特集 PR

「いつも私は圏外な人」 日暮愛葉のエキセントリックな愛情

「いつも私は圏外な人」 日暮愛葉のエキセントリックな愛情

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/04/16

SONIC YOUTHやアート・リンゼイ、ジャド・フェアのようなアーティストがみんな友達になってくれて、やっぱり音楽が好きだなって思ったし、その時点で音楽をやるという答えは出ていたんでしょうね。

―では、当時のシーガルの活動を振り返っていただければと思います。そもそもシーガルはどのようにスタートしたバンドだったのでしょうか?

日暮:19歳のときにイギリスに半年行って、帰ってきてから、最初はさっちゃん(イトウサチコ)と二人でシーガルを始めて、すごくカワイイ感じのブリットポップというか、キャンディポップみたいなのをやってたんです。それで4曲入りのデモを作ったら、カジ(ヒデキ)くんのおかげで、いきなりESCALATOR RECORDSの仲(真史)くんがやっていたa trumpet trumpet RECORDSからリリースが決まって。そのときの相方がドイツに留学したいと言っていたので、「じゃあ、私もどこか海外に留学したい」と思って、日本とニューヨークを行ったり来たりしていたんですね。そのときに(小山)ナオやタカペー(辛島孝治)に出会って、だんだんカワイイ曲調からシーガルらしい尖った音に変わっていきました。

―留学っていうのは何が目的だったんですか?

日暮:言語学をやろうと思ってたんです。そのための論文もいっぱい書いて、ニューヨーク大学にも受かっていたんですけど、入学前にひょんなことから学費を知ったところ、私立大だったのでめちゃめちゃ高くて。プレスクールでカウンセリングを受けてるときに、「あなたはどうしたいの?」って話をしているうちに、「私、別に大学行きたくないっすわ」ってことになって(笑)。

日暮愛葉

―学費が高かったから?

日暮:高いお金を親に払ってもらって大学に行くことと、バンドをやることを天秤にかけて、バンドをやることにしたんです。当時、SONIC YOUTHやアート・リンゼイ、ジャド・フェアのようないろいろなアーティストに会って、みんな友達になってくれて、パーティーに行ったり、いろんな刺激を受けて、やっぱり音楽が好きだなって思っていたし、その時点で答えは決まっていたんでしょうね。

―それ、すごい話ですよね。今サラッと言いましたけど(笑)。

日暮:まあ、ブラッド・ピットとかには会えなかったですけど(笑)、自分の中の有名人というか、自分が崇拝してるミュージシャンに会える機会は結構ありました。その頃は「絶対友達になる」とか「絶対デモテープ渡すんだ」っていう情熱もすごくあったんですよね。

―小さい頃から海外に憧れていたんですか?

日暮:父がコピーライターで、海外に行く機会は多かったし、奔放な性格だったから、友達はすぐできるタイプでしたけど、小さい頃から英語が喋れたわけではないんです。むしろ、学校の授業で英語が嫌いになったので、全然英語を学ぼうとは思っていませんでした。でも私、「突然稲妻に打たれる系」というか(笑)、朝起きて「英語喋れる」と思ったら喋れるようになるし、「ギター弾ける」って思ったら弾けるみたいなところがあって。それで、18歳のときに3か月ぐらいで英語をマスターしたんです。もちろん、そのときは狂ったように取り組むんですよ。寝ないし、家族とも口をきかないし。

日暮愛葉

その人の好きな感覚が素直に出てるバンドの音にすごく惹かれます。そうじゃないとロックバンドは面白くないですよ。

―じゃあ、ギターも稲妻に打たれて一気に練習したわけですか?

日暮:ギターは練習してません。自分が弾けるようにしか弾いていなくて、自分だけのコードみたいなものを作って弾いてたので、コードの名前は今でもCしか知らないんです(笑)。だから、一ノ瀬(雄太)からすると「何ですか? このコード」って思うような、へんてこりんなコードが多いんですよね。でも、曲のビジョンだけは常に明確にあって、鼻歌をカセットに録音して、それを聴きながら、ギターで「この音かな?」って探しながら作っていました。

―つまりは、知識や技術じゃなくて、感性で作っていたってことですよね。シーガルは、愛葉さんがやってきた他のどのバンドよりも感性に従っていた側面が強かったと思うんですけど、音楽を続けているとどうしても技術が身に付いてしまうと思うんです。シーガルを再始動するにあたって、その変化をどう受け止めてますか?

日暮:年齢を重ねたことで、脳みそにはきっといろんなものが蓄積されてるんでしょうけど……でも、シーガルをやると脳内がリセットされるんですよ。いざやってみたらこんなにも自由になれるんだなって気がついて、今すごく新鮮な気持ちです。iPhoneのメモにすでに新曲を50曲ぐら録りためているんですけど、シーガルにチャンネルを合わせた途端、これだけ一気にできることに自分でも驚いていて。

日暮愛葉

―ちなみに、感覚で作る音楽と、知識や技術で作る音楽って、もちろん単純には比較できないと思うんですけど、愛葉さんとしてはどちらが魅力的に映りますか?

日暮:私はSONIC YOUTHが好きですけど、彼らは現代音楽も学んでいるし、すごいインテリ集団だけど、その一方で、コードも何も知らない私にヒットするぐらい、荒唐無稽でありながらもポップじゃないですか? だから、感性や技術ということに関しては、結局どっちでもいいのかなと思うんですね。下手とか上手いってことよりも、私は隙間が好き。The StrokesやPixiesも好きで、彼らはテクニックがなさそうに見えますけど(笑)、普通に弾かせたらきっと弾ける人たちだと思いますし……。

―つまり、知識や技術を持っていても、アウトプットは感性に従ってる人たちって言えるかもしれないですね。

日暮:うん、そうですね。そうじゃないとロックバンドは面白くないですよ。それこそ鼻歌一本から始まってもいいし、その人の好きな感覚が素直に出てるバンドの音にすごく惹かれます。変なことをしてるつもりじゃないけど、なんか面白い、どこか他とずれてる、そういうのが面白いですよね。

イベント情報

『SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER』

2014年5月5日(月・祝)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 渋谷 WWW
料金:前売3,500円 当日4,000円(共にドリンク別)
※来場者特典付き

リリース情報

日暮愛葉<br>
『“18
日暮愛葉
『“18" aiha higurashi cherish my best』(CD)

2014年4月16日(水)発売
価格:2,268円(税込)
felicity cap-198 / PECF-1095

1. Down To Mexico
2. No Star
3. No telephone
4. Sentimental Journey
5. ユメミタイ(cherish my life)
6. What you gonna do babe?
7. accidentally
8. You come to me,and give them back to me
9. Brain Washer
10. Do what you want
11. evolution
12. Silly Girl
13. 風穴
14. A shotgun and me
15. idiots
16. Pink soda
17. NEW LIFE
18. See ya comin' in
19. School lunch
20. Seventeen
21. Angel

プロフィール

日暮愛葉(ひぐらし あいは)

2002年SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER活動休止後、ソロ活動を開始する。時を同じくしてYUKIのデビュー曲の作詞/作曲/プロデュース等を手がけるなどし活動を本格化させて行く。またソロと平行してLOVES.、そしてTHE GIRLとバンドを結成し活動。2014年、デビュー18(アイハ)周年イヤーの今年、中尾憲太郎をバンマスに新生’SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER’としメンバーも新たに再始動。5/5@渋谷WWWにてワンマンを行う。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

君島大空“遠視のコントラルト”

屈折したイノセンスが爆発するような、君島大空の“遠視のコントラルト”のMV。『The Bends』の頃のRadioheadのようなギターとセンシティブに揺ぐボーカルが描き出す、ピュアでまばゆい楽曲世界にクラっとくる。松永つぐみが手がけた映像も素晴らしく、実験映像的なカットを重ね、儚く消え入りそうな繊細で美しい才能を見事に切り取っている。爆音で凝視してほしい。
(山元)

  1. NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも 1

    NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも

  2. あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る 2

    あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る

  3. 『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組 3

    『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組

  4. Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察 4

    Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察

  5. 奥山由之が新たな手法で小松菜奈を撮影『SWITCH』特集 森山大道と対談も 5

    奥山由之が新たな手法で小松菜奈を撮影『SWITCH』特集 森山大道と対談も

  6. 映画『蜜蜂と遠雷』公開日が決定、参加ピアニスト発表&演奏場面の写真も 6

    映画『蜜蜂と遠雷』公開日が決定、参加ピアニスト発表&演奏場面の写真も

  7. 『君の名は。』ハリウッド版実写映画の監督はマーク・ウェブに決定 7

    『君の名は。』ハリウッド版実写映画の監督はマーク・ウェブに決定

  8. 多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM 8

    多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM

  9. 椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」 9

    椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」

  10. 劇団☆新感線『髑髏城の七人』6作がゲキ×シネに 第1弾は小栗旬主演の「花」 10

    劇団☆新感線『髑髏城の七人』6作がゲキ×シネに 第1弾は小栗旬主演の「花」