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停滞しているもどかしさに光明を 渡會将士の「マンネリ」の壊し方

停滞しているもどかしさに光明を 渡會将士の「マンネリ」の壊し方

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:西田香織
2014/11/11

<進めば必ず着く Reach to Mars!!>――そう高らかに唄った『Reach to Mars』からおよそ1年半を経て、FoZZtoneがニューアルバム『Return to Earth』を完成させた。全編でアグレッシブなロックが展開される『Reach to Mars』は、火星に向かう宇宙飛行士たちを主人公とした壮大なコンセプトアルバムだったが、そのSFストーリーはそこからさらに拡大し、なんと3部作へと発展。ミニアルバム『Stomp the Earth』を経て、今回の『Return to Earth』がいよいよその最終章となる。そしてこのアルバムタイトルにも表れているように、どうやら物語の舞台は地球へと戻ってきたようだ。火星から帰ってきたアストロノーツたちは一体どうなったのか。そしてそこで鳴り響くサウンドとは? その真相は、ぜひ作品を手に取って確かめていただきたいと思う。

さて、この作品を「手に取って」ほしいというのは、まさにそのままの意味である。つまり、『Return to Earth』はその楽曲だけでなく、ぜひパッケージ全体で楽しんでほしい作品なのだ。アートワークがアルバムの内容と密接に絡んでいる本作は、いわばトータルアート的な作品でもあり、そこからはCDというフィジカル形態で音楽をリリースすることへの強いこだわりも感じられるだろう。さあ、ここからはFoZZtoneのフロントマンであり、作品のアートワークを手がける渡會将士に登場していただこう。『Reach to Mars』から始まった3部作構想のことや、彼らのアルバムにおける視覚的要素の重要性について、渡會にじっくりと語っていただいた。

実現可能かもわからない火星移住計画を表明したNASAの会見を見ながら、ふと思ったんです。ピンチのときこそ、何か理想を掲げれば、応援してくれる人たちに勇気を与えることができるんじゃないかって。

―『Reach to Mars』から『Return to Earth』に至るまでの3部作構想って、渡會さんの中にはいつからあったものなんですか?

渡會:実を言うと、これは結果として3部作になったようなところもあって。つまり、せっかく『Reach to Mars』で火星に行くお話を作ったんだから、そこから地球に帰って来ないのは、なんとなく寂しいじゃないかと(笑)。

―3部作のアイデアは、『Reach to Mars』を作った後に生まれたものだったということ?

渡會:そうなんです。たとえば、村上春樹さんや伊坂幸太郎さんの小説って、異なる作品にまったく同じ人物が登場したりしますよね? 今、読んだばかりの本に登場したキャラクターが、どうやら他の小説にも出てくるらしい。そう聞くだけで、「じゃあ、そっちのほうも読んでみようかな」という気になったりする。そういうギミックで僕らの音楽も楽しんでもらいたいなと思ったんです。それこそ、「前のアルバムで使われていたフレーズが今回も出てくる」とか、そういう作品相互の連続性とストーリーを大事にしたかった。

渡會将士
渡會将士

―なるほど。では、そもそも渡會さんたちはなぜ火星を舞台にしたストーリーを描こうと考えたんですか?

渡會:『Reach to Mars』を出した頃って、ちょうどFoZZtoneの結成10周年にあたるタイミングだったんですけど、その頃にたまたまテレビでNASAの記者会見を見たんです。これがなかなかドラマチックな内容の会見で、「アメリカの財政がひっ迫している」みたいな情報をいくつも開示したうえで、どうやらNASAによると「もうスペースシャトルは打ち上げられなくなってしまった」と。当然そこで記者団からいろんな突っ込みが入るんですけど、NASAの広報担当はそこで「今後、我々は火星に行こうと思います」と発表したんですよね。僕、なんだかその発想にすごく勇気づけられてしまって。

―それはどんなところに勇気づけられたんですか?

渡會:バンドもそうあるべきだなと思ったんです。FoZZtoneも結成から10年が経って、お陰様でライブの動員は徐々に増えているんだけど、同時にその頃はまた新しい何かをやることの難しさも感じていて、なんか妙な焦りもあったんですよね。でも、その実現可能かもわからない火星移住計画を表明したNASAの会見を見ながら、ふと思ったんです。こういうピンチのときこそ、こちらから何か理想を掲げれば、応援してくれる人たちに勇気を与えることができるんじゃないかって。言ってしまえば、僕らがバンドをやめるのってすごく簡単なんです。かといって、ただ長く続けばいいってわけでもない。ここから先もどんどん進んでいくと提示していくことが重要なんじゃないかって。

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リリース情報

『Return to Earth』
FoZZtone
『Return to Earth』

2014年11月12日(水)発売
価格:3,000円(税込)
PECF-3106

1. Return to Earth
2. 溺れる鯨
3. 開きっぱなしの扉か俺は
4. Message from the front
5. Gloria
6. ベルティナの夜
7. 青い炎
8. Anomaly
9. Cry for the moon
10. 風によろしく
11. Fortune kiss

プロフィール

FoZZtone(ふぉずとーん)

渡會将士(Vo&Gt)、竹尾典明(Gt)、菅野信昭(Ba)からなるロックバンド。ジャケットは主にVo.渡會がイラスト・デザインを手がけている。テレビ東京系列アニメ『遊☆戯☆王ZEXALⅡ』エンディング曲のシングル『GO WAY GO WAY』では、原作と渡會のイラストのコラボも実現した。自身のブログ、モバイルサイトで小説も執筆中。音楽をもっと楽しんで欲しいという想いから、「購入者が選曲し曲順を選べる」という業界初の試み「オーダーメイドアルバム企画」を実施し、タワーレコード13店舗との「オーダーメイドアルバム企画」も実現。2013年、「セカイイチとFoZZtone」を結成。『バンドマンは愛を叫ぶ』をリリース。2014年、事務所を移籍し、ミニアルバム『Stomp the Earth』をリリース。11月、三部作の完結編となる『Return to Earth』をリリース。

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