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インストバンドに人間性は必要か? フェスを賑わすjizueが語る

インストバンドに人間性は必要か? フェスを賑わすjizueが語る

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2014/08/05

京都発のインストバンド、jizueが4枚目のフルアルバム『shiori』を完成させた。変拍子を多用した初期のハードコア寄りの作風から、フェスへの出演経験などを経て、よりストレートに、ダンサブルな要素を強めつつも、ジャズ、プログレ、ラテンなどが入り混じる独自の音楽性はもちろん健在。さらに本作には、今年前半にツアーを共にしたShing02、同郷のtricotから中嶋イッキュウがゲスト参加し、Carpenters“rainy days and mondays”のカバーも収録するなど、より開かれた作風になっているのが印象的だ。

『Bookshelf』『novel』『journal』、そして本作の『shiori』と、これまでのjizueのアルバムタイトルは、常に本に関連したワードが選ばれている。これはファーストがたまたま『Bookshelf』だったことがきっかけであり、深い意味があるわけではないというが、今にして思えば必然だったのかもしれない。なぜなら、本が1枚1枚のページが重なり合うことでできているように、jizueというバンドもまた、一人ひとりの想いが積み重なって、これまで続いてきたバンドだからだ。縁の深いゲストアーティストが参加した本作は、それを改めて感じさせるものであり、もちろん、オーディエンスも含めたもっと多くの人の想いが今回のアルバムには積み重なっている。そして、その中心にあるのは、固い信頼関係で結ばれた四人のメンバーであることは言うまでもないだろう。CINRAとしては初となるメンバー全員取材は、そのつながりの強さを改めて感じさせるものだった。

「栞(しおり)」という言葉は、「ここからの分岐点」という意味合いが込められるから、ぴったりだなと思って決めました。(片木)

―『Bookshelf』『novel』『journal』ときて、今回は『shiori』で、「そうきたか!」と思いました(笑)。

片木(Pf):ジャケットにも活かされてるんですけど、「栞(しおり)」という言葉を調べると、「木を折って、道しるべにして、道を作っていく」という意味があるんです。本シリーズでアルバムタイトルにふさわしい言葉を探してたときに、「ここからの分岐点」という意味合いが込められるし、日本語の響きもきれいだから、ぴったりだなと思って決めました。

jizue『shiori』ジャケット
jizue『shiori』ジャケット

―前回の『journal』(2013年リリース)の取材の時点で、井上さんが「もう本シリーズの路線で次はないな」っておっしゃってました(笑)。

粉川(Dr):もう次こそないな(笑)。

―今片木さんが「ここからの分岐点」とおっしゃいましたが、そういう意識は強いんですか?

片木:もう一歩飛躍の1枚になればいいな、という意味合いはすごくこもってますね。

―いろんなフェスに出るようになったり、先日は初の海外公演でカナダに行かれたり、バンドとしてはいい流れで来ているように見えますが、さらにもう一歩先へ行きたいと。

片木:もう一歩と言わず、三歩ぐらいステップアップしたいです(笑)。

―それは他のメンバーのみなさんも共通の想いですか?

井上(Gt):僕は、今人気者かっていうと、全然だと思うんですね。

井上典政
井上典政

粉川:今回は「より広がるように」っていうことを意識したアルバムになりました。より多くの人に伝わりやすい形にしたいと思って、そのための要素は盛り込まれてるかなと。

山田(Ba):「もっとわかりやすくならへんかな?」っていうことは、曲作りの中でも話し合いました。今までそういう話はあんまりしなかったんですけど、シンプルに盛り上げる部分を大事にしたりしましたね。あと、アルバムが完成するまでは、「これ以上いいものできひん」と思うんですけど、できあがったら「次はもっとできるな」とか「こういうこともやりたい」っていう気持ちが出てきて、結局途中の1枚という感じになるんですよね。そういう意味でも、『shiori』っていうタイトルがしっくりきたんです。

人間同士のつながりで応援してもらって音楽をやれてるところがあるなって、前作を出してから今回までのあいだですごく思いました。(片木)

―ブログで拝見したんですけど、今回淡路島で曲作り合宿を行ったそうですね。

片木:私は祇園のピアノバーでピアノを弾いてるんですけど、そこのお客様で74歳のスペシャルなおじいさまがおられて(笑)。「夢を追う若者はお金がなくて当たり前やから、上の世代が下の世代を応援するるのは当然」っていう考えを持ってらっしゃるんですね。すごい音楽好きで、淡路島に音楽ホールのある別荘を持ってはって、「好きに使いな」って、数日間貸してくださったんです。

片木希依
片木希依

―すごい!

片木:お金や地位のある人が、ちゃんと文化を育てるんだっていう意識を持った、粋なおじいちゃんなんです。

―ブログの写真を見る限り、かなりすごい場所ですよね。

山田:オーシャンビューの1400坪です。

片木:そんな恵まれた環境で、朝9時から夜まで、ずっとストイックに作業して、多くの曲がそこで形になりました。

―そこで作ったのはどの曲ですか?

粉川:カバーの“rainy days and mondays”は一からそこで作って、あと“wind”とか“shiori”もそうやな。

片木:爽やかな風が吹いてる曲ばっかりやなあ(笑)。

―“wind”とか、オーシャンビューの景色が浮かびますよね。

粉川:「風間さん」なんですよ、そのおじいちゃんが(笑)。

―なるほど(笑)。曲で恩返しって、素晴らしいですね。でもなんで風間さんは、jizueのことがそんなに気に入ったんでしょうね?

粉川:ライブは見たことないよな(笑)。

片木:もともとは私が店で仲良くしてもらってたり、その方のお孫さん二人のピアノレッスンもしてるんですけど、メンバーにも会ったら、「すごくいい青年たちだ」って褒められて(笑)。人を気に入ってもらえたのかもしれないですね。風間さんに限らず、人間同士のつながりで応援してもらって音楽をやれてることがあるなって、前作『journal』を出してから今回までのあいだですごく思いました。

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イベント情報

『jizue new album 「shiori」 release tour』

2014年8月24日(日)
会場:京都府 METRO

2014年8月30日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2014年9月4日(木)
会場:神奈川県 横浜 GrassRoots

2014年9月5日(金)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店

『GOOUT CAMP』
2014年9月6日(土)
会場:京都府 スチール®の森

2014年9月7日(日)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店

2014年9月12日(金)
会場:大阪府 チェルシーマーケット

『りんご音楽祭』
2014年9月13日(土)14日(日)
会場:長野県 アルプス公園

2014年9月15日(月・祝)
会場:鳥取県 米子Hasta Latina

2014年9月19日(金)
会場:愛知県 名古屋 UPSET

2014年9月20日(土)
会場:京都府 タワーレコード京都店

『ZETTAI-MU 19TH Anniversary 2014』
2014年9月20日(土)
会場:京都府 METRO

2014年9月27日(土)
会場:静岡県 Freakyshow

2014年10月3日(金)
会場:東京都 渋谷 WWW

2014年10月5日(日)
会場:富山県 New Port

2014年10月8日(水)
会場:兵庫県 神戸 cafe Fish!

2014年10月13日(月・祝)
会場:長野県 伊那 GRAMHOUSE

『ボロフェスタ2014』
2014年10月26日(日)
会場:京都府 KBSホール

2014年11月8日(土)
会場:愛知県 豊橋 grand space Quark

2014年11月16日(日)
会場:和歌山県 FAVORITE TRUNK

2014年11月22日(土)
会場:大阪府 CONPASS

リリース情報

jizue<br>
『shiori』(CD)
jizue
『shiori』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:2,500円(税込)
DQC-1329

1. intro
2. bullet bull
3. photograph feat. 中嶋イッキュウ
4. shiori
5. rainy days and mondays
6. march of monkey
7. 真黒 feat. Shing02
8. fauve
9. wind
10. blessing

プロフィール

jizue(じずー)

2006年、井上典政、山田剛、粉川心を中心に結成、翌年より片木希依が加入。 ロックやハードコアに影響を受けた魂を揺さぶるような力強さ、ジャズの持つスウィング感、叙情的な旋律が絶妙なバランスで混ざり合ったサウンド で、地元京都を中心に人気を高め、『FUJI ROCKFESTIVAL 2012』、『GREENROOMFESTIVAL’14』といった大型フェスにも出演するなど、全国各地でその圧倒的な演奏力で高い評価を得ている。これまでに『Bookshelf』、『novel』、『journal』の3枚のフルアルバムを発表し、そのどれもがロングセラーを記録。2014年5月に行ったカナダツアーも各地で大成功をおさめ、8月6日には4枚目となるフルアルバム『shiori』をリリースする。

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楽曲のビートにのせて流れる色鮮やかな、ばっちりキマった画。その中で、重力まかせに寝転んだり、うなだれたりするメンバーの身体や、しなやかな演奏シーンが美しい。どの瞬間を切り取っても雑誌の表紙のようで、約5分間、全く飽きがこない。(井戸沼)

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