水曜日のカンパネラ、ヴァンパイアのゆる~い共同生活を鑑賞

架空の生き物なのか本当に存在するのか? 映画史の中で幾度となく描かれてきた「ヴァンパイア」。人の命を奪い生きながらえる残酷な一面を持ちつつも、その姿は妖艶で美しくもある。とても危険で魅力的なキャラクターだ。そんなヴァンパイアを描いた映画がまた1つ誕生した。それはニュージーランド発の『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』。人間からヴァンパイアに変えられた者の葛藤を描いた『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を彷彿とさせるタイトルからもわかるように、正当派ヴァンパイア映画のパロディーをふんだんに用いたブラックコメディーだ。舞台は一軒家で仲良く暮らすヴァンパイアたちの共同生活で、その描き方がとてつもなくユニーク。なんと、ドキュメンタリー「風」の設定ですべてアドリブで撮影されたという驚くべき映画なのだ。その魅力はあっという間に世界中に広まり、各国の映画祭で「観客賞」を多数受賞している。

日本では、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の主演・歌唱担当であり、大の映画好きのコムアイがその面白さをキャッチ。決してヴァンパイアマニアというわけではない彼女が、この映画を絶賛する理由は? コムアイと『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』が融合して引き出された、意外な楽しみ方を紐解いていく。

ハンターとしてのヴァンパイアに強い生命力を感じたんです。もともと「食べること」にすごく興味があるんですけど、それは「もっと原始的に生命力を称えたい」という欲求があるからだと思う。

―水曜日のカンパネラの4thアルバム『私を鬼ヶ島に連れてって』の中に“ドラキュラ”という曲があります。そのPVがニュージーランドの映画『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』に似ている、という共通点がきっかけでこの映画を見ていただきましたが、実際にご覧になってどうでしたか?

コムアイ:似てました(笑)。私が“ドラキュラ”のPVの中で演じているヴァンパイア家のメイドは、最初は普通の人間ですけど、実は新米ヴァンパイアだったというオチなんです。『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は、大学生のニックという登場人物が、意図せずヴァンパイアデビューしてしまうというストーリーで、「ヴァンパイアの世界に入っていく」というところが同じです。

―映画と“ドラキュラ”のPVを見比べたら、細かい演出も似ていてびっくりしました(笑)。水曜日のカンパネラの作詞作曲はケンモチ(ヒデフミ)さんがメインで制作されていますが、PVの演出にはコムアイさんのアイデアも取り入れられたりするんですか? たとえばドラキュラが好きだったりとか。

コムアイ:もともとヴァンパイアに興味があったというわけではないんですけど、2013年に公開されたヴァンパイア映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(監督:ジム・ジャームッシュ)を見て、「吸血鬼っていいなぁ」と思ったんですよね。

コムアイ
コムアイ

―それはなぜ?

コムアイ:ハンターとしてのヴァンパイアに強い生命力を感じたんです。映画を観ていたら本当に人間の首が血が通って美味しそうに見えてくる。あと、吸血鬼の鋭くて存在感のある犬歯(=牙)に憧れちゃって(笑)。私の歯は犬歯が平べったいので、すごく羨ましいと思って。でね、作ったんですよ、犬歯を(笑)。自分の歯にかぶせるタイプの牙を作ってもらったところまでは良かったんですけど、コレいつ使うんだろう……って。そしたらタイミング良く“ドラキュラ”のPVの話がきて、この牙を使えるぞ! と(笑)。なので、あの牙は自前の牙なんです。

―てっきりPVのために準備したのかと思ったら、私物だったんですね(笑)。ヴァンパイアに興味を持つきっかけとして、「ハンター」や「牙」にフォーカスしているのが、独特ですね。

コムアイ:私、今は都会でパフォーマンスをしているけど、ずっと農耕や狩猟採集に関わることをしていきたいと思っていたんですよ。もともと「食べること」にすごく興味があるんですけど、それはおそらく、「もっと原始的に生命力を称えたい」という欲求があるからだと思います。特に解体の作業は獣と人間が対峙する時間でもあって、その生命の存在を目の前にすると「あぁ、これだけは本当の現実だな」と思えるんです。

―人間の「生命力」に迫る手段は他にもいろいろと考えられると思うのですが、特に「食べること」にフォーカスしたのは、なぜでしょう?

コムアイ:人間の三大欲求は「食欲・睡眠欲・性欲」と言われていますが、私にとって一番考えるべき必要があるのは食欲。睡眠や性行為と比べると、食欲=食べることは、絶対に誰かの犠牲が必要だから葛藤が生まれるのが当然なんですよ。とはいえ、生きるためには仕方のないことだから、犠牲にすることを悪いとは思っていないんです。犠牲があって、美味しくて、いただきますーってだけなので、善し悪しの問題ではないんですよね。ただ、鹿の解体をして感じたのは、獣のような山を駆け回っている強い生き物を自分でガシッって捕まえて食べると、それだけ強いものを受け取ったという感じがするんですよね。肉食動物のように目が爛々とする。野菜や山菜でも同じで、「エネルギーの強いものを食べたい」と思うようにもなりました。その感覚があるせいか、私の中で肉をひきちぎる犬歯は生命力の象徴で、だからヴァンパイアの牙が羨ましいと思ったのかもしれません。

映画全体にすごく愛嬌があって、それってすごく大事なことだと思うんですよね。

―『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を見てヴァンパイアに興味を持ったということですが、あちらはヴァンパイアのロマン性が物語の核になるように描かれています。一方で『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』はまるで趣が異なる映画ですが、ご覧になった率直な感想は?

コムアイ:めちゃめちゃ好きです、この映画(笑)。映画全体にすごく愛嬌があって、それってすごく大事なことだと思うんですよね。たとえばアイドルも必死に頑張っている姿が可愛かったりするじゃないですか。上手だけどドヤって感じだと隙がないというか……。この映画は、チラシの雰囲気や登場人物の表情からして「変な映画だなぁ(笑)」と惹かれるところがありました。いつも紹介する映画は、一人で観たほうがいいものがほとんど。もしくは、気になっている人と行ったら気まずくなりそうな、でもそれが逆にいいと思うよ! というような、ちょっとひねくれた薦め方が多いのですが、この作品は、私のような映画にひねくれた人間でも誰かと観に行って100%楽しむことができる作品でした。

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV

―おお、絶賛ですね。映画のジャンルとして、ホラーやブラックコメディーがお好きということですか?

コムアイ:もともとホラーは苦手ですが、シッチェス(スペイン・バルセロナのシッチェスで開催されるホラーやファンタジー映画の最先端作品を上映する『シッチェス映画祭』)は気にするようにしています。去年は『ボーグマン』しか観られなかったけどかなり面白かった。スリラーやSFっぽいテイストは去年たくさん観た気がします。あと、フェイクドキュメンタリー(ドキュメンタリー風表現手法、「モキュメンタリー」とも言う)みたいに、フィクションとドキュメンタリーの間にあるような作品もよく観ています。私が好きな1990年代に活躍していたドキュメンタリー作家の人たちって、被写体をどれだけ客観的に撮れるか? みたいなことを気にしながら頑張って撮ろうとしていたと思うんですけど……なんかね、ドキュメンタリー=ジャーナリズムっていう感じがもう退屈なんです。映画なんだから、そういうのとっぱらってやろう! っていう、そういう作品が好きです。たとえば去年公開された『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(監督:太田信吾)も、ドキュメンタリーとフィクション、フェイクドキュメンタリーが混ざっている作品でした。『劇場版テレクラキャノンボール2013』も、どこまでが本気かやらせじゃないのかとか、どうでも良くなる映画でした。

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV

フィクションは当然誰かが筋を書いているわけだから、フィクションだと受け止めた時点で物語が読めてしまう。

―『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は、ヴァンパイアが自分たちの生活をフィルムに残すためにドキュメンタリー制作スタッフを雇い、日常を撮影させている設定。映画自体はもちろんフィクションですが、フェイクドキュメンタリーの要素もありますよね。

コムアイ:そこが面白いんです。フィクションって、当然誰かが筋を書いているわけですよね。だからフィクションだと受け止めた時点で、「ここで泣かせにくるんだろうなぁ」と物語が読めてしまうというか。それでも面白いものもたくさんあったんですけど。『ゴーンガール』とか。でもフィクション難しいですよ。

コムアイ

―『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』で、気になるシーンはありましたか?

コムアイ:もう観ている側からしたらどっちでもいいよって感じなのに、今更ドキュメンタリーっぽさを出すために、「細かすぎでしょ!(笑)」とつっこみたくなるぐらいの工夫が出てきます。シェアハウスに警官が家宅捜査に来たときも、大真面目に(ドキュメンタリーだから)カメラに向かって状況説明する婦警の顔がすごく好き。パソコンでSkypeするシーンも、Skypeのアカウントにモザイクがかかってるんですよ。個人情報だから(笑)。ドキュメンタリーでも何でもないことがバレバレなのに、そういうところを追求する真面目さがたまらなく好きでした。その中で、私なりにヴァンパイア目線の「萎え」ポイントを3つ見つけたんですよ!

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV

―「もしコムアイさんがヴァンパイアだったら、どういうときに萎えるか?」ということですか?(笑) ぜひ聞かせてください。

コムアイ:一番好きな萎えポイントは、人間の首にガブッて噛みつくときに、誤って動脈を切っちゃって血のシャワーになって大惨事になるところ。せっかく上品に血をいただこうと思っていたのに、部屋中が血まみれになる有り様に萎えますね。勢いが弱い静脈を噛むのがポイントなんですね。あと、処女や童貞だと思っていた人間が実は処女じゃなかったときの萎え方もいい。それとフライドポテトのシーン! ポテトはヴァンパイアが食べると吐いちゃう設定なんですけど、それにしてもあの吐き方はひどかったです(笑)。吐血ですから痛々しさが増しますね。ヴァンパイアと付き合うときのために覚えておこうと思いました。

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』 ©Shadow Pictures Ltd MMXIV

―たしかに、ヴァンパイアもいつもうまく人間の血を吸えるわけではなく、ときには失敗したり、萎えポイントも満載でそこが愛嬌になっていましたよね。ヴァンパイアものに欠かせないテーマの1つが「永遠の命」で、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』にもそれは健在です。お父さん的な存在のピーターは8000歳、拷問好きのヴラドは862歳、きれい好きでみんなの面倒をみているヴィアゴは379歳、反抗期の問題児ディーコンは183歳……と、とてつもない歳月を生きているわけですが、コムアイさんは永遠の命を欲しいと思いますか?

コムアイ:欲しいと思ったことはないですね。人間が輝ける時間は限られていると思うから、ヴァンパイアのようにどれだけ時間があっても輝ける時間は同じなのかもしれないなと。だから、ヴァンパイアの人生は、ほとんどが余生という感じがする。映画にはジャッキーという人間の女性が出てきて、年齢的にベストな状態でヴァンパイアになるために努力しているけれど、私は今22歳で、30代も40代も50代も生きてみたいし、年齢を重ねるごとに夏木マリのような美女になれる気がするんです。

水曜日のカンパネラを始めたとき、私が降りてもこの船は進んでいくなって思ったんです。私はただ乗っかっているだけで、動力になっているのは私じゃない。

―現在は22歳で、水曜日のカンパネラのメンバーとして音楽活動をしているわけですが、それまでは世界を旅したり、鹿の解体をしたり、農業をしたり……コムアイさんは一体何者なんですか?

コムアイ:(笑)。今までやってきたことを並べるとすごく行動力あるように見えるかもしれないけど、それぞれ期間も空いているし、たとえばキューバ旅行も一人で行ったわけではなく、仲のいい友達に影響されて一緒に行ったんです。カンパネラも私はただ乗っかっているだけで、動力になっているのは私じゃないんですよね。

―とは言っても、カンパネラの表現者としてみんなを惹きつける入口となっているのはコムアイさんじゃないですか。

コムアイ:そういう役目ではあるけれど、実際のところ、音楽も普通の仕事として捉えた方が進みやすい面もあります。例えば、やりたいことがあったら期限を決めて、そこに向かって段取りが必要なわけです。私はそういう段取りが全然できないから誰かの企画に乗っかっている。カンパネラを始めたとき、私が降りてもこの船は進んでいくなって思ったんですね。自分の存在価値とは関係なく、ドリルみたいにガリガリ力強く進んでいる感じがして、この船は沈まないだろうなって。だから乗っても大丈夫だと思ったんです。

コムアイ

―なんだかちょっと意外ですが、コムアイさんは、すごく慎重な方だということでしょうか?

コムアイ:特に1枚目のアルバム『クロールと逆上がり』が出るまでは、すっごく慎重でしたね。このユニット、本当に本気なのかな? いつポシャるかな? とずっと疑ってました。そもそも私は歌を歌えないので、いつポイって捨てられるかわからないし、1回やってみて面白くなかったらやめなくちゃならないかもしれないし……。でも今はこのやり方がベストだと思います。

―それはなぜですか?

コムアイ:私、やっぱり一人では頑張れないんですよね。強く進んでいく力を見つけて、それに乗っかることしかできない。だから、たとえそれが自分の一番行きたい方向ではなくても、今より全然違うところに来たという驚きを楽しめるというか。純粋に自分がやりたかったことをやるというよりは、あれやってみたら? これ合うんじゃない? と勧められたことを実践するやり方を受け入れ始めて、それがしっくりきているんです。今はその流れに乗っていて、付き合う人たちも以前と比べるとすごく変わってきているけれど、会いたかった人にもちゃんと会えているし、それはそれでいいなと。

―人の流れに身を任せるスタイルを認め始めた。

コムアイ:そうなんです。振り返ると、キューバも友達について行ったし、鹿の解体もイベントで誘ってくれた人がいたからで、とにかく私を特徴づけているものは、すべて周りの人の強引さがきっかけになってるんです。

どういう暮らしがいいんだろう? という疑問は、実は小学生の頃からのコンプレックスからきている。鹿の解体をしたり音楽を作ったりしながら、ずっと居心地のいいところを探しているんだと思います。

―コムアイさんが、自分から行動したと自覚していることって何かありますか?

コムアイ:自分から行動したのは最初の1回だけ。中学3年生のときにNGOのピースボートの事務所に行きました。授業の課題で地雷について調べていたときに知った団体なんですけど、地雷撤去に関わるボランティアがしたいという気持ちで訪ねて行きました。

―若い頃から、自分の考えで行動しているじゃないですか。その後は誘われるがまま、流れに乗っているとおっしゃっていましたが、声がかかるということはコムアイさんは周りを引き寄せる何かを持っていて、自身も少なからず興味があるからこそ乗っかるわけですよね。キューバ、農業、鹿の解体、音楽……これらに共通していることって何だと思いますか?

コムアイ:共通しているのは、世の中に正しいイデオロギーがあるんじゃないかと思っていて、それを探してることです。

―それは、簡単な言葉で言うと「暮らし方」を見つめ直すことだとも言えますか?

コムアイ:そう、暮らし方と国のイデオロギーの両方ですね。そもそもキューバに行ったのも社会主義的な暮らしはどうなんだろう、資本主義よりいいんじゃないか? と思って体験してみたかったから。それで、実際に行ってみたら意外と日本の田舎に似ているかもしれないと思ったので、帰国してからは日本で知り合いの農家で過ごしたりするようになりました。畑や家畜の手伝いをしたり、お茶の加工を見せてもらったり、ひなたぼっこしたり。

コムアイ

―コムアイさんの中には、いつも問題意識がハッキリとありますよね。

コムアイ:どういう暮らしがいいんだろう? という疑問は、実は小学生の頃からのコンプレックスからきていると思います。すごくいい両親で海外旅行などいろんな体験をさせてもらって、感謝しているんですけど、住んでいたのは商店街のないベッドタウンでした。子どもながら「下町で育ちたかったなぁ」という思いが強かった。いろんな大人に見守られて育ちたいと思っているのに、通学路はすごく冷たい感じで、大人のお手本が親と先生しかいなかったのが嫌だったんです。生まれ育った街に違和感があったからこそ、懐かしさを求めていろんな場所に行って、居心地のいいところを探していたのかもしれないですね。

―そして、コムアイさんの「理想の暮らし」は見つかりましたか?

コムアイ:まだ見つからないですね、全然。ただ、カンパネラの活動が少し落ち着いたら数か月、海外で生活したいなとは思っているんです。行き先は……台北かベルリンかリスボンがいいなぁって。なんとなくですけど、台湾のご飯は自分に合う気がするんですよね。行ったことないんだけど(笑)。

コムアイ

―やっぱり食は大事なわけですね。

コムアイ:大事です(笑)。過去に農場で暮らしたときは1か月ほとんど農場から出ることなく、朝は鶏の卵を拾ってきて朝ご飯を食べて、畑で作業して、おやつ作って、たまに太鼓をたたいて、話をして……こういう生活は完璧だなって思ったんです。でも、唯一足りないのは映画館と美術館。ミニシアターがないところではまだ住めないなあ。美術館も全然行かないのにそのときはすごく恋しくなったんです。生活に必要な基本が完成すると次の欲求は芸術にいくのかもしれないです。そもそも映画については、「映画に助けられた」という感覚があります。ずっとメインカルチャーとは離れたところにいて、クラスにいても落ち着かなかった私にとって、放課後に映画館に入って、学校では出逢えない別の世界で楽しそうな人たちの空気に触れさせてくれたのが映画でした。高校生が学校以外で居場所を見つけるのは難しいけど、映画は人に会わなければいけないようなハードルもなくて、すごく良かったんです。

―人生を開く1つのきっかけだったのかもしれませんね。とすると、「好きな映画」というのも、「より居心地のいいところ」を指し示すヒントをくれるような存在だとも言えるのでしょうか?

コムアイ:たしかにそうかもしれません。だから、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』も「シェアハウスで楽しそうに暮らしているヴァンパイアたちに会いに行く」ような気分ですっと入り込めたのだと思います。今後の理想は、いい映画が見られて、今の音楽の仕事ができて、でも畑もやってるみたいな……そういうユートピアってないですかね?(笑)

―そのうち、コムアイさんを追いかけたドキュメンタリーできそうですね。

コムアイ:「乗っかり人生」なので、自分から映画を撮ろうと思ったことは一度もないですけど、友達に誘われて出たことはあるし、気にはなっているので、今までと同じで何か大きい流れが目の前にやって来たらそれに乗っかろうとは思います。こういう生き方、好きなので(笑)。

作品情報
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』

2015年1月24日(土)から新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:タイカ・ワイティティ、ジェマイン・クレメント
出演:
タイカ・ワイティティ
ジェマイン・クレメント
ジョナサン・ブロー
コリ・ゴンザレス=マクエル
スチュー・ラザフォード
ほか
配給:松竹メディア事業部

リリース情報
水曜日のカンパネラ
『私を鬼ヶ島に連れてって』(CD)

2014年11月5日(水)発売
価格:1,500円(税込)
TRNW-0070

1. 千利休
2. 桃太郎
3. エンゲル
4. チャイコフスキー<Interlude-モスラ->
5. インカ
6. デーメーテール
7. ジャンヌダルク
8. ドラキュラ

プロフィール
コムアイ

1992年7月22日生まれ。神奈川県出身。水曜日のカンパネラの主演・歌唱担当。成人しても未だ「クロール」と「逆上がり」ができないという弱点を持つ。高校生時代には、いくつかのNGOやNPOに関わり活発に動き回る。サルサダンスに毒され、キューバへ旅し、同世代100人のチェキスナップとインタビューを敢行。その後は、畑の暮らしを体験したり、たまに海外へ。最近は、鹿の解体を習得中。好物は、今川焼と明石焼といきなり団子。



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