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日本のゲットーが生んだラッパーANARCHY、貧しさからの学び

日本のゲットーが生んだラッパーANARCHY、貧しさからの学び

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2014/07/02

自らの生い立ちを生々しく綴ったリリックを、エモーショナルにラップするスタイルによって、ジャパニーズヒップホップの新王道を作り出してきたANARCHYが、avexが新たに設立したヒップホップレーベル「CLOUD 9 CLiQUE」から、メジャーデビューアルバム『NEW YANKEE』を発表する。低所得者が多く住んでいた京都市京都は向島の市営団地で育ち、小学生のときに両親が離婚、その後彫り師の父親によって育てられたANARCHY。15歳でラッパーとしての活動を開始するも、17歳で暴走族の総長となり、18歳の1年間は少年院で過ごしている(罪状のひとつは「決闘罪」だった)。その壮絶な生い立ちは、2008年に出版され、『NEW YANKEE』の初回盤に同梱される自伝『痛みの作文』に詳しいが、その後ANARCHYは、逆境をバネにヒップホップでのし上がり、遂にはメジャーデビューまでたどり着いたのだ。

かつての向島のリアルは、今や日本全体に広がりつつあると言ってもいいかもしれない。離婚率は3組に1組と言われ、家族の規模は徐々に縮小し、近所付き合いすらも姿を消しつつある中、ANARCHYがメジャーデビューをすることの意味はとても大きいように思う。しかも、ANARCHYは、このアルバムに自らのディープなエモーションを詰め込むと同時に、<楽しまなきゃ意味ない>と本気で遊ぶことを宣言し、小さくまとまろうとする若者へ強烈なメッセージを投げかけている。「かっこつけろ、ルールを壊せ、夢を持て」。他の誰でもなく、ANARCHYが言うからこそ、この言葉は重く、力強い。

夢ぐらい持ってないと、前を向けない状況やったんですよ。「最低限夢ぐらい持ってようや」って。

―まずはANARCHYさんにとっての、メジャーデビューの意味を教えてください。

ANARCHY:自分へのチャレンジでもあるし、今またヒップホップが盛り上がって来てて、次の段階に行けるときだと思うから、ヒップホップシーンへのチャレンジでもありますね。

ANARCHY
ANARCHY

―人によっては、メジャーデビューを「セルアウト」と受け取る人もいるかもしれません。ただANARCHYさんはこれまでもずっと、逆境をバネにしてヒップホップでのし上がっていくことを言い続けてきたわけで、これも実にANARCHYさんらしいチャレンジだと言えると思うんですよね。

ANARCHY:でも、「ANARCHYはセルアウトした」って言われてみたいですけどね。何がセルアウトなのかっていうのがいまいちわかんないですけど、売れるために作るのがセルアウトなんだとしたら、俺は初めから売れる音楽を作りたいと思ってたから、ずっとセルアウトを目指してきたってことになりますよね。そうじゃなかったらわざわざCDにしないし、地元で好き勝手やってたと思うんで。

―その上昇志向っていうのは、やはり出身である向島の環境で培われたものだと思うんですが、あらためて、向島への想いを話していただけますか?

ANARCHY:10代のがきんちょが歌にして伝えたいと思うことを持てたのは、あの環境があったからなので、今になればあの街に感謝してます。自分も母親がいなくなったり、周りもみんな貧乏で、片親の子ばっかりやったんですよ。だからやんちゃな子も多い街で、そこから抜け出したいとか、もっと明るくしていきたいって思うようになっていったんです。

ANARCHY

―そこから抜け出すための手段が、なぜラップだったのでしょうか?

ANARCHY:父親も音楽をやってたので、ラップでなくても何かしら音楽はやってたと思うんですよ。アメリカ人のラッパーもよく言うけど、ラップって何もなくても始められるものなんです。アメリカだとそこらへんの公園にバスケットゴールがあるから、自然にバスケットを始めて、「これで抜け出そう」と思うのと一緒で、俺には何もなくて、楽器を揃えることもできひんかったけど、ラジカセひとつあればみんなでラップすることはできたから。

―最初は遊び感覚だったけど、それが自然と抜け出すための手段になったと。

ANARCHY:「音楽=夢」みたいなところがあって、夢ぐらい持ってないと、前を向けない状況やったんですよ。「最低限夢ぐらい持ってようや」っていう、そういう感覚だったんですよね。

―かつての向島でのリアルが、今は日本全国に広がっているような印象があります。離婚率もかなり高いですし、家族の規模もどんどん小さくなってると思うんですね。

ANARCHY:今回のアルバムに入ってる“Right Here”で<仲間とここまで来た>って歌ってるのもそうなんですけど、「絆」って別に、ホントの家族だけのもんじゃないんですよ。俺らの団地で言えば、隣の家の人も家族やったし、片親の子でも信頼する仲間がいれば、前を向いて生きていけたし。そういう意味での「仲間」や「絆」の大切さを伝えたいと思ってます。


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リリース情報

ANARCHY<br>
『NEW YANKEE』初回生産限定盤(CD+DVD)
ANARCHY
『NEW YANKEE』初回生産限定盤(CD+DVD)

2014年7月2日(水)発売
価格:4,104円(税込)
AVCD-38905/B

[CD]
1. The Theme(prod by YGSP)
2. Energy Drink(prod by AVA1ANCHE)
3. Shake Dat Ass feat. AISHA(prod by Habanero Posse)
4. VVVIP feat. VERBAL(prod by Major Dude)
5. Moon Child feat. KOHH(prod by Mally the Martian)
6. Spiral(prod by BACH LOGIC)
7. Cry(prod by Blast Off Productions)
8. Love Song feat. AISHA(Prod by 理貴)
9. Right Here(prod by John Fontein)
10. Good Day feat. JESSE(prod by 理貴)
[DVD]
1. “Right Here”Music Video
2. “Right Here”Studio Recording
3. “Right Here”Music Video Shooting
4. “Energy Drink”Music Video(Live Version)
※文庫本『痛みの作文』付

ANARCHY<br>
『NEW YANKEE』(CD+DVD)
ANARCHY
『NEW YANKEE』(CD+DVD)

2014年7月2日(水)発売
価格:3,600円(税込)
AVCD-38906/B

[CD]
1. The Theme(prod by YGSP)
2. Energy Drink(prod by AVA1ANCHE)
3. Shake Dat Ass feat. AISHA(prod by Habanero Posse)
4. VVVIP feat. VERBAL(prod by Major Dude)
5. Moon Child feat. KOHH(prod by Mally the Martian)
6. Spiral(prod by BACH LOGIC)
7. Cry(prod by Blast Off Productions)
8. Love Song feat. AISHA(Prod by 理貴)
9. Right Here(prod by John Fontein)
10. Good Day feat. JESSE(prod by 理貴)
[DVD]
1. “Right Here”Music Video
2. “Right Here”Studio Recording
3. “Right Here”Music Video Shooting
4. “Energy Drink”Music Video(Live Version)

ANARCHY<br>
『NEW YANKEE』(CD)
ANARCHY
『NEW YANKEE』(CD)

2014年7月2日(水)発売
価格:3,024円(税込)
AVCD-38907

1. The Theme(prod by YGSP)
2. Energy Drink(prod by AVA1ANCHE)
3. Shake Dat Ass feat. AISHA(prod by Habanero Posse)
4. VVVIP feat. VERBAL(prod by Major Dude)
5. Moon Child feat. KOHH(prod by Mally the Martian)
6. Spiral(prod by BACH LOGIC)
7. Cry(prod by Blast Off Productions)
8. Love Song feat. AISHA(Prod by 理貴)
9. Right Here(prod by John Fontein)
10. Good Day feat. JESSE(prod by 理貴)

作品情報

『DANCHI NO YUME』

2014年7月5日(土)から渋谷アップリンクで公開
監督:サム・コール&ジョナサン・ターナー
出演:
ANARCHY
RYUZO
RUFF NECK
ほか

プロフィール

ANARCHY(あなーきー)

1995年、ラッパーとしての活動開始。2000年には、JC、NAUGHTY、YOUNG BERY、DJ AKIOと共にRUFF NECKを結成し注目を集める。交流のあった名古屋アンダーグラウンドのラッパーや全国区プロデューサーへの客演をこなし、一躍大物ルーキーと呼ばれるように。2006年、1stアルバム『Rob The World』をリリース。インディー発のファースト・アルバムとしては異例の好セールスを記録し、『ミュージック・マガジン』、『Riddim』誌などで“年間ベスト・アルバム"に選出される。2008年、若手ラッパーとしては異例の自伝「痛みの作文」(ポプラ社)を出版。待望の2ndアルバム『Dream and Drama』をリリース。2011年、King Of Diggin'ことMuroとのコラボにて3rdアルバム『Diggin'Anarchy』をリリース。2012年、RUFF NECKとして初のアルバム『RUFF TREATMENT』をリリース。2013年、4thアルバムとなる「DGKA(Dirty Ghetto King Anarchy)」をフリー・ダウンロードでリリース。2014年1月1日、avexからのメジャーデビューを発表。7月2日、メジャーデビューアルバム「NEW YANKEE」をリリース。

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