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contact Gonzoは貸切のサッカースタジアムで何をしでかすのか

contact Gonzoは貸切のサッカースタジアムで何をしでかすのか

インタビュー・テキスト
竹内厚
撮影:佐々木鋼平
2014/10/01

スポーツのことを調べれば調べるほど、その範囲が広すぎてよくわからなくなったんです。競技性のないものも含まれるし、contact Gonzoだって、スポーツと言えてしまう可能性もあると思うんですよ。(塚原)

―スポーツであれば、グラウンド上の1人のスーパースターに観客全員の眼が釘付けになる場面を想像できますが、パフォーミングアーツで同じように拮抗した瞬間がどこまで可能なのか。スポーツと張り合う必要はありませんが、今回の公演タイトルには「未来のスポーツ」という言葉が入っています。

contact Gonzo『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』イメージビジュアル © contact Gonzo
contact Gonzo『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』イメージビジュアル © contact Gonzo

塚原:舞台芸術をスポーツ化しようというつもりはないんですけど、その前段階としてスポーツのことを調べれば調べるほど、その範囲が広すぎてよくわからなくなったんです。サイクリングやジョギングのような、競技性のないものでもスポーツに含まれるし、それで言うと、僕らがやってきた「contact Gonzo」だって、べつにスポーツと言えてしまう可能性もあると思うんですよ。僕らはパフォーマンスを始める前に、アップ代わりにペットボトルを投げ合ったりするんですけど、それも単にキャッチボールみたいに投げるだけじゃなくて、だんだん変化して暗黙のルールみたいなものが生まれてくる。これもスポーツの起源に触れているような気がしますし。

スポーツは、ルールが1つ加わるだけで、身体の使い方も景色も変わるんです。(三ヶ尻)

―スポーツにとって「ルール」の存在は大きいですね。

三ヶ尻:ルールのことは結構、色々考えますね。

塚原:この間もメンバーで淀川に集まって、「ボールを最初に木にぶつけたら勝ち」みたいなルールで遊び始めて、3点入るごとにルールを1つ増やすということをやったんですけど、最後のほうになると「必ずパスはワンバウンドで」「移動は腰を曲げて後ろ歩きのみ」「ゴールするにはパスを4本通してからでないとダメ」とか、もうルールを増やしすぎてわけがわからないことになって(笑)。

三ヶ尻:ルールが1つ加わるだけで、身体の使い方も景色も変わるんです。

contact Gonzo『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』イメージビジュアル © contact Gonzo
contact Gonzo『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』イメージビジュアル © contact Gonzo

―観客の目線に立てば、ルールをわかった上で観て楽しむというのは当然のことですが、ルールがわからないからこそ面白いという状況もあり得ますよね。ルールを知らずにカバディを観たときに、まるでcontact Gonzoのパフォーマンスのように見えたことがありました。

塚原:人類学者の今福龍太さんが著書で紹介している「トロブリアンド・クリケット」という、イギリスからトロブリアンド諸島に伝播したクリケットは、もはやスポーツというよりお祭りや儀式になっています。映像で見ると、むやみに大人数が集まって、叫びながらボールを投げているようにしか見えないんですけど、やってる人たちにはルールがクリアなんでしょうね。

三ヶ尻:参加人数の制限もないみたいで、相手チームが50人だったら、それに合わせてこっちも50人集めるとか、相手の長の顔を立てるためにアウェーチームは絶対に負けなきゃいけないとか。

―私たちが見知っている競技は、スポーツのほんの一部なんですね。トロブリアンド・クリケットのような例を聞くと、たしかにcontact Gonzoがスポーツだとしても、まったくおかしなことではない。

塚原:そうなんですよ。今回の公演に関してルールのことでちょっと考えていたのは、ものすごくルールを増やしていくと、ルールそのものがホワイトアウトして、ひょっとしたらものすごく自由になれるんじゃないかと(笑)。けど、こないだ淀川でルールを増やしていったときは、そんなことは全然なくて、最後はイライラして(笑)。でも、まだ本番まで時間があるので、たとえば、メンバーはものすごくゆるやかなルールに沿って動いているんだけど、お客さんからはルールの存在が見えないみたいなことも成立するんじゃないかと思っています。

contact Gonzoのルールは、グーパンチでみぞおちと顔面に入れるのはダメとか、こめかみに膝を入れないとか、当たり前の範囲ではありますけど。(三ヶ尻)

―ちなみに、普段のcontact Gonzoのパフォーマンスにルールってありますか?

三ヶ尻:グーパンチでみぞおちと顔面に入れるのはダメとか、こめかみに膝を入れないとか、当たり前の範囲ではありますけど。

塚原:特に言葉としてはないですね。たとえば、パフォーマンスで、投石機のような武器(ゴムの弾性力を活かして、果物などを発射する原始的な装置)を使うことがありますけど、初めてそれを導入したときは、重い大根を飛ばしていて、撃った大根が当たると9ミリのコンパネが割れたりしたので、これは人には直接当てないようにしようって、気づき始めた(笑)。それがルールになる。そうやって遊びの中で「それはなしやろ」って決まっていくことが多い気がします。けど、だんだん飽きてきたら、今度はルールをわざと破ってみたりもする。そのルール破りがリアクションを引き出して状況を変えるか、全然みんなから無視されるか、それはやってみないとわからない。

contact Gonzo photo by Choy Kafai Performing Histories: Live Artwork Examining the Past at The Museum of Modern Art, New York
contact Gonzo photo by Choy Kafai Performing Histories: Live Artwork Examining the Past at The Museum of Modern Art, New York

―contact Gonzoは、予定調和のパフォーマンスではないので、即興に対するリアクションが与える影響は大きいですよね。観客として観ていても、メンバー間のささやかなノリのようなものが感じられることがあります。

塚原:ロンドンでの公演で、メンバーのマサくんが多分実験も含めてフザけてきたけど、僕はそんなに面白くなかったので、その瞬間にビンタを入れてしまったこともありましたね(笑)。

三ヶ尻:周りをことさら笑わせようとしてフザけてくると、特に醒めます。

塚原:たぶん、お客さんとの兼ね合いもあるんでしょうね。お客さんが笑いの方向で盛り上がってくると、次にこれをやると絶対に笑いになるというのがわかるので、それとは全然違うことをしたくなるんですけど、そういうときにメンバーの中で1人だけフザけてくると「なんやそれ」って完全に流すときもある(笑)。

―contact Gonzoは殴り合いのイメージからハードコアに捉えられがちだと思いますけど、マヌケな場面もじつは少なくなくて、そのあたりのさじ加減はどうしてるんですか?

塚原:あんまりプロ化したくないという思いはありますね、トラッシュ系というか。あとはイベント内容と作品によるかもしれません。ほんまに笑かしにいくイベントもありますし。すべてが自然発生するのが理想なんですけど。

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イベント情報

contact Gonzo
『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』

2014年10月15日(水)19:00~
会場:京都府 西京極スタジアム(西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)
演奏:にせんねんもんだい
料金:
一般 前売2,500円 当日3,000円
ユース(25歳以下)・学生 前売2,000円 当日2,500円
シニア(65歳以上) 前売2,000円 当日2,500円
高校生以下 前売1,000円 当日1,000円
ペア 前売4,000円

『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2014』

2014年9月27日(土)~10月19日(日)
会場:京都府 京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)、元・立誠小学校、京都府立府民ホール“アルティ”、西京極スタジアム(京都市総合運動公園陸上競技場兼球技場)、Gallery PARCほか
上演作品:
[公式プログラム]
ティナ・サッター/ハーフ・ストラドル『House of Dance』
高嶺格『ジャパン・シンドローム~step3.“球の外側”』
村川拓也『エヴェレットゴーストラインズ』
ルイス・ガレー『マネリエス』『メンタルアクティヴィティ』
She She Pop『春の祭典――She She Pop とその母親たちによる』
木ノ下歌舞伎『三人吉三』
contact Gonzo『xapaxnannan:私たちの未来のスポーツ』
悪魔のしるし『わが父、ジャコメッティ』
フランソワ・シェニョー&セシリア・ベンゴレア『TWERK』
地点『光のない。』
金氏徹平『四角い液体、メタリックなメモリー』

プロフィール

contact Gonzo(こんたくと ごんぞ)

contact Gonzoとは、殴り合ったり山の斜面を落ちたりする過程で一時的に言葉を忘れたりすることを美徳とする集団 / 方法論の名称。現メンバーは塚原悠也、三ヶ尻敬悟、松見拓也、小林正和の4人。パフォーマンス中のインスタントカメラを使った撮影、ほぼサウンドデータのみで行為を劇場で表現した『Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》』などメディアに対する独自の手法でも評価される。2013年セゾン文化財団セゾンフェロー助成に採択。

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