ミュージシャンとして音楽を作る上ではあんまりお金のことを考えたくないから、僕の場合はホントにそれだけが理由でマネージメントに所属してますね。無邪気に「あのアンプ使いたい!」って言いたいっていう(笑)、それだけなんです。

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イベント情報

YeYe
『HUE CIRCLE』全国ツアー

2013年12月7日(土)
会場:宮崎県 Liberty

2013年12月14日(土)
会場:北海道 札幌 oyoyo

2014年1月12日(日)
会場:京都府 KYOTO MUSE

東京『空気公団 × YeYe LIVE』

2013年12月25日(水)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:東京都 下北沢 mona records

書籍情報

後藤正文<br>
『This is ASIAN KUNG-FU GENERATION Photographs by MITCH IKEDA』
後藤正文
『This is ASIAN KUNG-FU GENERATION Photographs by MITCH IKEDA』

2013年12月28日発売
著者:MITCH IKEDA
価格:4,200円(税込)
発行:株式会社KADOKAWA

プロフィール

YeYe(ぃえぃえ)

1989年生まれ。2011年に発売されたデビューアルバム『朝を開けだして、夜をとじるまで』は作詞作曲はもちろん、すべての楽器の演奏までをセルフ・プロデュースで行う。デビューアルバムに収録されている「morning」が、α-STATIONをはじめ、ラジオ関西、鹿児島フレンズFM、FM徳島、FM三重の各局パワープレイに選ばれる。

後藤正文(ごとう まさふみ)

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギターであり、楽曲全ての作詞とほとんどの作曲を手がける。これまでにKi/oon Music (SONY)から7枚のオリジナル・アルバムを発表。2010年にはレーベル「only in dreams」を発足させ、webサイトも同時に開設。また、新しい時代やこれからの社会など私たちの未来を考える新聞「THE FUTURE TIMES」を編集長として発行するなど、 音楽はもちろんブログやTwitterでの社会とコミットした言動でも注目される。Twitterフォロワー数は現在240,000人を超える。

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