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なぜ日本では「音楽マーケティング」が語られてこなかったのか?

なぜ日本では「音楽マーケティング」が語られてこなかったのか?

撮影:野村由芽

音楽を巡る環境は、日々、めまぐるしく変化している。「CDが売れない」と不況を嘆く話題ばかりが飛び交っていたのは、もはや数年前の状況。ネットを通じた情報伝達が当たり前になり、音楽の聴かれ方も、伝わり方も、新しい仕組みが生まれている。音楽だけではなくソーシャルメディアの普及以降「モノを伝える」「世の中を動かす」という方法論自体がドラスティックに変わっている。マスマーケティングを主体にした旧来の方法は効力を失いつつある。

高野修平氏の著書『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング -戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』は、そんな今の時代における新しい音楽マーケティングのあり方を指し示す一冊。本の刊行を機に、同氏と、ブログ「All Digital Music」を運営する音楽ブロガーのジェイ・コウガミ氏に、「音楽のこれから」を語り合ってもらった。

音楽とソーシャルだけでは大きく世の中は動かせない。(高野)

―そもそも高野さんは、どういう思いを持ってこの『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』を書き始めたんでしょうか。

高野:そもそもの話をすると、僕は幼い頃からずっと音楽が大好きで、ずっと音楽に救われてきたので、恩返しをしたいという思いがあったんです。それで、3年前かな? いま、所属しているトライバルメディアハウスに入ったと同時にブログを書き始めました。その当時はまだ誰も書いていなかった「音楽とソーシャルメディア」というテーマでブログを書き始めたんです。それがきっかけでした。

―それが2011年のことですね。

高野:そうですね。幸いなことにそのブログをいろんな方に読んでいただく機会が増えて、その中でジェイくんとも会えたし、1冊目の著書『音楽の明日を鳴らす~ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネスマーケティング新時代~』(2012年9月発売)という、ソーシャルメディアと音楽を融合させることについての本を、日本で初めて書くことができました。それから『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略-“音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネス-』(2012年10月発売)を共著で書かせていただきました。しかし書き終わってから、音楽とソーシャルだけでは世の中は動かせないと思うようになりました。

―「音楽とソーシャル」以外で、何が足りなかったのでしょうか?

高野:それを考えている時に、「PR」という概念が浮かんできたんです。日本で一般的にイメージされる「PR」とはまた少し違うので、「戦略PR」と呼ばれているのですが、「ソーシャル×音楽×戦略PR」というテーマを軸に、「音楽で世の中を動かすことができるのか?」という問題を考えたのが、この本の出発点になりました。

―なるほど。ジェイさんは「音楽ブロガー」として活動しているわけですが、これはどういうきっかけで始めたんですか。

ジェイ:僕は、音楽の聴き方がCDよりもっとデジタル寄りなんですね。ダウンロードもするし、ウェブサービスを使っても聴くし。だから僕の関心は、音楽をどうやって人に届けるか、どうやって聴くか、それを支えるデジタルのツールがこの先どうなるか。そこにフォーカスしたブログをやってみようかなと思ったのがきっかけです。

左から:ジェイ・コウガミ、高野修平
左から:ジェイ・コウガミ、高野修平

生活者の中に常にあるはずの音楽に関するマーケティングの本が、なぜか今まで存在しなかった。だからこの本は、日本で初めての本格的な音楽マーケティングの本だと思いました。(ジェイ)

―ブログや本を書くにあたって、今の日本においては、音楽を届ける仕組みに足りないものがあるという問題意識があったんでしょうか。

高野:最初はそこまで明確には思っていなかったです。もともとは単純に、ソーシャルメディアマーケティングから音楽に恩返しがしたいというモチベーションしかなかったので。僕は音楽以外の仕事もしてるので、その知見や経験を音楽に活かして、なにか役に立つことができればという思いでした。

ジェイ:僕が思うのは、日本の音楽業界では、まだまだデジタル化、テクノロジーの導入が進んでないところがある。世界の方法論を見ていると、日本にもまだまだ可能性があると思うんです。音楽をどうやって届けるのか、音楽をどうやって継続して聴かせるのか、そしてそれをビジネスにする。テクノロジーは、それを解決・実現してくれるツールだと思ってます。

―ジェイさんはこの本をどういう風に読みましたか?

ジェイ:僕の感想は2つあります。まず1つ、僕、高野修平のファンなんです(笑)。

高野:ありがとうございます(笑)。

ジェイ:プランナー、マーケターとしての高野くんのアイデアと実現力には、今までの音楽シーンにはない可能性を感じます。で、もう1つは、音楽マーケティングの本って、今まで誰も書いたことがないと思うんです。FacebookやLINEのマーケティングについての本はあるんですけど、生活者の中に常にあるはずの音楽に関するマーケティングの本が、なぜか今まで存在しなかった。あとは逆にサブカル本になってしまったり。だからこの本は、高野くんの第一作にも言えますが、『音楽の明日を鳴らす』と今回の本『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』は日本で初めての本格的な音楽マーケティングの本だと思いました。しかもこれはマーケターだけが使うハウツー本ではなくて、ソーシャル時代、モバイル時代の今のトレンドを分析した上で、次に何がくるのか、この先どうしたらいいのかという部分にまで落とし込んでくれているので、今の生活者にも共感できる部分が沢山ある本だとも思っています。

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書籍情報

『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング 戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法』
『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング 戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法』

2014年4月18日(金)発売
著者:高野修平
価格:1,944円(税込)
発行:リットーミュージック

プロフィール

高野修平(たかの しゅうへい)

トライバルメディアハウスにてシニアプランナー/サブマネージャーとして所属。音楽業界ではレーベル、事務所、放送局、音響メーカーなどを支援。日本で初のソーシャルメディアと音楽ビジネスを掛けあわせた著書『音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネス新時代-』、『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』、『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』を執筆。サイドプロジェクトとして、THE NOVEMBERSのマーケティング、コミュニケーションプランニングなども手がけている。

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