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ロックフェスにとっての「成功」とは何か? 茂木洋晃×鹿野淳対談

ロックフェスにとっての「成功」とは何か? 茂木洋晃×鹿野淳対談

インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:豊島望

『GUNMA ROCK FESTIVAL』も『VIVA LA ROCK』も、開始した時期は遅いわけですよ。だからこそ、立ち上げる理由を明確にしないと、自分のやりたいことができないなと思った。(鹿野)

―鹿野さんは今年『VIVA LA ROCK』を立ち上げましたよね。あのフェスは埼玉のローカル性を打ち出していましたが、それにはどういう経緯があったのでしょうか?

鹿野:埼玉は僕にとって地元じゃないので、最初のスタートはローカル性ではないんですよね。フェスにとって大事なのは、スケジュールと場所だと思っていて、そもそもはゴールデンウィークにフェスをやりたかったんです。夏休みや年末の時期は既にフェスが飽和しているから、そこに入っていって出演アーティストやお客さんの奪い合いになってしまうのはすごく嫌だったんです。フェスが政治になってしまいますからね。

茂木:なるほど。

鹿野:もともとさいたまスーパーアリーナ側も、自分のところでフェスをやってくれる人が少ないということを課題にしていたんですよ。そこで、僕が「こういうふうにフェスをやったら面白いですよね」と構想を話して、その時点では日程が埋まってるから何年か先になると言われたのですが、数日後に、嘘のような本当の話で「ゴールデンウィークが空いたんですけど、いきなり言われたら困ります?」と言われたんです。しかも、「今回引き受けてもらえたら、来年以降もずっとこのフェスのために空けておきます」と。

『VIVA LA ROCK 2014』会場風景 撮影:古渓一道 ©VIVA LA ROCK 2014 All Rights Reserved.
『VIVA LA ROCK 2014』会場風景 撮影:古渓一道 ©VIVA LA ROCK 2014 All Rights Reserved.

『VIVA LA ROCK 2014』会場風景 撮影:三吉ツカサ ©VIVA LA ROCK 2014 All Rights Reserved.
『VIVA LA ROCK 2014』会場風景 撮影:三吉ツカサ ©VIVA LA ROCK 2014 All Rights Reserved.

茂木:うわ、それはすごいですね !

鹿野:茂木さんの場合は地元の仲間がケツを押してくれて「もう引くに引けないな」となったのと同じで、僕はそれが「引くに引けない一言」になったんです。ただ、茂木さんが始めた『GUNMA ROCK FESTIVAL』も、僕が今やっている『VIVA LA ROCK』も、昨今のフェス事情からすると、開始した時期は遅いわけですよ。だからこそ、立ち上げる理由を明確にしないと、成功するにしても失敗するにしても、自分のやりたいことができないなと、まず思った。

茂木:コンセプトが必要になるということですね。

鹿野:そう。で、いろいろ考えたら埼玉で5,000人を越えるフェスが存在しないということがわかったんです。あれだけ人口がいて、あれだけロックバンドが出てきているのに、フェスが根付いていないんですよ。だから、これを成功させたら、このフェスはすごく長続きするんじゃないかと。そうすれば、埼玉全体のライブの集客力が増えたり、CDの売り上げが増えたりして、マーケットに現実的に直結していくと思ったわけです。

茂木:ライブハウスができたりするかもしれないですしね。

鹿野:これはかなりやりがいがあるなと思って、必然的に埼玉というローカルリズムが生まれてきました。そこと自分のフェス像がどう結びついて、一緒に遊べるのかっていうことを考えるようになったんです。

左から:鹿野淳、茂木洋晃

群馬を離れてしまう人は止められないけど、県外で群馬を背負っている人たちが「群馬も捨てたもんじゃないな」と、たった1日でも思ってもらえたらいいなと。(茂木)

―さいたまスーパーアリーナ側もかなり協力的だったんですね。

鹿野:そうなんです。フェスは一緒にやりたいって思う人がいることが非常に大きいんですよね。

茂木:うん、本当にそうですね。

鹿野:日本で今、一番集客数を持っているフェスが『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』だと思うんですけど、あのフェスも「やりたい」っていう人がひたちなか市にいて、誘致していたからやれたんです。地元の人たちが、フェス側と一緒に組んで、頑張って若い人たちを呼びたいと思ったからこそ、今の状況があるんじゃないかなと思います。それってすごく幸福な関係ですよね。きっと、茂木さんにも同じような思いがあったのだと思うのですが。

茂木:そうですね。群馬を離れてしまう人は止められないけど、県外に行っても群馬を背負っている人たちがまた故郷に帰ってきて、「群馬も捨てたもんじゃないな」と、たった1日でも思ってもらえたらいいなという。どうしても地元はどんどん活気がなくなってしまうけど、行政に期待するのも違うと思うんです。このフェスがちゃんと続いていけば、もっといろんな人に勇気を与えられるだろうし、群馬を好きになってもらいたいんですよね。

―お二人の中で、そもそもフェスを1回限りで終わらせる考えはなかったんですね。

茂木:いや、正直なところ、失敗したら俺は1回で無理だと思いました。それに1回目の開催を贔屓目に見ていただいていた部分があったんですよね。そもそも「群馬でフェスは無理でしょ?」っていうマイナスから入っているので、ボーダーよりもちょっと下くらいの出来でも「また来年も行ってみるか」って思ってくれてたんじゃないかなと。だけど2回目、3回目とどんどんハードルが上がってくるので、ここから先は「地元のフェスだから仕方ない」って許してもらえない部分が出てくる。どんどん厳しくなると思いますね。

鹿野:僕は1度きりで終わらせる気は毛頭なかったですね。それはなぜかというと、今回のフェスは、失敗したら夜逃げするぐらいのレベルのリスクを背負って始めたわけですよ。でも、人が入らないイメージはなかったですね。そんなイメージがあったらフェスはやれないんです。自分の頭の中ではいつも目の前でドカーンとなってる光景がありますから(笑)。

茂木:あ、それは分かる。同じ感覚です(笑)。

鹿野:フェスをやる側はリスクにものすごく臆病になっているんだけど、だからこそ、幻想の中ではものすごく格好いい、最高の景色が生まれているんですよね。そのギャップの中で当日を迎えるんです。

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イベント情報

『GUNMA ROCK FESTIVAL 2014』

2014年9月20日(土)OPEN 10:00 / START 11:00
会場:群馬県 前橋 ヤマダグリーンドーム前橋
出演:
ACIDMAN
岩崎有季
OVER ARM THROW
OLEDICKFOGGY
OGRE YOU ASSHOLE
GOOD4NOTHING
サンボマスター
SECRET SERVICE
G-FREAK FACTORY
SiM
SHANK
スチャダラパー
SOIL&"PIMP"SESSIONS
高崎頼政太鼓
dustbox
DJ KENTARO
DJダイノジ
10-FEET
NAMBA69
HAKAIHAYABUSA
バクバクドキン
HAWAIIAN6
秀吉
BOOM BOOM SATELLITES
MOROHA
料金:前売 一般6,900円 ファミリーペア入場券11,000円

『VIVA LA ROCK 2015』

2015年5月3日(土)~5月5日(月・祝)予定
会場:埼玉県 さいたまスーパーアリーナ

書籍情報

『MUSICA9月号 Vol.89』
『MUSICA9月号 Vol.89』

2014年8月21日(木)発売
価格:690円(税込)
発行:株式会社FACT

プロフィール

茂木洋晃(もてき ひろあき)

小学生時代からの腐れ縁の原田季征とともに1997年に地元群馬県にてG-FREAK FACTORYを結成。直後から自主企画「MAD SOUL CONNECTION」を開始。2003年秋に自主レーベル「3TONE east」を立ち上げる。2005年にはメンバー脱退を機にライブ活動を控え、曲作りに専念。2008年に吉橋 伸之(Ba.)と家坂 清太郎(Dr.)が正式にメンバーとして加入。7月には盟友10-FEETの『京都大作戦』に出演。9月にはミックスカルチャーフェス『COLOSSEUM』を群馬県高崎club FLEEZにて開催。翌年2009年9月にも同イベントを開催し大成功におさめる。2012年秋には『GUNMA ROCK FESTIVAL 2012 Powered by COLOSEUM』として更なる発展を遂げたイベントを前橋グリーンドームで開催。2014年にはミニアルバム『fact』をリリース。2014年『GUNMA ROCK FESTIVAL 2014』開催予定。

鹿野淳(しかの あつし)

1964年、東京都生まれ。2007年に音楽専門誌『MUSICA』を創刊。これまでに『ROCKIN'ON JAPAN』、『BUZZ』、サッカー誌『STAR SOCCER』の編集長を歴任。各メディアで自由に音楽を語り注目を集め、音楽メディア人養成学校「音小屋」を開講。2010年には東京初のロックフェス『ROCKS TOKYO』、2014年にはさいたま初の大規模ロックフェス『VIVA LA ROCK』を立ち上げるなど、イベントプロデュースも手がける。

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