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成長するために次のステージへ 秋元才加インタビュー

成長するために次のステージへ 秋元才加インタビュー

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望
2014/02/05

2011年に初演が行われ、数々の演劇賞に輝いた三谷幸喜の舞台『国民の映画』が、2月8日の渋谷パルコ劇場を皮切りに、大阪、愛知、福岡で再演される。

ナチス政権下のドイツで、最高のキャストとスタッフを使った映画を作るため、宣伝大臣ゲッベルスにより集められた映画人たち。国家のためか、芸術のためか、それとも生きるためか。実在したナチス高官と映画人たちを題材に、芸術と権力の狭間で葛藤する人々を描いた群像劇は、すべての登場人物に感情移入してしまう見事な配役と脚本だけではなく、特殊な時代背景のなかで生きることの難しさや、今現在の社会にまで通じる人間の複雑な心理について深く考えさせられるものとなっている。

今回の再演では、本作で『読売演劇大賞』最優秀男優賞を受賞した小日向文世を始め、多くのキャストが初演のまま配役されているが、新たに「ナチスを利用した女」エルザ役に選ばれたのが、昨年8月にAKB48を卒業したばかりの秋元才加だ。三谷から「みにくいアヒルの子」と言われた彼女は、大抜擢を受けた舞台にどのような心境で挑むのか。再演から参加という彼女ならではの視点で、舞台の見どころと裏側、そして独り立ちした自身のことについて、連日通い詰めている稽古場で語ってもらった。

今回が本当のスタート。三谷さんにイチから教わっている感じがしますね。

―秋元さんは再演からの参加になるわけですが、初演のイメージは?

秋元:正直、このお話をいただくまでは、三谷さんの舞台は『其礼成心中』と『おのれナポレオン』くらいしか観たことがなかったんです。もちろん三谷さんがすごい人だということは知っていましたけど、そこまで知識がなかったので、コメディーをやるのかなと思っていて。

―三谷さんはよく喜劇を描くイメージがありますもんね。

秋元:そうなんです。まずDVDで『国民の映画』の初演を観たんですけど、題材がナチス政権じゃないですか。メッセージ性も強いし、自分が思っていたイメージとは違う作品で、最初に観たときに涙してしまって。しかも、それがなんの涙かっていうのは一言では表せないような……。第二次世界大戦という時代環境のなかで、何かを押し殺さなければ生きることができない人たちが描かれていて、自分だったらどうするんだろうとか、いろいろ考えてしまったんですよね。

秋元才加
秋元才加

―確かに観終わった後、感情をどこに持っていけばいいのかわからなくなりますよね。

秋元:単純に悲しいだけでもないし、どの場面でどう感じたかとか、観終わった後に延々と話せるような舞台ですよね。あとは「ヒトラー政権って、どうだったんだろう?」とか、いろんなことに興味を派生させてくれるというか。

―僕も観た直後にめちゃくちゃ調べました(笑)。

秋元:そうですよね! でも、重いだけじゃなくて、笑える部分とか、緩急もあって。登場人物も主役、二番手、三番手、脇役みたいな、わかりやすい配役ではなく、一人ひとり主役になる場面があって、それぞれの境遇で一生懸命生きている。

―それぞれが置かれた境遇を考えたら、全員の気持ちがわかるというか。

秋元:三谷さんも「政府側についている人も、何かの歯車が狂って大きな過ちになってしまったけど、どこか人間的な部分を持っているというところを表現したい」とおっしゃられていて。初演のときも公演開始直後に震災があって、あえて中止せずに公演を続けたんですけど、「やっぱりこの時代はコメディーだな」というセリフが3年経った今になって、また深みを増したんじゃないかと思うんです。私も震災当時は表現する立場としてエンターテインメントの意味を考えたし、それを楽しむ側としてもすごく考えたんですね。『国民の映画』を作ろうとしていたゲッベルスも、ああいう時代だったからこそ、映画が大事だと思ったんじゃないかという人間的な部分も興味深くて。

『国民の映画』2011年 撮影:阿部章仁 ©株式会社パルコ
『国民の映画』2011年 撮影:阿部章仁 ©株式会社パルコ

―今の時代に置き換えられることが多いですよね。

秋元:時代は変わっていても、すごくリンクしているところがありますよね。逆に、私はエルザというゲッベルスの愛人的な新人女優の役なんですけど、女性の立場が低い時代だったので、女優として成功するために、男の人に媚びたり、擦り寄っていったりするんです。そういった部分には時代の違いを感じますし、考えさせられることもありました。

『国民の映画』2011年 撮影:阿部章仁 ©株式会社パルコ
『国民の映画』2011年 撮影:阿部章仁 ©株式会社パルコ

―秋元さんはAKB48では男前なキャラクターとして知られていたので、エルザとは正反対な印象があります。三谷さんはなんで秋元さんをエルザ役に選んだんでしょう?

秋元:それは私も知りたいくらいなんですよ(笑)。ただ、稽古に入って1週間くらい経った頃に、「バラエティーに出ているのを見て、いいなと思ったんです」と言ってくださったんです。「演技じゃなくてバラエティーですか!?」ってビックリしましたけど(笑)。

―まさかのバラエティーきっかけ(笑)。

秋元:「言い方は良くないかもしれないけど、AKB48のなかにいるのを見て、『みにくいアヒルの子』みたいに見えたんですよ」って。実は私、秋元康さんにも同じことを言われていたんです。だから余計にビックリして。

―AKB48という大人数のグループだからこそ、その「みにくいアヒルの子」という印象が際立ったんでしょうか?

秋元:そうかもしれないですね。ただそれは、AKB48にいたからこその個性でもあって、AKB48を卒業した今となっては、なんか違うなと思われる怖さもあるんです。

―でも、舞台はAKB48にいる頃から出ていましたよね?

秋元:AKB48のなかでは多いほうだったので、そう言われることが多いんですけど、『ローマの休日』『モーツァルト』、今回で3本目なんですよ。今まではがむしゃらにやってきて、たまたま評価していただけた。でもその評価はAKB48あってのものだったと思いますし、そういう意味では今回が本当のスタートで、三谷さんにイチから教わっている感じがしますね。しかも今回は映画が題材になっているだけあって、映画のメソッドもたくさん入っているんですよね。「何もしない演技がいちばん難しい」とか、セリフのなかにも勉強になることがたくさんあって。これから女優を目指していくなかで、このタイミングでこの作品に関われて本当に良かったなと思いましたね。

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イベント情報

『国民の映画』

作・演出:三谷幸喜
出演:
小日向文世
段田安則
渡辺徹
吉田羊
シルビア・グラブ
新妻聖子
今井朋彦
小林隆
平岳大
秋元才加
小林勝也
風間杜夫

東京公演
2014年2月8日(土)~3月9日(日)
会場:東京都 渋谷 パルコ劇場
料金:9,450円

大阪公演
2014年3月13日(木)~3月16日(日)
会場:大阪府 森ノ宮ピロティホール

愛知公演
2014年3月21日(金・祝)~3月23日(日)
会場:愛知県 刈谷市総合文化センター・大ホール

福岡公演
2014年4月4日(金)~4月6日(日)
会場:福岡県 福岡市民会館 大ホール

プロフィール

秋元才加(あきもと さやか)

1988年7月26日生まれ。千葉県出身。2006年にAKB48の2期生として「チームK」に所属。キャプテンを務める等活躍し、2013年8月卒業。また派生ユニット「DiVA」としても活躍。音楽のみならず、バラエティーや女優として映画・ドラマにも出演し、幅広く活動している。

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