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エロスの粒が美しく弾ける。LUCKY TAPESが描く甘い世界

エロスの粒が美しく弾ける。LUCKY TAPESが描く甘い世界

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:田中一人
2015/08/03
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1970~80年代のブラックミュージックを取り入れ、砂糖菓子のように甘いポップミュージックでコーティングしたサウンドが、巷で大きな話題を集めている4人組、LUCKY TAPES。彼らの1stアルバム『The SHOW』が遂にリリースされる。聴けば夜の街へと繰り出したくなるような「心踊るポップネス」だけでなく、「SHOW=エンターテイメント」が内包する刹那的な儚さや侘しさも色濃く描き出しているのが印象的だ。これまで「響きの心地よさ」を優先し、英語詞を貫いてきたボーカルの高橋海が、今作で初の日本語詞に挑戦しており、それによって新たに生み出された繊細かつ官能的な世界観が、アルバムのトーンを決定づける要因となっているのは間違いない。作曲やアレンジのセンスが評価され、他アーティストのリミックスやJ-WAVEのジングル制作も手がける高橋海と、今作で曲作りにも大きく関わったギタリスト高橋健介の「ダブル高橋」から、LUCKY TAPESが生み出す甘さと儚さの源泉を探り、彼らが思い描くバンドの理想像を訊いた。

「ジェイムス・ブラウンみたいに歌えなきゃ、ブラックミュージックはできない!」みたいなこだわりや葛藤は特にありませんでした。(海)

―これまで日本人が作るブラックミュージックを基盤にした音楽というと、「ソウルフルに歌い上げるボーカル」だとか、「日本人離れしたグルーヴ」だとか、そういう文脈で語られることが多かったと思うんですよね。でも、LUCKY TAPESの場合はもっとクールで洗練されていて、「日本人ならではのブラックミュージック」を鳴らそうとしていると思いました。

海(Vo,Key):もともと僕自身がブラックミュージックだけでなく、日本のポップスとかロックからの影響もあるからじゃないかな。「ジェイムス・ブラウンみたいに歌えなきゃ、ブラックミュージックはできない!」みたいなこだわりや葛藤は特にありませんでした。

―ブラックミュージックは、どういうところに魅力を感じて興味を持ったのでしょう?

:もともと両親が洋楽好きで、マイケル・ジャクソンやEarth, Wind & Fire、Princeなど、主に1980年代の音楽が家で流れてたんですよ。それから、小学生になると、Beyonceやブリトニー・スピアーズ、R.Kellyなど、MTVのUSトップチャートに入ってるようなR&Bを中心とした洋楽を、自分から好んで聴くようになっていました。

健介(Gt):僕も同じような感じで、親が音楽好きで、QUEENやABBA、Carpentersなどがよく家で流れていました。

―お二人とも洋楽から入って、その後に日本のポップスやロックを聴くようになったんですね。

健介:そうですね。僕がギターを弾くようになったきっかけは、ゆずだったんです。ちょっと恥ずかしい話なんですけど、中学生の頃に好きだった女の子が、ゆずを好きで。それで、歌えるようになったらいいなと思って、家にあった母親のアコギでゆずの曲を練習し始めました。結局、その子には1年くらい片思いをしてフラれたんですけど(笑)。

高橋健介
高橋健介

―かわいい話じゃないですか!(笑) 海さんは、日本のどういう音楽を聴いてましたか?

:僕は、高校に入ってからカラオケの楽しさを知って、みんなと一緒に歌いたいがためにJ-POPを聴き始めました。それに、ちょうどその頃先輩の影響でアコギを弾き始めて、Mr.Childrenやコブクロ、あと秦基博さんとかをアコギでカバーしてました。

健介:でもその前に鍵盤もやってなかったっけ?

:小学生の頃からエレクトーンを習っていて。でもずっとエレクトーンだけというわけではなく、吹奏楽部でサックスもやっていたし、アコギも含めていろんな楽器に触れてきました。

―それが今のアレンジ力につながっているのかもしれませんね。そもそもエレクトーンは、リズムと伴奏とメロディーを同時に演奏する楽器ですし。それに、LUCKY TAPESは管楽器のアレンジも映えてますもんね。

:そうかもしれないです。

―宅録も、小さい頃からやられてたんですか?

:DTMに触れたのは、大学に入ってからですね。高校卒業から大学へ入学するくらいの頃、ラジオから流れてきたASIAN KUNG-FU GENERATIONの“ソラニン”に衝撃を受けて、「バンドをやりたい!」と思い、大学では軽音サークルに入ったんですよ。だけど、そのサークルが自分にあまり合わなくて。音楽的に合わなかったというより、集団の中にいるのが性格的に向いてなかったんですよね。それでもバンドサウンドは好きだったから、一人でバンドの音を再現できないかと思い、宅録を始めました。当時はthe HIATUSに影響を受けて、アートロックみたいなものを打ち込んでいました。

高橋海
高橋海

―LUCKY TAPESの音楽とは、全く違う感じ?

:そうですね。あと当時は北欧の音楽も好きで、フォークトロニカやポストロックっぽい曲も作っていたり。その頃はまだ黒さは一切なかったな。

―では、そこから今の音楽性に行き着くまでに、どういう心境の変化があったのでしょう。

:Toro Y Moi(アメリカ出身、チャズ・バンディックによるソロプロジェクト)が出てきた頃に、チルウェイブ(アンビエントな要素に、ディスコティックなビートのある音楽)に興味を持つようになったんです。彼の初期の作品は完全に宅録の音楽だったから、「自分にも表現できるかもしれない」と思って。Toro Y Moiってブラックミュージックの要素も入ってるじゃないですか。それが自分の小さい頃から積み重なっていた部分とリンクしたのかなと思います。「宅録サウンドの中の黒いノリ」というのが自分にとっては新しくて、「これに挑戦したい」と思いました。

―鎌倉で生まれ育ったことが、自分の音楽に影響を与えている部分ってあると思いますか?

:どうなんだろう。少なからずあるかもしれないですね。

健介:その感じはあるよね。海くんが作った曲を最初に聴いたとき、「ビーチっぽいね」って話した気がする。僕らが最初に組んだバンドもSLOW BEACH(LUCKY TAPESの前身バンド)っていう名前だし。

:確かに、昔は親の影響でサーフィンとかやってました。

―名前も「海」ですもんね。

:そうなんです(笑)。ただ、音楽をやるようになってからは家に引きこもることが多くなって、海へ行く機会も減ってしまったんですけど。

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リリース情報

LUCKY TAPES 『The SHOW』(CD)
LUCKY TAPES
『The SHOW』(CD)

2015年8月5日(水)発売
価格:2,160円(税込)
Rallye Label / RYECD-250

1. All Because Of You
2. 揺れるドレス
3. Touch!(album version)
4. 平和と魔法
5. Peace and Magic(album version)
6. FRIDAY NIGHT
7. 夜が明けたら
8. Gun

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  • イベント情報

    LUCKY TAPES
    『The SHOW』発売記念ワンマンライブ

    2015年10月2日(金)
    会場:大阪府 心斎橋 Pangea

    2015年10月3日(土)
    会場:愛知県 名古屋 Live & Lounge vio

    2015年10月23日(金)
    会場:北海道 札幌 Bessie Hall

    2015年11月7日(土)
    会場:福岡 Keith Flack

    2015年11月8日(日)
    会場:宮崎県 Live House ぱーく

    2015年11月14日(土)
    会場:富山県 HOTORI

    2015年11月15日(日)
    会場:石川県 金沢 アートグミ

    プロフィール

    LUCKY TAPES(らっきー てーぷす)

    2014年6月、高橋海(Vo,Key)、田口恵人(Ba)、濱田翼(Dr)の3人で結成。のちに高橋健介(Gt)が加わり4人となる。結成直後にライブ会場とレーベルのHP上でEP『Peace and Magic』を発表し、それが僅か3か月で完売。同世代のバンドたちからの評価と信頼も厚く、盛り上がりを見せる東京インディシーンの中でも最も注目を集めるバンドの1つとなる。今年4月にリリースされた公式デビューシングル『Touch!』は、発売日を待たずにレーベル在庫が完売し、大きな話題を集めた。期待値が最高潮に達する中、ceroの最新作『Obscure Ride』を手がけた得能直也をエンジニアに迎え待望のデビューアルバム『The SHOW』を8月5日にリリース。

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