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アートを超える「アーホ!」のパワー 倉本美津留×長谷川依与

アートを超える「アーホ!」のパワー 倉本美津留×長谷川依与

インタビュー・テキスト
坂口千秋
撮影:豊島望

すでに答えは出ているんですよ。地球を平和にするにはアートしかないんです!(倉本)

―『SICF16』の審査員プロフィールに、倉本さんは「人間のオモシロ脳には限界がない」って書いています。よく言われがちなことですが、ポストモダン以降は新しいアイデアが出尽くしていてオリジナルなんてどこにもない、過去の遺産をどう編集するかが大事、みたいな風潮がある中で、すごく興味深いスタンスだなって思ったんです。

倉本:人間は3次元の世界で生きているから、4次元、つまり未来のことはよくわからない。過去を振り返ってみれば、どの時代の人たちも「もうこれ以上はあるわけがない」って思い込んできているわけですよ。そんなときに突然変異的な才能が現れて既成概念を壊していく。アートでいえば、「もうない感」をいち早く作りだしたのが、マルセル・デュシャン(コンセプチュアルアートの祖といわれるアーティスト)だと僕は思うのね。ただの小便器にサインを入れて「これがアートや!」ってデュシャンがやってしまったことで、「それがアリなら、もうどうしたらええねん!」と。100年前の人だって、同じような限界を乗り越えてきて、今日があるわけです。

―なるほど。

倉本:普通の人間が脳の10パーセントくらいしか使ってないなら、天才は15パーセントくらい使って、わけわからん「アーホ!」なことを考えて模索しているかもしれない。その孤高な生き様はもはや戦士ですよ、クリエイティブ戦士。クリエイティブ戦士がもっと増えていったらいいと思うんです。

左から:倉本美津留

―倉本さんは、「アーホ!」なアーティストを増やしていくことが、世界平和につながるとおっしゃられていますよね。

倉本:それは当然そうですよ! 国家とか国境って、線1本引いてここから手前と向こうは違うっていう、1番単純な既成概念だと思うんです。でも、アートは人間の感覚を変えて、脳の使い方を変えていくものだから、そういう既成概念を壊していく性質を持っているんだと思います。有史以来、人間同士で殺し合ったり、傷付け合ったりしてきたことを馬鹿らしいってようやく気付き始めて、少しずつ平和に向かっているはずなんです。途中でおかしな奴が現れて元のほうに引き戻そうとするんだけど、それでも確実に進化はしている。そんな中で、みんなが能力を発揮して人と違うことを尊重し合うアートには、絶対に平和に向かう力があると思うんです。ちなみに「地球を平和な楽園にするにはどうしたらいいのか?」という命題にも、もう答えは出ているという話知っていますか?

―え? 教えてください。

倉本:すでに地球の中に答えがあるんです。「地球=EARTH」の頭文字「E」は、地上に人間が誕生したエデンの園の「E」。そしてEARTHの最後の「H」は、平和な「ヘブン=HEAVEN」の「H」。もうわかりますよね、「EARTH」のEとHの間、エデンからヘブンの間にあるもの、それが「アート=ART」なんです!

倉本美津留

一同:おおお……!

倉本:地球を平和にするにはアートしかないんです! 世の中に散らばっているヒントを拾い集めて、綿棒とアカスリみたいに、ふだん出会わないものを組み合わせて新しい作品を生み出すことができる。それは世の中にあるものをどう使っていくかというヒントにもなる。だから「アーホ!」なアートがもっともっと増えて、アーティストで世界が溢れかえることが世界平和をもたらすんじゃないかと本気で思ってるんです。そのために、僕も「アーホ!」なアーティストをもっともっと応援したいんですよ。

長谷川:すごい……! なんだか私も壮大なミッションを感じました。

倉本:言葉も何もわからない外国人が「シャイニー!」って、かけ寄ってくれるわけでしょ? 言葉や文化の壁を越えて伝わっている。それがどれだけ力強いことか! まさにクリエイティブな地球戦士ですよ。今年の『SICF16』には『アーホ!賞』を新設してもらったので、「アーホ!」なクリエイティブ戦士をたくさん見つけたいと思っています。

―まさか『SICF』にそこまで深いミッションがあったなんて……!(笑) 楽しみにしています。ありがとうございました!

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イベント情報

『SICF16』

A日程:2015年5月2日(土)、5月3日(日・祝)
B日程:2015年5月4日(月・祝)、5月5日(火・祝)
会場:東京都 青山 スパイラルホール
時間:11:00~19:00
審査員:
倉本美津留(放送作家)
佐藤尊彦(BEAMSプレスマネージャー)
紫牟田伸子(編集家、プロジェクトエディター)
三木あき子(キュレーター、元パレ・ド・トーキョーチーフキュレーター)
皆川明(mina perhonen デザイナー)
岡田勉(スパイラル チーフキュレーター)
料金:一般700円 学生500円

プロフィール

倉本美津留(くらもと みつる)

放送作家。「ダウンタウンDX」Eテレのこども番組「シャキーン!」などを手がける。こんなの見たことない!という感覚をもたらしてくれるアート作品を、大阪弁の褒め言葉とかけて「アーホ」と提唱。同タイトルのアート番組も企画構成している。これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」他。またミュージシャンとしても活動。近著に「明日のカルタ」など。

長谷川依与(はせがわ いよ)

1988年東京生まれ。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。『SICF15 浅井隆賞』受賞。インテリアデザイン、インスタレーションの分野で制作をするアーティスト。人間の目に見える要素だけでなく、不可視な部分に発想の原点を持ち、人間の内側と外側の考察を通して、人間を表現する作品を制作している。

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