特集 PR

四畳半時代の悔しさをバネにして johannインタビュー

四畳半時代の悔しさをバネにして johannインタビュー

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望
2013/12/18

僕は「この曲はこういう曲だよ」っていうのを共有することで、ライブをみんなで楽しめるんじゃないかなって思うんですよね。

―2010年に松田さんが脱退し、元harvest four seasonの嵩井翔平さんが加入して1stアルバム『畳の唄』が出るわけですが、バンド名の由来といい、「自宅録音」をベースにしていたりするのでしょうか?

佐藤:いや、それは全くないです。johannのテーマを「和」に統一したかったんですよね。

―「和」のイメージを大切にしているのはなぜですか?

佐藤:子どもの頃からお祭りが好きだったんですよ。僕が育った地元の茨城では、中学校のときに強制的に御神輿を担がされるんですね(笑)。それがすごく楽しみだったし、お祭り会場が近所だったから、夏になると家にいても祭り囃子が聞こえてくるような環境でした。

johann
johann

―言われてみればjohannのリズムってちょっと「お囃子」っぽいですよね。

佐藤:そうですね、それは結構意識しています。あと、サウンドだけじゃなくて、言葉にも「和」を積極的に取り入れていますね。

―バンド名もそうですし曲名やアルバムタイトルもそうですよね。

佐藤:日本語の文章が好きなんですよね。例えば“輝く街”っていう曲があるんですけど、これは本屋さんで『ひかりのまち』っていうタイトルの本を見つけて。「ああ、すごくいい言葉だなあ」と思って、ずっと曲名に使いたかったんです。そうやって、言葉から曲ができることは多いですね。「このタイトルの曲を作りたい」って思うんです。

―歌ものだったら、「歌詞」というフォーマットを使って言葉を伝えることができるわけですが、そこでインストバンドであることのジレンマを感じることはありますか?

佐藤:インストバンドの人たちに多いのは「イメージを聴き手に委ねる」というやり方だと思うんですけど、僕は「この曲はこういう曲だよ」というのを、押し付けるわけじゃないけど、共有したいなとは思っているんです。だからアルバムのインナースリーブにも1曲ずつ解説を入れてるし、共有することで、ライブをみんなで楽しめるんじゃないかなって思うんですよね。

―お祭りみたいな音楽なのに「わびさび」という言葉を使ったり、インストなのに言葉にこだわったり、そういうギャップを敢えて生み出して、聴き手の想像力を広げようとしているのかなと思いました。

佐藤:まさにそうですね。例えば“oyasuminasai”(おやすみなさい)っていう曲があるんですけど、めちゃめちゃうるさい曲なんですよ(笑)。「寝れないよ!」って突っ込まれたくてこういう曲名にしたんですけど、案の定そう言ってくれる人がいっぱいいて嬉しいです。

―“haiku days tanka poetry”みたいに、日本語と英語がチャンポンになっている感覚もユニークです。

佐藤:「知能指数低めだな」ってよく言われます(笑)。それもイメージのギャップを意識して付けましたね。あとは、今回のアルバムはいわゆるハイファイな音にしたくなくて、あえてライブハウスで録ったりして、きれいにまとめ過ぎず、ダーティーにライブ感を意識して作りました。

僕はただ弾きたくて弾いてただけなんですけど、酔っぱらいのオッサンにリクエストされたり(笑)、お婆ちゃんが隣に座ってずっと聴いてくれてたり。

―佐藤さん自身は、どういうきっかけで音楽に目覚めたのですか?

佐藤:自分でギターを弾きたいって思ったのは、13歳のときに横浜銀蝿を聴いてからですね。正月の特番に彼らが出てて、「すげーかっこいい!」って思って。それまで音楽には全然興味がなかったんですけど、そのままCDを買いに行きました(笑)。

―横浜銀蝿のファッションやアティチュードにも影響を受けましたか?

佐藤:ルックスとか立ち振る舞いよりもまず音楽でしたね。スリーコードのロックンロールがとにかくかっこ良くて。僕は今29歳だから横浜銀蝿は全然リアルタイムじゃなくて、そのときに見た映像も当時のものではなく「現在の銀蝿」だったので。

―佐藤さんはアコギでソロ活動もしていますが、そこではスラッピングやタッピングなどを駆使したパフォーマンスを披露していますよね。

佐藤竜市(johann)

佐藤:johannからドラムが抜けてた時期、ライブに誘われても出られない状態が続いたんですよ。演奏できないことがすごくストレスで、仕事が終わってから夜中にアコギを持って外へ行って、朝まで弾いたりしていたんですよね。駅とか公園とかで(笑)。あの頃は本当に頭がおかしかったですね、いつもイライラしちゃってたし……。


―そうやって路上で演奏していたことが、アコギのスキルアップにも繋がったわけですね。

佐藤:僕はただ弾きたくて弾いてただけなんですけど、お金をもらったこともありましたね。あとは酔っぱらいのオッサンにリクエストされたり(笑)、昼間に公園で弾いてたらお婆ちゃんが隣に座ってずっと聴いてくれてたり。「昔はよく音楽を聴きに行ってたけど、今は足が悪くなって行けなくなってしまったの。それで公園に来たら君がたまたま弾いててくれて良かったわ」って言われたんですよね。僕はお婆ちゃん子だったので嬉しくて、彼女に聴かせたくてその公園に通ったり。

―へえ! 鬱屈していた時期のことだったんでしょうけど、今となっては貴重な経験ですね。

佐藤:そうですね。結果的に、その時期にアコギを特訓できたので。あとはやっぱり、アンディ・マッキーとかマイケル・ヘッジスを聴いて「ああ、こういう弾き方もあるんだ」と思ったのも大きかったです。

―いわゆるポストロックやマスロックと言われているバンドからの影響はどうですか?

佐藤:うーん、toeはわりと好きなんですけど、それ以降に出てきたバンドは自分がやりたい方向性とはちょっと違っていて、もうちょっと、賑やかに発散するような音楽をやりたいというか。Battlesは好きで、ライブを観に行ったりもしましたけど。

―Battlesのリズムって、ちょっとお囃子みたいなところもあって、その辺りはjohannも通じるものがあるのかなと思いました。曲はいつもどのように作っているんですか?

佐藤:モチーフを作っておいて、それをスタジオでメンバーに聴かせてゼロからアレンジを組み立てていくというやり方です。曲の構成やリズムの感じといった全体像は頭の中で大体できあがっていることが多いですね。もちろん、誰かが弾いたフレーズに触発されて、全く違うアレンジに取り替えることもあります。

Page 2
前へ 次へ

リリース情報

johann<br>
『Haiku Days』(CD)
johann
『Haiku Days』(CD)

2013年12月18日発売
価格:1,680円(税込)
TTPM-001

1. japanese wabi sabi tatami pride
2. koyuki
3. haiku days tanka poetry
4. 葉月のクジラ
5. 輝く街
6. oyasuminasai

プロフィール

johann(よはん)

2008年結成のツインドラムインストロックバンド。「TOKYO JAPANESE “WABI SABI”TATAMI PRIDE」という謳い文句を掲げ世界に通じるサウンドを掻き鳴らし続けている。まるで野獣の咆哮のような爆音で郷愁感漂うギターと、ツインドラムとベースから生み出される強靭なグルーヴでオーディエンスをjohannの世界の虜にさせている。まさに今ライブを体感するべきの男性5人組。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間 1

    BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間

  2. VTuber集結『NHKバーチャル文化祭』にキズナアイ、シロ、さだまさしら 2

    VTuber集結『NHKバーチャル文化祭』にキズナアイ、シロ、さだまさしら

  3. YOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』9月刊行 3

    YOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』9月刊行

  4. 著名人が選ぶ『ゲーム・オブ・スローンズ』ベストエピソード一挙放送 4

    著名人が選ぶ『ゲーム・オブ・スローンズ』ベストエピソード一挙放送

  5. 芦田愛菜『星の子』永瀬正敏と原田知世が「あやしい宗教」信じる両親役 5

    芦田愛菜『星の子』永瀬正敏と原田知世が「あやしい宗教」信じる両親役

  6. 星野源、去年11月のニューヨークライブの模様をNHK総合で地上波初オンエア 6

    星野源、去年11月のニューヨークライブの模様をNHK総合で地上波初オンエア

  7. 森七菜が歌う“スマイル”カバー配信リリース ホフディランがプロデュース 7

    森七菜が歌う“スマイル”カバー配信リリース ホフディランがプロデュース

  8. 田丸雅智×曽我部恵一が登壇『真夏のショートショート食堂』オンライン開催 8

    田丸雅智×曽我部恵一が登壇『真夏のショートショート食堂』オンライン開催

  9. のん×林遣都が共演 大九明子監督、綿矢りさ原作の映画『私をくいとめて』 9

    のん×林遣都が共演 大九明子監督、綿矢りさ原作の映画『私をくいとめて』

  10. もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー 10

    もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー