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Schroeder-Headzが描いた、昔から知っていたような「未来」

Schroeder-Headzが描いた、昔から知っていたような「未来」

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:三野新
2014/02/18
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懐かしい未来――そんな言葉を耳にしたとき、あなたが思い浮かべるのは一体どんなものだろう。たとえばそれは映画『ブレードランナー』のようなSF的世界観なのかもしれないし、中には手塚治虫や藤子・F・不二雄が描いたものを想起する人もいるかもしれない。いずれにせよ、それはきっと見果てぬ世界への興奮と同時に、あなたの抱える郷愁を優しく揺さぶってくるものなんじゃないかと思う。

およそ4年ぶりのニューアルバム『Synesthesia』についての会話を交わす中で、Schroeder-Headzこと渡辺シュンスケは、その「懐かしい未来」というワードをふと差し出してくれた。これはあくまでも筆者の私見にすぎないが、本作の音像が喚起してくるイメージをこれほどうまく表した言葉はないと思う。「ピアノトリオの未来型として見られたい」とは、渡辺がかねがね語ってきたことだが、たしかにそれが本作では見事に具現化されているのだ。イビツで奇妙だけど、躍動感に満ちている。実際には存在しないんだけど、ずっと前から知っていたような気がする。プログラミングを駆使しつつもジャズなどのルーツミュージックを基調としたアンサンブルは、聴き手のそんな感覚を猛烈に掻き立ててくる。そして、もちろんここに収められた10曲から思い浮かぶイメージを、本作のタイトルにもなっている「シナスタジア(共感覚)」によって伝えることも可能だろう。ここではその共感覚についての会話から始めてみたいと思う。

行ったことがない場所なのに懐かしく感じたりすることがありますよね。それと同じような郷愁をピアノの音色から感じるんです。

―今回のアルバムには「シナスタジア(共感覚)」というタイトルがつけられていますが、つい最近、他のミュージシャンの方と共感覚について話す機会があったんです。その方が「自分は電子音を原色のようなイメージで使っている」とおっしゃってたんですけど、この意見についてシュンスケさんはどう思われますか?

渡辺:その方はきっと、電子音が持つ波形が規則正しいサイン波であることからイメージされているんでしょうね。それを色でたとえると、たしかに原色なのかもしれません。滲んでいない、はっきりした色というか。

―シュンスケさんの場合は、そのエレクトロニックなサウンドを用いながらも、ピアノをメインに使われていますよね。ピアノという楽器を共感覚的に捉えるとしたら、どんな色になりますか?

渡辺:ピアノを弾いてるときはモノクロの陰影と余白によって絵を描いているイメージですね。スケッチやラフ画、あるいは水墨画みたいな感じというか。

―前回のインタビューでは、ピアノの音色から感じる郷愁が、ピアノに惹かれた理由だとおっしゃっていましたよね。

渡辺:うん。自分の場合、坂本龍一さんや久石譲さんの音楽にノスタルジーを感じたことが大きいですね。じゃあ、なんでその音に懐かしさを感じるんだろう? と考えると、それは今でもよくわからないんです。もしかするとそれは生まれる前の記憶に近いものなんじゃないかな……とか思ったり。たとえば、行ったことがない場所なのに懐かしく感じたりすることがありますよね。それと同じような感覚をピアノの音色から感じるんです。

渡辺シュンスケ
渡辺シュンスケ

―なんとなくわかる気がします。今でもそういう説明できない感覚と向き合いながら、ピアノと接しているんですか?

渡辺:そうなのかな。ただ、歳をとるといろんな知識がついちゃうので、音楽をやりながら感じる驚きは、少しずつ減ってきてしまうんです。でも、そこで頭が固くなるのは嫌だし、新鮮さを保っていたいから、いろんな音楽を聴くようにしてます。

―キャリアが長くなるにつれて、誰もが必然的にぶつかる課題かもしれませんね。

渡辺:このSchroeder-Headzというプロジェクトは、そもそも自分のルーツを辿っていく作業でもあるんです。身についたものを捨てて、もう一度ルーツに立ち返ってみようと。「なぜ音楽を始めたのか」「なぜピアノに惹かれたのか」ということを、言葉で考えてみるときもあるし、実際に楽器に触りながら、自分が引っかかる和音やしっくりくるフレーズを探してみることもあります。僕にとって曲を作ることは、そういう作業でもあって。作ったものを聴いてみると、たまに自分で驚かされることがあるんですよね。

―なるほど。でも、身についた知識や経験から自分を解き放つことって、年齢を重ねるほどに難しくなっていきますよね。

渡辺:そうですね。人の評価を気にせず、「自分はこれが好き」と素直に示すのって、やっぱり怖いことなんです。音楽家ならみんな、聴いた人がどう感じるかを意識すると思うんですけど、それを気にしすぎると、今度は自分の「好き」が失われていきそうで、そこに怖さを感じたり。そうやって孤独になる瞬間が、表現する人には必ずあると思うんです。

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リリース情報

Schroeder-Headz<br>
『Synesthesia』(CD)
Schroeder-Headz
『Synesthesia』(CD)

2014年2月19日(水)発売
価格:2,730円(税込)
VICL-64128

1. Memento Mori
2. Blue Bird
3. 3 on 3
4. Follow Me
5. Tokyo Tribal Sacrifice
6. Far Eastern Tale
7. Petal
8. Midnight Sun
9. Wildthing's Arm
10.The Award for The Most Stupid Question

プロフィール

Schroeder-Headz(しゅろーだー へっず)

クラブ・ジャズとオーガニック・グルーヴを繋ぐオルタナ・ピアノ・トリオ「シュローダーヘッズ」は DE DE MOUSE のライヴ・ キーボーディストとしも知られる渡辺シュンスケによるソロ・プロジェクト。Jazzの世界でよく見られる「ピアノトリオ」という、もっともシンプルかつベーシックなアンサンブルスタイルを使い、ジャンルにカテゴライズされた、さまざまな音楽フォーマットの枠組から「抜け出してみたい」という試みの実験場。2010年にアルバム『ニューデイズ』でデビュー。2011年には、スヌーピーでお馴染みのコミック "PEANUTS"に登場するトイピアノを弾く男の子シュローダーとコラボしたカバー・ミニアルバム『ピアノ・ア・ラ・カルト・フィーチャリング・シュローダーヘッズ』をリリースしている。

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