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contact Gonzoは貸切のサッカースタジアムで何をしでかすのか

contact Gonzoは貸切のサッカースタジアムで何をしでかすのか

インタビュー・テキスト
竹内厚
撮影:佐々木鋼平
2014/10/01

『トヨタコレオグラフィーアワード』は、いろんな人に「今さら何がしたいねん?」って言われましたけど、結構まじめに「これが振付だ」っていう確信を持っていたんですよ。(塚原)

―先日の『トヨタコレオグラフィーアワード2014』で、ファイナリストに残った作品、『訓練されていない素人のための振付けのコンセプト001/重さと動きについての習作』では、会場に笑いが生まれる場面も多かったと聞きました。

塚原:あの作品のもとは、写真家のホンマタカシさんを迎えて作った『熊を殺すと雨が降る』(AI・HALL『Take a chance』3年目の企画)の1場面を取りだしたもので、人の上にどんどん人が乗っていくというシーンがあったんですけど、公演後にホンマさんから、彫刻的なやり方でその場面を作って、写真を撮ったりしても面白いんじゃないか? とアドバイスをもらって、一度事務所でやってみたんです。

三ヶ尻:毎年、年明けはメンバーみんなで比叡山に登っているんですけど、今年は行けなかったので、何をしようかって暇を持て余していて、試しにやってみた。そしたら面白かったので「これ『トヨタ』いけるんちゃう?」って応募したのがきっかけですね。

三ヶ尻敬悟

―その作品の仕様書が、contact Gonzoのウェブサイトにも公開されていますが、舞台上に寝転がった三ヶ尻さんの身体の上に、重い石や大量の本を持った2人のメンバーが乗って、苦悶する三ヶ尻さんのうめき声が会場中に響きわたるという公演だったとか(笑)。

塚原:三ヶ尻くんが寝そべりながらボルトを投げて、離れた位置にあるスネアドラムに当たると舞台が暗転。すると舞台奥にある段ボールの家からマサくんが笛を吹きながら出てくる。で、三ヶ尻くんがくしゃみをすると明転して、マサくんは家に戻る、というテクニカル面も自分たちだけで廻せるコンパクトな振付です。

三ヶ尻:小道具も定まってるし、出演者の役割も決まっている。

―意外にかっちりした振付なんだと。

塚原:ノミネートされてから、いろんな人に「今さら何がしたいねん?」みたいな感じで言われましたけど、結構まじめに「これが振付だ」ってかなりの確信を持っていたんですよ。

塚原悠也

―『トヨタコレオグラフィーアワード』での経験からスタジアム公演に活かされそうなことはありますか?

塚原:『トヨタ』は、コンテンポラリーダンスという文脈の中での仕事であり遊びだったので、ちょっと違うかもしれません。音の活用という点では、近いものがありましたけど。むしろ、今年5月に京都と奈良の県境にある南山城村のイベント『村の芸術祭』に参加したんですけど、そこでの経験がスタジアムでは活きそうです。木津川沿いに黒川紀章建築のホールがあって、大きなガラス窓から木津川と周りの山々が見渡せるんですけど、その窓の近くに客席を組んで、僕らはホールから離れた河川敷でパフォーマンスをしました。

三ヶ尻:これがスタジアムの比じゃないくらいの遠さで、河川敷にいる僕らのことはたぶん豆粒くらいにしか見えない。

塚原:お客さんも僕らがいる河川敷に来てもらって、そこで殴り合いみたいなパフォーマンスをすることも考えたんですけど、あまり面白くない気がして。このときも、僕らの動きの音や声は全部ホールの客席まで飛ばして、耳元でちゃんと音が聴こえれば、動きも想像できるかなと。そういう意味では、ラジオに近いのかも。

―広大な景色の中でのパフォーマンス、リアルタイムに届く音……距離感を逆手にとった経験は、たしかにスタジアム公演にも応用可能ですね。

塚原:このときは、僕が川上からサーフボードに乗って、川を下ってきたりだとか、自然の力をだいぶ借りましたけどね。

音楽でもスポーツでも、未来のことを考えれば、テクノロジーや身体の進化を考えないわけにはいかない。純粋な身体のまま、いつまでできるのかな? と思います。(塚原)

―これまでの経験をちゃんと積み重ねた先に、スタジアムでの公演が見えてきました。さらに今作は「にせんねんもんだい」という強力なバンドも参加します。彼女たちを選んだ理由があれば教えてください。

塚原:スポーツって、ものすごい反復の上に生まれるものですよね。試合中の動きもそうだし、そこに至るトレーニングなんかも反復ばかり。そういう完璧な反復があって、その先に応用がぽろっと生まれるみたいなことを、作品構想の初めに考えていたので、彼女たちにお願いしました。にせんねんもんだいの音楽って、電子音楽的な反復にも拮抗するような、「これを人間がやるんや!?」という驚きがあると思うので。新しいアルバム『N』も、ものすごくミニマルな内容でしたけど、そこからの曲をやってもらうことになりそうです。即興的にどうするとかじゃなくて、にせんねんもんだいが一番納得できる状態で演奏してもらいたいと思っています。

にせんねんもんだい
にせんねんもんだい

―ミニマルで、インダストリアルで、エクスペリメンタル。すごくフィジカルな感じもある。たしかに「にせんねんもんだい」ほど、今回のcontact Gonzoにふさわしい相手はないかもしれません。

塚原:音楽でもスポーツでもそうでしょうけど、未来のことを考えれば、テクノロジーや身体の進化を考えないわけにはいかない。純粋な身体のまま、いつまでできるのかな? とか考えます。プロスポーツの世界だと尚更で、たとえば20年後にはドーピングなんて当たり前に解禁されているかもしれない。ステラーク(自身の身体をメディアとして拡張するアーティスト。2010年にcontact Gonzoと展覧会を開催)なんて、腕3本にするって言ってるくらいですから(笑)。だけど改造やドーピングの世界は、一方で資金力の世界でもあって、脳神経の反応速度を上げようってなれば、お金がないとできない。そういう世界観の中で、朴訥な身体が行う最後のスポーツを想像してみたいというのが「私たちの未来のスポーツ」とサブタイトルに込めた意味でもあります。

三ヶ尻:僕はエクストリーム系のスポーツが好きなんですけど、あれも突き詰めていくと原始的な方向になっていくんです。単独、無酸素でエベレスト登頂とか。

大阪の元contact Gonzo事務所にて
大阪の元contact Gonzo事務所にて

―山の斜面を豪快に滑り降りる「山サーフィン」だとか、contact Gonzoが普段から開発している遊びもまた「未来のスポーツ」と言えますね。今回のスタジアム公演について、「リスク」という言葉も飛び出しましたけど、話を伺っていると、contact Gonzoの集大成なんだという期待が高まってきました。

塚原:これまでで一番高いリスクですけどね。でも、僕らはだいたい「何かいけそうな気がする」で突破してきたので大丈夫だと思います(笑)。

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イベント情報

contact Gonzo
『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』

2014年10月15日(水)19:00~
会場:京都府 西京極スタジアム(西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)
演奏:にせんねんもんだい
料金:
一般 前売2,500円 当日3,000円
ユース(25歳以下)・学生 前売2,000円 当日2,500円
シニア(65歳以上) 前売2,000円 当日2,500円
高校生以下 前売1,000円 当日1,000円
ペア 前売4,000円

『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2014』

2014年9月27日(土)~10月19日(日)
会場:京都府 京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)、元・立誠小学校、京都府立府民ホール“アルティ”、西京極スタジアム(京都市総合運動公園陸上競技場兼球技場)、Gallery PARCほか
上演作品:
[公式プログラム]
ティナ・サッター/ハーフ・ストラドル『House of Dance』
高嶺格『ジャパン・シンドローム~step3.“球の外側”』
村川拓也『エヴェレットゴーストラインズ』
ルイス・ガレー『マネリエス』『メンタルアクティヴィティ』
She She Pop『春の祭典――She She Pop とその母親たちによる』
木ノ下歌舞伎『三人吉三』
contact Gonzo『xapaxnannan:私たちの未来のスポーツ』
悪魔のしるし『わが父、ジャコメッティ』
フランソワ・シェニョー&セシリア・ベンゴレア『TWERK』
地点『光のない。』
金氏徹平『四角い液体、メタリックなメモリー』

プロフィール

contact Gonzo(こんたくと ごんぞ)

contact Gonzoとは、殴り合ったり山の斜面を落ちたりする過程で一時的に言葉を忘れたりすることを美徳とする集団 / 方法論の名称。現メンバーは塚原悠也、三ヶ尻敬悟、松見拓也、小林正和の4人。パフォーマンス中のインスタントカメラを使った撮影、ほぼサウンドデータのみで行為を劇場で表現した『Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》』などメディアに対する独自の手法でも評価される。2013年セゾン文化財団セゾンフェロー助成に採択。

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