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BATTLESインタビュー 演奏だけじゃない、個性とユーモアを探る

BATTLESインタビュー 演奏だけじゃない、個性とユーモアを探る

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
2015/09/15

現代のポストロックシーンに多大なる影響を与えたエクスペリメンタルロックバンド・BATTLESが、前作『Gloss Drop』から4年ぶりとなる3rdアルバム『La Di Da Di』をリリースする。複数のボーカリストを迎えた前作から一転、三人だけで全曲インストゥルメンタルという初期のサウンドプロダクションとなった本作は、バンドにとって「原点回帰」的な印象を強く感じる内容である。しかしそれは、決して後ろ向きな意味ではなく、「三人こそがBATTLESである」という初期衝動に立ち返りつつ、これまで培ってきたスキルを惜しむことなく注ぎ込んだ「最新アップデート版BATTLES」の姿がそこにあるのだ。

今回CINRAでは、BATTLESでギターやベースを変幻自在に操り、さらにはアートワークにも深く携わるデイヴィッド・コノブカにインタビューを敢行。BATTLESが、ポストロックシーンにおいてオリジナリティーを発揮し続けられる要因は、そのサウンドやライブの作り方だけでなく、アートワークに対するユニークなこだわりにもあると言えよう。

一般的にバンドのアートワークはどれも洗練されているから、僕らは何の意味も持たない、ひたすら気色悪い、不快なものをアートワークに落とし込もうと思ったんだ。

―BATTLESのアートワークは、メンバーの中であなたがイニシアチブを取っているそうですが、アートへの関心はいつからあったのでしょうか?

デイヴ:子どもの頃から絵を描くのが大好きだった。中学生の頃は、「キース・ヘリング(1958年生まれ、ストリートアートの先駆者とも言われているアメリカの画家)こそが最高のアーティスト」だと思って、彼のことを崇拝していたよ。あと当然アンディ・ウォーホルも。ポップアートがすごく好きだった。でも、音楽と同じで、好きなものは歳と共に変わっていくんだよね。そこから様々な表現方法を勉強していくうちに、絵画よりもグラフィックデザインのほうが自分に向いていることがわかったんだ。

BATTLES(左がデイヴ・コノプカ)
BATTLES(左がデイヴ・コノプカ)

―それでアートスクールに進学しデザインを専攻したのですね。

デイヴ:そう。ポール・ランド(1914年生まれのグラフィックデザイナー)らアメリカの近代デザイナーや、スイススタイルのグラフィックデザインに傾倒するようになった。僕と同級生だったベン・ジョーンズは、Paper Radというアートグループを組んで面白い作品をたくさん手がけているよ。

―前作『Gloss Drop』のアートワークは衝撃的でした。溶けかけたアイスクリームのような、ショッキングピンクの物体が写っているという。これはどのように思いついたのでしょうか。

デイヴ:『Gloss Drop』を手がけた時は、ただシンプルに、「ピンクの塊」をジャケットに描きたくて。何色でも良かったんだけど、個人的にピンクが大嫌いだからピンクにした(笑)。つまり、思いっきり気持ち悪いものにしたかったんだ。「不快」とさえ呼べるものにね。

BATTLES『Gloss Drop』ジャケット
BATTLES『Gloss Drop』ジャケット

―それはなぜですか?

デイヴ:バンドのアートワークは、どれも洗練されていて、「かっこいいものでなくてはならない」というルールに辟易していたから。僕らは何の意味も持たない、ひたすら気色悪い、不快なものをアートワークに落とし込もうと思ったんだ。ピンクの塊でしかないのに、それを見たらBATTLESを思い出す、そんなものにしたかった。

―そして今作のアートワークは、積み上げられたパンケーキや、バナナが突き刺さったスイカ、3つの目玉焼きなど、これまた意味深なモチーフが並んでいます。

デイヴ:今回のアートワークは、BATTLESが音楽を作る上でのプロセスを表現しているんだ。つまり、どのようにして様々な音楽的要素を組み合わせているのか。相性のいいものもあれば、良くないものもある。中には耳障りで不快な音だってある。それをアートワークで視覚的に表したかった。しかも、表ジャケットだけで完結しているわけじゃなくて、実際にアルバムを買うと、その続きが内ジャケに描かれているんだ。アルバムを通して、ちょっとした物語になっているんだよ。

BATTLES『La Di Da Di』ジャケット
BATTLES『La Di Da Di』ジャケット

―パッケージで手に入れてこそ、楽しめるコンセプトなのですね。

デイヴ:そう。今の時代、全てがデジタル化されてしまって、ジャケットの絵しか見せられないのがすごく残念だ。個人的には、今もアルバムに思い入れがある。音楽を聴きながら、写真や絵柄を眺めたり、歌詞を読んだりして、アルバムのアートワークから刺激をもらうのが好きなんだ。それに、アートというのは、日常生活の中で人々の記憶を呼び覚ますものだと思っているから。この先、普通に食事していても、バナナとスイカを見たら卑猥な想像せずにはいられなくなるよね(笑)。

―ポップな遊び心があって、なおかつ人の記憶に深く入り込む悪戯心もある。まさにBATTLESの音楽性そのものですね。デイヴ自身、現在はアートとどのように向き合っていますか?

デイヴ:アートスクール時代はアートが生活の中心だったのに、気付いたら音楽の道に進んでいて。だからその2つの世界を結びつけることができているのは、嬉しいことなんだ。レコーディングでもツアーでも音楽で煮詰まった時はいつも、何かアート作品を作ることで気持ちを晴らしている。なぜだかわからないけど元気になるんだ。バスケットボールをやるのもフィジカル的なストレス発散になるけど、アート作品を作って脳内運動をさせることは、自分のバイオリズムにとって必要不可欠なんだよね。

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リリース情報

BATTLES 『La Di Da Di』日本盤(CD)
BATTLES
『La Di Da Di』日本盤(CD)

2015年9月15日(火)発売
価格:2,376円(税込)
Warp Records / Beat Records

1. The Yabba
2. Dot Net
3. FF Bada
4. Summer Simmer
5. Cacio e Pepe
6. Non-Violence
7. Dot Com
8. Tyne Wear
9. Tricentennial
10. Megatouch
11. Flora > Fauna
12. Luu Le
13. FF Reprise(ボーナストラック)
※初回生産分は紙ジャケット仕様

イベント情報

『BATTLES FALL TOUR 2015 JAPAN』

2015年11月25日(水)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI
料金:前売 アリーナ立見6,500円 スタンド指定席7,000円(共にドリンク別)
※スタンド指定席は完売

2015年11月26日(木)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪府 梅田 AKASO
料金:前売6,500円(ドリンク別)

プロフィール

BATTLES(ばとるす)

2002年にNYでイアン・ウィリアムス(ex.Don Caballero)、デイヴ・コノプカ(ex.Lynx)、ジョン・ステニアー(ex.Helmet / Tomahawk)、タイヨンダイ・ブラクストンにより結成されたエクスペリメンタルロックバンド。2004年には『B EP』『Tras』『EP C』と3枚のEPを立て続けにリリースし、ポストロック~マスロックシーンの隆盛とともに大きな注目を集める。精力的にライブ活動を行いながら、2005年には「Warp」と契約。2007年に1stアルバム『Mirrored』をリリースし、各メディアで絶賛を浴びると、国内外の大型フェスへの出演やツアーで大きな成功を収めた。2010年からは現在の3人編成に。2011年にリリースされた2ndアルバム『Gloss Drop』ではゲイリー・ニューマンからBOREDOMSのEYEまで様々なゲストボーカルを迎えて再び話題を呼ぶ。そして2015年、4年ぶり待望となる最新アルバム『La Di Da Di』がリリース。11月には来日公演も決定。

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