特集 PR

チェロの調べが人の心を掴む理由 徳澤青弦インタビュー

チェロの調べが人の心を掴む理由 徳澤青弦インタビュー

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:永峰拓也
2014/02/10

ハナレグミやくるり、Polarisなど、様々なアーティストのレコーディングやライブでサポートを務めてきた徳澤青弦。知らぬ間に、彼の奏でるチェロの音色を聴いたことがある人は多いはずだ。ほんの数秒聴いただけで、それとわかる美しくも切ないフレーズで、チェロという楽器の持つ魅力や可能性を広めてきた彼の功績は計り知れない。

そんな彼が、音楽家のトウヤマタケオと結成したユニット、Throwing a Spoonのファーストアルバム『awakening』がリリースされる。鳥のさえずりだけではなく、朝の陽光まで取り込んだような、眩くて心地良いサウンドは、聴き手の想像力を喚起させ、見える景色を一変させる。確かな実力によって存在感を放ちながらも、これまでさほど多くインタビューの場に姿を現すことのなかった徳澤に、チェロという楽器の魅力や可能性、目指す表現についてたっぷりと語ってもらった。

他の楽器もやっていたんですけど、チェロ以外には興味が持てなかったんですよね。

―徳澤さんはチェロ奏者として活動されていますが、チェロとのそもそもの出会いは何だったのでしょう?

徳澤:最初は、親にムリヤリやらされたんです。両親ともにクラシックのミュージシャンでしたので、母親のお腹の中にいるときからずっと(パブロ・)カザルス(スペインのチェロ演奏家、指揮者、作曲家。チェロの近代的奏法を確立し世界的名声を築いた)とかを聴いている状態で。チェロのほかに、バイオリンやピアノもやっていたんですけど、全然上手くならなかったんです。チェロ以外の楽器には興味が持てなかったんですよね。

―ご両親は、特にチェロをやってほしいという願いが強かったのでしょうか?

徳澤:そうだったみたいです。だから僕がチェロに興味を持つよう、親にしむけられてたのかもしれないですね(笑)。家にオープンリールのテープデッキがあって、それでカザルスとか(ムスティスラフ・)ロストロポーヴィチ(旧ソビエト連邦出身のチェリスト・指揮者の巨匠)なんかを、よく聴かされていました。

徳澤青弦
徳澤青弦

―物心ついたときから、音楽一筋の環境にいらっしゃったんですね。

徳澤:小学生のときにはサッカーをやっていたんですけど、ボールが当たるのが痛くてやめちゃいました。段々ポジションが後ろのほうへ下がっていったんですけど、後ろに行けば行くほどさらに痛くなって(笑)。最終的に、身体でシュートを止めるのが本当に痛過ぎて……。

―(笑)。

徳澤:写真や本が好きだったから「そういうのもいいかな」と思ったときもあったけど、チェロができるっていうのはやっぱりなかなか特別なことじゃないですか。それは子ども心にも感じていたので、「自分からチェロを取ったらただのバカだな」って(笑)。

―演奏者が少ない楽器というところで、続けていく上での苦しみや孤独はなかったですか?

徳澤:例えばピアノはずっと1人で練習していくしかないんですけど、チェロは単体だとほとんど成り立たない楽器なので、そういう意味では仲間がいないとできあがらない音楽なんです。まあ、最初の基礎練習は家でやらなきゃいけなかったから嫌で仕方なかったですけど(笑)、高校からは芸大付属高校へ通って、友達と競い合ったりもして、いい環境でした。

―自分で曲を作ってみたのも、高校に入ってから?

徳澤:音を使って自分を表現する、という意味では中学かな。中学に入ってからX JAPANを聴き始めるんですけど(笑)、例えば“紅”のアルバムバージョンとシングルバージョンをカセットデッキで繋ぎ合わせながら、ロングバージョンを作ったりしていました。いわゆるマッシュアップですよね。まあ、それは遊びの延長で、本格的に曲作りを始めたのは大学のときにLogic(作曲ソフト)が学校にあって、それを使っていましたね。

Page 1
次へ

イベント情報

『Throwing a Spoon「awakening」release tour』

2014年2月15日(土)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:大阪府 北浜 天満教会
出演:Throwing a Spoon
料金:前売3,500円 当日4,000円

2014年2月16日(日)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 東大前 求道会館
出演:Throwing a Spoon
料金:前売3,500円 当日4,000円

2014年3月14日(金)OPEN 19:30 / START 20:00
会場:愛知県 名古屋 JAZZ茶房 青猫
出演:Throwing a Spoon
料金:前売3,000円 当日3,500円

2014年4月13日(日)OPEN 19:00 / START 20:00
会場:石川県 金沢 柿木畠 shirasagi/白鷺美術
出演:Throwing a Spoon
料金:前売3,000円 当日3,500円

Throwing a Spoon『awakening』発売記念ミニライブ

2014年3月16日(日)15:00~
会場:東京都 タワーレコード渋谷店7F イベントスペース

リリース情報

Throwing a Spoon<br>
『awakening』(CD)
Throwing a Spoon
『awakening』(CD)

2014年2月9日(日)発売
価格:2,500円(税込)
cote labo / cote004

1. Clouds
2. クェイシーの水泳
3. Sofia
4. Hello Bricks
5. 名もつかぬ銅像
6. Hectopascal
7. Ranchiu
8. E.V.A
9. Dancer's Awakening

プロフィール

Throwing a Spoon(すろーいんぐ あ すぷーん)

2012年初夏、徳澤青弦とトウヤマタケオで結成されたチェロとピアノのデュオ。隙のある曲作りと節度ある即興によって極上の楽曲を構築している。作曲と演奏にボーダレスな二人だからこそ生まれる独自の室内楽。静かな衝動と美しさと隙。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編

映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編。高畑勲の実験精神に敬意を表する監督が「暗号描画」なる手法を使い、全ての作画をたったひとりで手がけたという。透けてしまいそうなキスシーンや、迫り来る波の一瞬一瞬に確かに手をひかれているようで、全貌が気になって仕方ない。オフィシャルサイトには片渕須直、今日マチ子らのコメントも。(井戸沼)

  1. 星野源×マーク・ロンソンのツーマンライブ 12月に幕張メッセで一夜限り 1

    星野源×マーク・ロンソンのツーマンライブ 12月に幕張メッセで一夜限り

  2. アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉 2

    アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

  3. 新垣結衣×松田龍平 野木亜紀子脚本ドラマ『獣になれない私たち』10月放送 3

    新垣結衣×松田龍平 野木亜紀子脚本ドラマ『獣になれない私たち』10月放送

  4. 岡田准一×黒木華×小松菜奈×松たか子×妻夫木聡が共演 ホラー映画『来る』 4

    岡田准一×黒木華×小松菜奈×松たか子×妻夫木聡が共演 ホラー映画『来る』

  5. 映画『銀魂2』原作者・空知英秋によるモザイク入り直筆メッセージ到着 5

    映画『銀魂2』原作者・空知英秋によるモザイク入り直筆メッセージ到着

  6. 究極のジョジョファン像「ジョジョサピエンス」公開 ファンの情報を平均化 6

    究極のジョジョファン像「ジョジョサピエンス」公開 ファンの情報を平均化

  7. オールナイト上映『夏だ!ゾンビだ!人喰いだ! 真夏のホラー名作選』に3作 7

    オールナイト上映『夏だ!ゾンビだ!人喰いだ! 真夏のホラー名作選』に3作

  8. 植本一子が現存するフェルメール全作品を取材した作品集 刊行記念展も 8

    植本一子が現存するフェルメール全作品を取材した作品集 刊行記念展も

  9. 少年ナイフがテレ東『YOUは何しに日本へ?』次週放送内で紹介 9

    少年ナイフがテレ東『YOUは何しに日本へ?』次週放送内で紹介

  10. D・リンチ特集上映に『イレイザーヘッド』『エレファント・マン』など8作品 10

    D・リンチ特集上映に『イレイザーヘッド』『エレファント・マン』など8作品